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Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
ガレクチン-1: 多量体構造とポリラクトサミンとの相互作用
Moonjae ChoRichard D. Cummings篠原 康郎
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1997 年 9 巻 45 号 p. 47-56

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抄録
ガレクチン-1はガレクチンファミリーの1つであり、糖鎖認識部位を1つ有する14kDaサブユニットの2量体を形成する。本レクチンは哺乳類において細胞質で生合成された後、単量体として蓄積される点で特徴的である。レクチンは積極的に、ただし非常に緩やかに細胞外に分泌されるが (t1/2≈20h)、正しく折り畳まれ安定性を獲得するためにはリガンドとなる複合糖質を必要とする。本レクチンは単量体-2量体間に平衡を有し、平衡定数は約7μMで、平衡にはかなりの時間を要する (t11/2≈10h)。2量体形成の機構を明らかにし、本レクチンの単量体と2量体の機能の違いを明らかにするために、サブユニット間の相互作用に関与するN-末端に特定の変異を導入した。これらの変異体のうち、N-Gal-1およびV5D-Gal-1は60μM以下の低濃度においては大部分レクチン活性のある単量体であったが、高濃度においてはこれらも2量体形成能があった。ガレクチン-1及び変異体をそれぞれ共有結合により架橋することで得た2量体は、非常に強い凝集活性を示した。これに対して単量体は凝集活性を示さなかったが、2量体の結合を競合的に阻害した。
ガレクチン-1のラクトース (Galβ1-4Glc) やN-アセチルラクトサミン (Galβ1-4GlcNAc) に対するアフィニティーはKdが90~100μMと低いのに対し、ポリラクトサミンを有する複合糖質に対しては高いアフィニティー (Kd≈1μM) を有する。ポリラクトサミンとの相互作用に際しては非還元末端のガラクトース残基は必須ではない。ポリラクトサミンはラミニンやリソゾーム膜タンパク質 (LAMP) のような特定の糖タンパク質上に発現しており、これらの分子とレクチンとの相互作用を通して細胞間接着や情報伝達が制御されている可能性が考えられる。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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