チームのパフォーマンスをどうすれば改善できるか

 それほど遠くない昔、チームは一般に、似たようなスキルを持つ人たちで構成され、同じ場所で働いていた。その根底にあったのは、「管理の行き届いたプロセスの下でともに働くことにより、繰り返し同様の成果を挙げることができる」という考え方だ。チームはたいてい効率的かつ有効に機能していたが、障害にぶつかることも多かった。たとえば、チーム内でサイロ化が進んだり、官僚主義的なプロセスが生じたりすることで、全体的なパフォーマンスが損なわれた。

 このような状況に対応するため、チームは協働の進め方の変革に乗り出した。日々の業務や手法に関して、より柔軟で、機能横断的なアプローチを確立し始めたのだ。1950年代のスカンクワークス(ロッキード・マーティンの開発部門)のエンジニア、1960年代のサッカーブラジル代表、1990年代から2000年代にかけて驚異的な改善を実現した航空業務や外科手術におけるコラボレーションなど、組織はチームの有効性を高める方法を模索し続けてきた。

 今日では、あらゆるタイプの企業において、従業員同士の融和を図り、機能横断的でプロジェクトベースのチームワークを実現することが要求されている。たとえば、テクノロジー業界では、ソフトウェアエンジニアが営業チームやデータサイエンティストらと人事関連プロジェクトなどで連携することを期待されたり、UX(ユーザーエクスペリエンス)デザイナーが工場責任者と協力したりすることが求められる。チームのメンバーが異なるオフィスに所属しているだけでなく、異なる大陸で働いている可能性もある。

 チームワークがどうすれば向上するのか、という謎を解き明かした業界もある。ソフトウェア業界や製造業だ。一方、ナレッジベースの業界のように、それができていない業界もある。

 チームワークの変革にまつわる従来の考え方は、直観や観察を土台として、そこに心理学をわずかに加えたようなものが多かった。しかし、変化と破壊がますます起こりやすい環境に置かれたことで、正しく機能するチームのつくり方に関する新たなアイデアが生まれている。あるものは経験に基づき、あるものは新たな手法を手がかりにし、あるものは現場で構築された。ただし、これらのアイデアはいまだ、チームの働き方を改善する体系的なアプローチとしてまとまってはいない。

 マッキンゼー・アンド・カンパニーは近年、自社向けに新たなチームワークの科学を開発する取り組みに力を注いできた。このアプローチを通じて4000を超えるチームの状況を理解できるようになり、必要な場合は介入できるようにもなった。

 このフレームワークは、最も信頼性の高い既存の知見と、データに基づく新たなテクニックと洞察を組み合わせたものである。リアルタイムかつ説明責任を明確にしたうえで、テスト、学習、分析、適応、改善を実施することで継続学習を可能にする。また、手法と成果をつなげる指標を用いており、個人にもチームにも活用できる。