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電通報ビジネスにもっとアイデアを。

音のバリアフリーを目指して
「ミライスピーカー・カーヴィー」発売

2017/03/03

    下町シニアベンチャーのサウンドファンは「耳の日」の3月3日、音のバリアフリーを目指すスピーカー「ミライスピーカー」の新モデル「カーヴィー」を新発売した。

    同社は、60~70代のベテラン経営陣が活躍するベンチャー企業で、「音で世界の人を幸せにする!」を理念にミライスピーカー事業やコンフォートオーディオ事業を手掛ける。

    同2日、中央区のイトーキ東京イノベーションセンターSYNQAで発表会が行われた。

    佐藤和則代表はミライスピーカーについて、難聴者から健聴者まで「誰にでも聞こえやすい」を目標に開発したもので、新商品のカーヴィーは音質・性能・デザインを向上させたハイエンドモデルだ、と紹介。同スピーカー開発のきっかけとなったのは「難聴の高齢者は、普通のスピーカーより蓄音機の音が聴きやすい」という話を耳にしたことだと述べ、オルゴールと下敷きを使ってシンプルな原理を説明した。ごく小さなオルゴールの音色が、曲面にした下敷きを当てるだけで、会場の端まで明瞭に届いた。これは、一点の音源から音を発する従来のスピーカーとは違い、曲面の振動板全体で音を発生させるため、拡散せずに耳元まで音を届けることができるためだという。

    2016年に発売したミライスピーカー・ボクシーは、その実力が認められ、空港のチェックインカウンターや証券会社のセミナー、銀行の接客カウンターでの呼び出しなどさまざまな場所で活用されている。佐藤代表は「今後も、小型化、軽量化に努め、災害時などにも有効な次世代モデルを開発していきたい」とあいさつした。

    宮原信弘取締役による技術的な説明に続き、ステージではトークセッションが行われた。

    参加者は、スマートサウンドデザインソサエティの藤澤孝史理事、自身も難聴者の電通ビジネス・クリエーション・センターの阿佐見綾香氏、佐藤代表の3人。

    日本では約9人に1人が難聴者という現状について、阿佐見氏は「難聴者も人とのコミュニケーションを積極的に取りたいが、行政、民間とも対応が遅れていて、配慮がほとんどない」と述べ、藤澤氏は「音に対する感覚は個人差が大きく、客観的に説明するのが極めて難しい。それが難聴への注目が集まらない要因のひとつだ」と話し「今後は、音源、再生環境、再生装置の三つのカテゴリーで研究開発を進めたい」と語った。佐藤代表は「今まで音について真面目に議論されなかったこともあり、音の環境は劣化している。本当のニーズは、人の声がきちんと聞こえ対話ができることだ。まずは、生活や公共の場からその問題を改善していきたい」と話した。

    阿佐見氏も「文字に頼るより、音で解決できる方がベターだ。2020年に向けて、その傾向が広がり加速することを期待したい」と述べ、藤澤氏は「難聴の程度は千差万別だが、多くの人がイコールコンディションとなる環境を目指すべきだ」と語った。最後に佐藤代表は「ミライスピーカーが解決策の全てではない。通常のスピーカーとの併用で音の環境を良くすることもできる。さまざまなアプローチにトライしたい」と話した。

    公式サイト:https://soundfun.co.jp/