高校時代はラグビー部。23歳で司法試験に合格し、武富士の顧問弁護士としてメディア相手に訴訟を連発。やしきたかじんに橋下徹を紹介されて運命が変わった。色白の男前ながら、次々と独自策を実行し、政府や大臣に喰ってかかる。日本の政治を動かす本物か、それともコロナの収束とともに消えるのか。
神童と呼ばれて
「吉村(洋文)さんに最初にお会いしたのは、まだ大阪市長になられる前でした。橋下(徹)さんとご一緒したときに、同席されていたと記憶しています。『スマートな青年』という印象でした。
体格も細く、正直なところ、その後、市長や知事として大阪を引っ張っていくことになるとは想像もつきませんでした。いまや吉村さんがいるから大阪府民になりたいという人がいるぐらい、誇りと覚悟を持った立派なリーダーになっているのですから、驚くばかりです」
そう語るのは、大阪府の吉村洋文知事(44歳)と親交がある、建築家の安藤忠雄氏だ。
吉村氏の株が急上昇している。新型コロナ流行が本格化して以降、連日ワイドショーなどに出演。休業要請に応じないパチンコ店の名前を全国に先駆けて公表したり、休業要請の段階的解除について「大阪モデル」という独自規準を打ち出すなど、是非はともかく、その大胆な姿勢と実行力が話題を呼んだ。
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日経新聞が5月8〜10日に行った世論調査では、新型コロナ感染者が多い9都道府県のうち、「最も評価する知事」という項目で全体の52%の票を集め、トップに躍り出た。2位の小池百合子都知事が19%だから、トリプルスコアに近い。
吉村氏は'75年、大阪府河内長野市に生まれた。実家は、ごくごく一般的な「中流家庭」だったと、近隣住民は口を揃える。