水の電気分解の逆反応(2H2 + O2 → 2H2O)から電気を取り出す装置。
1801年イギリスで発明され、1969年アメリカのアポロ計画でアポロ宇宙船に搭載され*1、現在でも原子力潜水艦やスペースシャトルで採用されている。
1987年カナダのベンチャー企業Ballard社が固体高分子形燃料電池の開発に成功し、電力密度の向上で電気自動車等への搭載が可能となり、技術開発競争に火がつく。
日本においては、旧通商産業省(現:経済産業省)工業技術院がムーンライト計画において、燃料電池の開発を開始したのがはじまりとされています。
「電池」と名前が付いているが、水素と酸素を与えれば自分で電気を作り出せるので、使い捨ての乾電池や電気を溜める充電池よりは、むしろ発電機に近い。
主反応自体からは水しか発生せず、また発電効率が高いことなどから、ノートパソコンや携帯電話などの携帯機器から、自動車や大規模施設の自家発電、果ては発電所そのものまで、幅広い用途・規模をカバーするエネルギー源として注目されている。
燃料電池そのものの素材は炭素と白金、フッ素系や炭化水素系の高分子膜で出来ていることが多い。
希少金属の白金を使用していることから、大規模に商品展開された際の白金供給に不安が抱かれている。
水が液体でないと問題が起こる。特に凍結。
通常の熱機関の効率は
εT=1-TL/TH
TH=800K,TL=400KのときεT=0.5
で、これを越えることは無理。現在の発電所は40%くらい。
燃料電池の場合
εE=ΔG゜/ΔH゜→単純計算上、理論的には83%の効率が可能。
ただし、過電圧(抵抗過電圧・活性化過電圧・濃度過電圧)によるエネルギー損失(熱放出)があるので、実際に83%の発電効率を実現することはできていない。
実際は50%程度の効率となる。これでも熱機関の最高効率並の高効率発電装置であることに変わりない。
高圧タンクを利用したり、メタノールから改質器を利用したりする方法がある。
(燃料を補給しさえすれば)電池が無限に持つ。メーカーなどからは2005年くらいには何とかなるだろうという話もあるので期待している