ストラテジック インパクト シニアマネージャー
森 華子氏
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多くの日本企業でプロジェクトの数が増えている。ただ、成果の挙がらないプロジェクトも少なくないはずだ。では、どうすればプロジェクトを活性化し、成果につなげられるだろうか。EYストラテジー・アンド・コンサルティングが提供しているのが、直観と主観の覚醒、および関係性の質に着目した「プロジェクトコーチング」である。多くの企業で実績を積み重ねており、プロジェクトのみならず、組織文化にも好影響をもたらしている。
増加するプロジェクトにおける効率性・客観性優先の落とし穴
企業を取り巻く環境変化が勢いを増している。技術進化はもちろん、環境や人権といったアジェンダの動向からも目が離せない。そこで、多くの企業がプロジェクトを組成して解決策を見出そうとしている。サステナビリティ、多様性など、プロジェクトのテーマはさまざまだ。
テーマごとに経験や知見を持つメンバーを集め、定期的に議論を交わしながらゴールを目指す。ゴールは経営陣に提出する報告書の作成かもしれないし、実現可能なアイデアのブラッシュアップかもしれない。大企業になると、百近くのプロジェクトが並行して走っているケースも珍しくない。
ただ、プロジェクトで有益な成果を得るのは容易ではない。「あまり意味がなかった」と評価されてしまう場合もあるはずだ。EYストラテジー・アンド・コンサルティングの森華子氏はこう説明する。
「多様なメンバーを一堂に集めるのは大変なので、最近はオンライン会議が増えました。優秀なメンバーは日常業務も多忙ですし、複数プロジェクトにアサインされる場合もあるでしょう。一方、プロジェクトは期間内に一定の成果が求められるので、『効率性』や『客観性』を優先しがちになります」
プロジェクトに進捗重視の雰囲気が漂えば、メンバーには「根拠のある話をしよう」とか「無難な意見でいいや」といった意識が強まり、突飛なアイデアや一見非常識だが面白い意見は出づらくなる。共創や創発は起こりにくい。次第に「自分はなぜプロジェクトに参加しているのか」と疑問を持つメンバーが出てきてしまう。
「会議で新しいアイデアを求められても、根拠や予算獲得・達成の可能性ばかり問われれば黙り込むでしょう。多くのメンバーが主体性を失った結果、限られた人だけが発言する、あるいは業務報告に終始するような会議になってしまう。メンバーのこうした姿勢は、普段の業務にも悪影響を与える可能性があります」と森氏は指摘する。