エディアより12月12日(木)に発売されるNintendo Switch用ソフト『超兄貴COLLECTION』のレビューをお届けします。
便利なシステムを引っ提げて『超兄貴』が復活! Switch『超兄貴COLLECTION』レビュー
本作はPCエンジンで発売されたシューティングゲームの『超兄貴』(1992年)と、続編『愛・超兄貴』(1995年)を移植した作品です。『超兄貴』シリーズはマッチョなキャラクターが活躍するシューティングゲーム。
いちど見たら忘れられない独特な世界観が魅力なので、プレイしたことがなくても存在を知っている人も少なくないでしょう。
ただ、『超兄貴』シリーズはシューティングとしてのクオリティも高く、純粋におもしろい作品。ぜひこの機会に多くの人に触って欲しいゲームです。
『超兄貴』シリーズはスーパーファミコンやPlayStation、セガサターンなど多彩な機種で展開されましたが、ゲームの根幹となる魅力はすでに初代『超兄貴』で完成されていました。
『超兄貴』は難易度を3段階から選べることができ、もともとシューティング初心者にも優しい作品でしたが、『超兄貴COLLECTION』版は、これまでエディアから発売された他の『COLLECTION』シリーズと同様に“巻き戻し機能”が搭載されているため、オリジナル版よりもクリアしやすくなっています。
この巻き戻しは任意の箇所を選んで戻る形ではなく、巻き戻しを選ぶ一定前のタイミングに戻る形なので、いつでも万全のタイミングに戻れるわけではありませんが、それでもシューティングというジャンルにおいては禁断ともいえるシステム。
もちろん、使うかどうかはプレイヤー次第なので、オリジナルと同様にストイックにやり込むことも可能です。
ゲーム画面に関しても、4:3の画面で表示する“オリジナル”と従来のドット数で表示する“ドットバイドット”、画面いっぱいに表示する“フル”の3種類を用意。ゲーム内ボタンガイドの表示を消すこともできるので、自分好みの環境でゲームを遊べます。
また、『超兄貴』といえばゲーム同様クセのあるBGMも人気ですが、『超兄貴COLLECTION』ではゲーム中の音楽を楽しめる“サウンドモード”とイベント画面が楽しめる“ビジュアルモード”も収録。本来は見るのに苦労するエンディングの映像なども簡単にチェックできたりします。
また、PCエンジンはカードのバージョンが違うと警告画面が表示され、『超兄貴』ではレアな演出を観ることができましたが、その警告画面もバッチリ収録されています。
ほかにも当時の説明書もバッチリ掲載。思わずツッコんでしまうような記載が満載で、隅々までチェックしたくなります。
前述の通り、収録されているゲームは『超兄貴』と『愛・超兄貴』の2タイトルですが、この2本はシステムがかなり根幹から異なるので、それぞれ新鮮な気持ちで遊ぶことができます。
『超兄貴』は男性神のイダテンと女神のベンテンのいずれかを選んで操作するシューティングゲーム。オプションの機体がボディビルダーのコンビであるサムソン&アドンであることをはじめインパクトは強いですが(ベンテンの場合は天使のミカ&エル)、ゲームとしてはいい意味でオーソドックスで入りやすい作品です。
ストーリーは、大銀河ボディービルコンテストで10連覇の偉業を成し遂げた帝王の“ボ帝ビル(ぼていびる)”が、プロテイン資源の枯渇に悩み、近隣星系を無差別侵攻するところから始まります。
プロテイン採掘プラントを乱立するボ帝ビルに危機を感じた天界が、イダテンとベンテンをビルダー軍の討伐に派遣するという展開です。
主人公はイダテンとベンテンですが、説明書などではサムソン&アドンのほうが目立っており……!?
イダテンの必殺技“メンズビーム”は一方に撃つビームで、ベンテンの“スプラッシュビーム”は拡散型のビームだったりと性能が異なります。
本作は自機のスピードを自在に変更できるのも特徴ですが、イダテンは8段階、ベンテンは4段階まで変更可能。最大まで上昇させることで凄まじいスピードを体験できます。
ただし、最大は制御ができないぐらいの早さなので、自分の操作の腕に合わせて調整しましょう。ボス戦では少し遅めにするぐらいがちょうどいいのではないかと思います。
独自なシステム“ポージングシステム”を搭載した『愛・超兄貴』! Switch『超兄貴COLLECTION』レビュー
続編である『愛・超兄貴』は『超兄貴』から2年後の世界を舞台に、アドンとサムソンを主役に描かれる作品です。イダテンがビルダー星の不穏な動き察知して、単身調査に向かうものの消息を絶ってしまう展開。
ベンテンに派遣されたアドンとサムソンが、ボ帝ビルの妻であるボ帝コンシャス(ぼていこんしゃす)打倒へ向かうというストーリーになります。
前作では主人公より目立っているのがツッコミどころだったアドン&サムソンが、今度は本当に主役になってしまうというものでした。
ゲームシステムとしてはショットとなるホーミング弾の“悦楽吐息”も注目ポイントですが、一番大切なのは“ポージング”!
本作では格闘ゲームのようなコマンド入力をしてポージングアクションを決めることで、敵を攻撃できるほかエネルギーも上昇。エネルギーが頂点に達すると必殺技の“メンズビーム”を放つことができる仕組みになっています。
無敵になるポージング“汗汁乱舞”もあり、この技によって敵の攻撃をやり過ごすことができるため、弾を撃つよりポージングを続けたほうが先に進めるという、いろいろとツッコミどころがあるシステムでした。
ただ、メーカーさんが公式に“弾を撃たないシューティング”と銘打っていることもあり、ほかのシューティングでは味わえないような斬新なゲーム体験を楽しむことができます。
最初はその独特なシステムに戸惑うかもしれませんが、すぐに慣れることができ、ポージングアクションでエネルギーをためてメンズビームを放つ爽快感にハマっていくはず。
また、ゲームオーバーになる条件はタイムオーバーのみで、どれだけやられてしまっても時間が許す限りはゲームを再開可能です。そのため、特徴的な見た目やシステムに反してシューティング初心者でも楽しめるような作品になっています。
Nintendo Switchであれば携帯モードで手軽に遊ぶこともできますし、本作から追加された巻き戻し機能などの便利なシステムも活用できます。
ぜひこの名作を、往年のファンはもちろん、未プレイだった若い世代の方にも遊んでもらいたいと思います。
カワチ:RPGとビジュアルノベルが好きなゲーマーで、誰にも気付かれないようなマニアックな小ネタを記事に織り込むのが好き。深みのあるゲームが好きかと思えば、本当は肌色が多ければなんでもいいビンビン♂ライター。