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芝浦機械の横中ぐり盤の故障修理:スターデルタ回路の故障

故障したタイマー1故障したタイマー1

芝浦機械の工作機械である
横中ぐり盤の故障修理をしてきました。

芝浦機械の旧名は東芝機械です。

2020年に社名を変更したようです。

1.故障症状

お客さんのいう故障症状は

「主軸の力が弱く時間が長い・・・
切り替わりが・・・」

最初は意味がよくわかりせんでしたが、
スターデルタ始動のことを
言っているのだと推測できました。

(相手は機械屋さんなので 
うまく説明できないのは仕方ないですね。。。)

2.なにをしたか、どう考えたか

容量の大きいモーター(三相誘導電動機)の始動は
スターデルタ始動をしていることが多いです。

(三相誘導電動機については
 以下のサイトを参考ください。
→三相誘導電動機とは)

三相モーター(三相誘導電動機)は
始動時に定格電流の何倍も
大きな電流が流れます。

スターデルタ始動は、その大きな始動電流を
抑えるため、始動時だけ内部コイルを
スター結線にして 始動電流を抑えます。

しかし、その際に回転させる力である
トルクも落ちてしまいす。

そのままでは使えませんので
始動が終わるとデルタ結線に切り替えて
トルクをその容量のモーター本来に戻します。

この動作を、電磁接触器や電子タイマーを
組み合わせてシーケンス制御で自動に行うことが
一般的です。

(電磁接触器については
 以下のサイトを参考ください。
→電磁接触器とは、電磁開閉器とは何か)

(電子タイマーについては
 以下のサイトを参考ください。
→電子タイマーとは)

(シーケンス制御については
 以下のサイトを参考ください。
→3ステップで理解するシーケンス制御とは)

話は戻しますが、

「主軸の力が弱く時間が長い・・・
切り替わりが・・・」は

「切り替わるまでの時間が長く
主軸の力が弱くて困っている」に
訳すことができます。

そして、この問題が起こっているということは
このスターデルタ始動で、
その結線の切替がおかしいと
推測できるわけです。

以前は、
このようなことはなかったとのことです。

時間は長くなったが
スター結線からデルタ結線に
切り替わっているということは
タイマーの故障の可能性が考えられます。

制御盤の中を見ると電子タイマーが沢山あり 
どれがスターデルタ始動用のタイマーか
一目しただけだと分かりません。

電子タイマーに接続された電線を
たどっていけば分かりますが
時間がかかるので電気回路図面で確認しました。

電子タイマーは、見たことがない
今は販売中止になっていると
推測できる形状のタイマーでした。

アナログ式の電子タイマーですので
時間設定用のダイヤルを回してみても
切り替わりの時間は変わりません。

これで電子タイマーが故障していることが
判定できました。

スターデルタ回路では、
スター結線からデルタ結線に切り替わる時
スター用の電磁接触器とデルタ用の電磁接触器の
両方が停止(OFF)する時間をつくる

スターデルタ始動用のタイマーを
使うことが一般的ですが、
電気回路図を見ると、この機械はそのタイマーは使わず 

同時ONを防ぐためにインターロック回路を
組んでいるだけでした。

(インターロック回路については
 以下のサイトを参考ください。
→リレーシーケンスのインターロック回路)

元の回路どおり、スターデルタ始動用のタイマーは
使わず、一般的な電子タイマーに
交換することにしました。

オムロンのオンディレイの電子タイマーに交換し
切替時間までの時間は3秒に設定しました。

左写真は交換したオムロンの電子タイマー、
中・右写真は故障した古いタイマーです。

3.所感と紹介

今回はスターデルタ始動に関わる
故障でした。

スターデルタ始動の動作が
予め理解できていたので
解析に時間はかかりませんでした。

スターデルタ始動は、電子タイマーなどの
電気制御機器を電気接続して
作りますが

最初から組んだキットも
メーカーから販売されています。

ですので、こういった制御回路を
組むのが苦手な方は利用すれば
いいと思います。

あと、スターデルタ始動の電気回路等
詳細も説明した三相誘導電動機が
絡む故障対処教材もありますので
以下のページを参考ください。

→モーターが原因の機械/設備の故障対応力が身に付く講座

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