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NHK「“異世界転生”英語ライトノベル」がヒット中…異色の教材が生まれた「納得の理由」

2019年度のラジオ番組「NHK基礎英語2」を元に2020年に刊行された著・若月ルナ、監修・高田智子『中学英語で読めるはじめての英語ライトノベル 異世界に転生したら伝説の少女だった件』(NHK出版)が、放送開始から約2年経つ今も売れ続けている。

KADOKAWAの『カゲロウデイズで面白いほどわかる本』シリーズや学研プラスの『ボカロで覚える』シリーズといったキャラクター/IPを使った学習参考書は「ライト学参」と呼ばれて近年定着しているが、あのNHKがラノベ風ファンタジー小説の英語教材を手がけるとは一体どういうことなのか?

もちろん、異世界ファンタジーと言っても異世界の王族は有色人種であるなど白人一辺倒にならないよう配慮があり、主人公の少女や王女が男の騎士に一方的に加護される存在ではなく自ら道を切り開いていく存在として描かれている点などには「NHKらしさ」を感じはするが……。

異色の英語教材が支持される背景にある昨今の親・子ども世代の感覚や近年の英語教育のトレンドについて、NHK出版語学編集部の伊藤大河氏に訊いた。

 

サブカルチャーに親しんできた親世代にも

ラジオ放送時に異例の反響を呼んだ「中学生の女の子・若月ルナが異世界に召喚されて騎士や王女とともに冒険をする」というストーリーになった経緯はこうだ。

「番組内容は番組スタッフと弊社の人間、それから監修者の先生とネイティブのライターの方で相談して決めます。高田智子先生は前年も担当されていましたので『2回目はちょっと違った趣向でやりたい』との要望がありました。それを受けてライターを担当されたカレン・ヘドリックさん が、もともとアニメが好きで日本に来た方だったこともあり、学園ものなどいくつか企画を出したなかで、一番奇抜なものを採用したんです」(伊藤氏)。

意外に思えるが、ファンタジーにすることについて、NHK内で反発はほとんどなかったそうだ。というのも、伊藤氏によれば「基礎英語」にの教材は、学校の教科書のイラストの変化を受けて2010年頃から表紙にアニメ調の絵を使うようになってきており、マンガやアニメなどのサブカルチャーに親和的な内容であってもおおよそ理解は得られるだろうという見通しがあったからだ。

「子どもが欲しがったとしても学参や英語教材にお金を出すのは保護者、とくにお母さんですが、いまの中学生の母親というと40代が中心。自分たちが中高生だったころにコバルト文庫などの少女小説やマンガに親しんでいた世代で、イラストに対しても少女が活躍するファンタジー小説という内容に対しても抵抗がない方が多い。ですから親御さんからも、一部からは『やらせづらい』という声はありましたが、ほとんどは好意的な声が届いています」

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