書店業界の常識を覆してきた“15坪の小さな本屋”が「映画&劇団」分野で3月22日に新たな革命を起こす!
天狼院書店・店主インタビュー「小さな書店が映画と劇団を本気でやる理由」
天狼院書店――。15坪という小規模な書店ながら、「お客さんが棚を作る『天狼院BOX』」「こたつのある本屋」「『部活』というお客さん同士のコミュニケーションイベント」など、型破りな事を次々と行い、多くのメディアに取り上げられている。
書店業界の常識を覆すような新しい試みを次々に行っている店主・三浦氏が、次にやろうとしているのが「映画&劇団」。3月22日に上映&上演される『世界で一番美しい死体~天狼院殺人事件~』は、監督・脚本ともに店主・三浦氏が担当し、キャストのほとんどはお客さんというなかで、会場は映画館としても劇場としても異例のキャパ802人の豊島公会堂と、これまで以上に常識破りな試みを行おうとしている。
小さな書店が本気で映画と劇団をやる理由は何なのか? 今回、映画&劇団の公開を控える天狼院書店店主・三浦崇典氏にインタビューした。
(構成:川代 紗生)
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天狼院書店は「衰退産業の救世主」になる
――まず、小さな書店ながら、映画と劇団をやろうと思ったきっかけを教えてください。
三浦: 「映画と劇団をやろう」と思ったことと、「天狼院書店を作ろう」と思った理由は、実は全く同じです。
まず天狼院を立ち上げた理由からお話ししますが、僕は起業したときから、衰退産業において、新しい業態をつくればきっととてつもなく面白いことになる、という強い確信がありました。
サーカス業界を例にしてご説明しますと、シルク・ドゥ・ソレイユは今でこそ大人気のエンターテイメントとして多くの人から認識されていますが、以前はサーカスというのは衰退産業でした。ピエロが出てくるような、「いかにも」といった感じのサーカスは、人気が無くなってきていた。けれどシルク・ドゥ・ソレイユは、サーカスがだめだと言われていた時代に、あえて「これからはサーカスの時代だ」と言ってはじめた。結果、今までになかったような新しいサーカスの形を生み出して、大成功しています。
僕はその方程式は、書店業界でもあてはまると思っています。本が売れなくなり、紙の媒体はもう終わりだ、書店業界はもうだめだ、と最近は言われていますが、僕はその常識を覆したい。
だから書店業界という衰退産業において、新しい業態の書店をやってみたいとずっと思っていたのですが、想像以上に業界が衰退する速度が速かったので、早くやらないとまずいと思い、予定よりも早く2013年に天狼院書店をオープンしました。