東大は「AIより農学部」に比重置く“40年前”の状態!新たな学問に配分できない深刻問題Photo:PIXTA

スタンフォードのAI Indexでは
日本はAIで世界第9位

 AI(人工知能)の教育や研究について、世界ランキングでの日本の順位が非常に低いことを、前回コラム(2025年3月6日)『AI「トップ100大学」中国49校で日本は“ゼロ”、在米トップ研究者の半数も中国出身者』で指摘した。日本の大学も研究機関も世界のトップリストには姿を見せない状況だ。

 研究・教育以外の指標を含めたAIに対する取り組みの全般的な評価はどうか。

 例えば、スタンフォード大学のAI Index研究チームが開発したThe Global AI Vibrancy Tool 2024(24年11月)は、研究開発や責任あるAI、経済、教育、多様性、政策とガバナンス、世論、インフラの8つの柱に基づき、42の指標を用いてAIの状況を国・地域別に評価している。

 このランキングでもアメリカと中国がトップを競っていることに変わりはない。

 開発費に関しては、第1位のアメリカが23年にAI関連で約672億ドルの投資を行っており、第2位中国の78億ドルを大きく上回っている。

 一方、中国はAI関連で多くの特許を生み出している。ただし、機械学習モデルの開発数では、アメリカが世界一の61件であり、第2位中国の15件より大幅に多い。GoogleやMetaなどの巨大企業によるものだけでなく、OpenAIやAnthropicなどの革新的な新興企業の活躍が目立つ。

 AI関連の求人件数や新規AI企業の設立数でも、アメリカがトップに立っている。

 このランキングでイギリスは世界第3位。学術的優秀性や倫理的AI開発でのリーダーシップが評価されている。アラブ首長国連邦(世界第5位)や韓国(第7位)も、AI研究開発で重要な役割を果たしている。

 そして日本は第9位になっている(注1)。

 教育や研究のように“落ちこぼれ”の状況ではない。

(注1)Global AI Power Rankings: Stanford HAI Tool Ranks 36 Countries in AI