一躍脚光を浴びている中国のAIスタートアップ「DeepSeek」(ディープシーク)。以下、画像はすべて筆者がキャプチャしたもの一躍脚光を浴びている中国のAIスタートアップ「DeepSeek」(ディープシーク)。以下、画像はすべて筆者がキャプチャしたもの

1月27日のニューヨーク株式市場で、半導体大手NVIDIAの株価が急落。27日の終値は24日と比べて、時価総額は約90兆円のマイナスとなった。これは、中国のAIスタートアップ「DeepSeek」がリリースした新しいAIモデル「DeepSeek-R1」の性能とコストが原因とされている。DeepSeekとはどんな生成AIで、なぜこれほど注目を浴びているのか、NVIDIAを筆頭に米国のテック企業の株価に影響を及ぼした理由、そしてDeepSeekを使う時の注意点について解説する。(ITライター 柳谷智宣)

中国発のDeepSeek、競合企業の10分の1の開発費でChatGPTやClaudeに匹敵

 DeepSeek(ディープシーク、深度求索)は2023年に梁文峰氏が中国で設立したAIスタートアップだ。梁文峰氏は2016年にAI特化のヘッジファンド「High-Flyer」を設立し、その後、AIツールを開発するラボに投資。2023年5月、そのラボがDeepSeekとなった。

 2023年11月にはAIモデルの「DeepSeek Coder」や「DeepSeek LLM」をリリース。2024年5月には「DeepSeek-V2」をリリースし、コストの安さで注目を集めた。ブレイクスルーになったのが、2024年12月にリリースした「DeepSeek-V3」だ。

 DeepSeek-V3は、GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetに近いベンチマークスコアをたたき出し、エンジニアや生成AI界隈では大きな話題になった。ちなみに当時のDeepSeekはアメリカのAIと違い、性的コンテンツへの厳しい規制がなかったので、一部ユーザーの間ではどれだけ激しい官能小説を書かせることができるかというチャレンジが流行っていた。