与えられた任務に全力を尽くしていない同僚がいたら、どう接するべきだろうか。見て見ぬふりは簡単だが、相手の怠慢が自分の仕事に差し障るとなれば話は別だ。賢明な対処法を、2人の専門家が伝授する。


 他人の怠慢を取り締まることなど、誰もしたくないものだ。同僚が定時前に帰ったり、締め切りを守らなかったり、与えられた仕事に全力投球していない場合、どう対処すればよいか判断に苦しむ時がある。本人に直接注意をすべきなのか、上司に話すべきなのか、それとも余計な口を出さないほうがよいのか――。

専門家の意見

 仕事に全力を尽くさない人と一緒に働いた経験は、誰にでもあるだろう。1日中フェイスブックをチェックしている、昼休みを2時間とる、まったく締め切りを守らない、といった同僚だ。

 しかしどれほど腹立たしいと思っても、その人の振る舞いがあなたの仕事に実質的な影響を与えていなければ、サボりを取り締まる警察の役を負うべきではない。「過敏な警報アラームのような人だ、という評判を招いてはなりません」と言うのは、バブソン・カレッジの経営学教授で『影響力の法則』の著者であるアラン・R・コーエンだ。

 ハーバード大学医学部マクリーン病院のコーチング研究所を創設した、スーザン・デイビッドも同意見である。「やる気のない同僚があなたの仕事や昇進の邪魔をしていないのならば、放っておいて自分の仕事に専念したほうがいいでしょう」

 しかし、その同僚の振る舞いがあなたの仕事に支障を与えているならば、手を打つ必要がある。この厄介な状況に対処する方法を以下に挙げよう。

 ●相手の立場になってみる

 仕事に精を出さない同僚に対処するのは苛立たしいものだが、相手の振る舞いの原因を早計に決めつけてはいけない。仕事に尽力していないのは、必ずしも怠惰が原因とは限らない。

「家庭の問題を抱えているのかもしれません」とコーエンは言う。あるいは、職場で何らかの困難に直面しているせいかもしれない。新しい仕事を覚えること、新しいスキルを身につけることに苦心している可能性もある。

「コンテクスト(立場や状況)は重要です。相手のやる気について、憶測で判断するのはやめるべきです」と言うコーエンは、行動を起こす前に「調査と質問」を行うよう勧める。それには自分自身を振り返ることも含まれる。

 しかし、本人にアプローチするかどうかの判断に時間をかけすぎないこと。その間に我慢の限界が来れば、怒りが爆発しやすくなり、プロフェッショナルらしさを疑われる羽目になるからだ。

 ●対決ではなく対話をする

 同僚の振る舞いがあなたの仕事に悪影響を与えているのであれば、思い切って口に出そう。しかしいきなり攻撃したり、非難するような言い方をしてはならない。

「関心と共感を持って話をする必要があります」とデイビッドは言う。「叱責や主張ではなく、ただ問題を解決しようとしていることを示すのです」。たとえば「あなたは最近、以前ほど仕事に入れ込んでいないように見えるけど、何か力になれることはある?」という具合に、相手の調子を尋ねてみよう。