東武野田線8000系・60000系並びPhoto:PIXTA

先日、最寄りの東武野田線七里駅を利用した際、改札口の電光掲示板(発車標)の裏側に「アーバンパークライン10周年」というポスターが貼られていることに気づいた。そうか、今年でそんなになるのかと思って調べたら、2024年4月に10周年を迎えていた。完全に機を逸してしまったわけだが、今年も野田線は新たな変化を控えているので、せっかくだからお付き合い願いたい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

新型車両やホームドア設置など
約10年で大きく変貌した野田線

 筆者は生まれも育ちも野田線だ。旧大宮市の外れなので基本的には車社会であり、子どもの頃は電車に乗る機会は多くなかったが、高校時代から会社勤めまで、埼玉を離れていた4年を除き、毎日のように利用していた。

 確かに2014年以降、野田線は大きく変貌した。先立って2013年から、野田線の電車としては1929年の電化時に新造された車両以来の新型車両となる「60000系」の導入、本線で使われていた「10030系」の転入が始まり、白地の車体に青帯の「8000系」のみだった野田線がカラフルになった。

 2014年から2015年にかけて船橋駅、柏駅に東武鉄道としては初のホームドアを設置。2016年のダイヤ改正で、日中30分間隔ながら大宮~春日部間で急行運転を開始した。2017年には東武本線・浅草から大宮駅、野田市駅に直通する特急「アーバンパークライナー」の運行を開始。数年で新車、ホームドア、急行、特急が相次いで導入されるお祭り騒ぎだった。

 ただ、運行形態が刷新されても沿線はそのままだ。野田線の車窓は、大宮、柏、船橋というわずかな「アーバン」を除き、大宮公園、岩槻城址公園、清水公園など身近に自然を感じられる「パーク」が点在する、のどかな風景がひたすら続く。

 なるほど「アーバンパークライン」か、と思ったが、沿線民としては大仰なカタカナ語が路線名になるのは気恥ずかしい。とはいえ正式な路線名は野田線のままで、アーバンパークラインはあくまでも路線愛称なので、以降は野田線で統一したい。