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Photo: maroke / Getty Images

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フィガロ(フランス)

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Text by Régis Arnaud

20年前と比較して、犯罪件数が大幅に減った日本。海外から来た観光客は、カフェのテーブルに置きっぱなしのスマートフォンや、道端の自動販売機に「平和」を感じ、日本に詳しい海外紙記者も、日本で流れるニュースの「のどかさ」に驚く。そして、仏紙「フィガロ」の記者は問う。「いったいなぜ、この国はこんなに犯罪が少ないのか」、「その理由は、どこにあるのか」と。

日本で1年間に押収された大麻の量は、フランスの320分の1、強盗の件数は37分の1、窃盗は13分の1。これが日仏の犯罪に関する主要統計の差だ。両国は多くのテーマに関して何かと比較したがるが、この興味深いテーマに関する研究は、あまりにも少ない。

日本のマスコミが報じる軽犯罪の数々は、この国の“のどかさ”を物語っている。「ぶどうが盗まれた」、「『ショート』のお金を払っておいて『ロング』のコーヒーを入れた」、「豆腐が盗まれた」……。ほんの些細な理由で逮捕される事例こそが、日本の警察がいかに暇かを示している。警察にとって、手錠をかける相手がどんどんと減っているのだ。

警察庁によれば、犯罪件数は2002年をピークに4分の1に減少した。こうした記録は、世界各国の内務大臣を羨望の念に駆り立てることだろう。たとえば、警察庁の最新の集計では、国内の殺人発生率はフランスの4分の1。人口10万人当たりの強盗の発生件数はフランスの44.3に対して日本は1.2。窃盗は、フランスが457.6、日本は35.2である。

犯罪学の第一人者である龍谷大学教授の浜井浩一は、さらにこう話す。「日本は麻薬密売の抑制におおむね成功しています」。彼によると、人生で大麻を経験したことがある日本人は1%台であるのに対し、フランス人は32.1%、米国人は41.9%だ。2023年、フランスでは128トンの大麻が押収された。いっぽうの日本はと言うと、麻薬・覚醒剤乱用防止センターの数字を見ると、同年に押収された乾燥大麻は約800kg(過去最高)で、これは同等の人口に対して320倍も少ない計算になる。

それだけではない。公共平和の証拠はいたるところにある。席を確保するためにカフェのテーブルに置かれた携帯電話、鍵もかけずにとめてある自転車、ぽっかりと口が開いたままのハンドバッグ……。大都市の女性たちも、夜遅くに帰宅することに些かの不安も抱かない。子供たちは幼い頃から一人で出歩いている。

こうした平和の象徴は、国内に何十万台もある飲み物の自動販売機だろう。毎日現金を貯める自動販売機は、まるで野放しにされた金庫のよう。西洋の観光客、たとえばフランス人たちは、こうした光景を羨ましく見つめるのだ。財布を紛失しても、数時間後に警察によって発見され、わずかな額すらなくなることなく封筒に入れられて戻ってくる。


この平和の理由は「警察」や「司法」にあるのか


この社会的な平和については、「被告人の権利をほとんど顧みない警察と、刑事司法制度にあるのでは」と考えたくなる。
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