今週の大学院授業「中学校高等学校国語科授業づくり演習」はAさんの担当で、魯迅「故郷」の翻訳を比較して読むという内容だった。中学校の定番小説「故郷」は、竹内好訳が何十年も掲載されているということだった。しかし、佐藤春夫、井上紅梅訳もあり、4つの場面の翻訳を比べて読むという、私としては初めての経験だった。これがとても面白い。曇り空の表現も 「鉛色の空」(竹内訳) 「どんよりとした空」(佐藤訳) 「蒼黄いろい空」(井上訳) と、ずいぶんと違う。少年の頃のルントウの主人公の呼び方も、 「おまえ」(竹内訳) 「お前」(佐藤訳) 「あなた」(井上訳) となっている。日本語は目上、目下の意識から離れられない…