何かを思い出そうとする中年男性写真はイメージです Photo:PIXTA

「あれ、何を取りに来たんだっけ…」そんな“物忘れ”が増えていませんか? 年齢のせいだと思われがちですが、記憶力が落ちる原因は年齢だけではありません。実は、たった1日10分のシンプルな習慣で、記憶力を鍛えることができます。『東大式 記憶力超大全』の著者で、記憶力を競う大会で日本チャンピオンになった経歴を持つ青木健さんが実践する、効果抜群のトレーニング方法とは。(構成/田之上 信)

スマホ時代に
“忘れっぽい”が増えたワケ

 人は年をとるにつれ忘れっぽくなります。それは老化だけの問題ではなく、脳に蓄積された情報量の多さにも原因があると考えられています。

 記憶力というのは、インプットとアウトプットで構成されています。忘れっぽくなるということは、インプットして覚えていたはずのことが思い出せなくなる状態です。

 思い出すという作業は、すべてアウトプットです。あの俳優さんの名前は何だったっけとか、このあいだ行った店の名前が思い出せないというのは、アウトプットがうまくできていないということです。

 インプットの量が多くなるほど、アウトプットが難しくなります。これは人間の脳の容量の問題ではなく、脳内のどの部屋にその情報が入っているのか見つけにくくなるのです。自宅にモノがあふれて、必要なものを探し出すのに苦労するのと似た現象です。

記憶力日本チャンピオンでメモアカ代表取締役CEOの青木健さん 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部記憶力日本チャンピオンでメモアカ代表取締役CEOの青木健さん 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部

  人間は生きている期間が長ければ、それだけ人生で経験した多くの情報が脳に蓄積しています。昔は覚えていたのに、思い出せないという経験が増えるのは、ある意味で、仕方のないことだと言えます。

 さらに加えて、現代はデジタル社会になり、情報のインプット量がかつてないほど増大しています。多くの人が歩きながら、また電車の中や信号待ちの間など、いつなんどきもスマホを手放しません。

 ニュースサイト、動画サイト、SNSなどから膨大な情報が流入する半面、アウトプットの作業はとても追いつきません。

 したがって、忘れっぽさを改善するための方法の1つは、インプットの量を減らし、アウトプットを増やすことです。それにより記憶力が強化され、長期的な記憶の定着にも効果があります。