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インドネシアのスマトラ島先住民ミナンカバウ族の内臓料理「グライ・オタク」(牛の脳カレー)Photo: Wikimedia Commons

インドネシアのスマトラ島先住民ミナンカバウ族の内臓料理「グライ・オタク」(牛の脳カレー)Photo: Wikimedia Commons

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アトラス・オブスキュラ(米国)

アトラス・オブスキュラ(米国)

Text by Andrew Coletti

動物の脳を食べたことはあるだろうか。食べたことがない人は、どんな見た目や味を想像するだろうか。古今東西、脳はどのように食されてきたのか、なぜ米国では脳を食べることが毛嫌いされるようになったのかなど、かなりニッチなテーマを、米トラベルメディア「アトラス・オブスキュラ」の食シリーズ編集者が深掘りする。


「『ステーキは食べられるけど、牛の脳なんて、これまで聞いたなかでいちばん極端な食べ物だ』と人々が言ってもいまはおかしくありません。でも歴史を通じて、それは問うまでもないことでした。『どの文化で脳が食されたのか?』と問う必要などなかった。誰もがそれを丸ごと食べていたのですから」

そう語るのは、内蔵の料理本を書いたヘルスコーチのアシュリー・バンハウテンだ。

伝統的に、多くの文化で動物の脳はごちそうと考えられてきた。そしてそれは、無駄ゼロの精神からというだけではなかった。濃厚で、脂肪分に富み、繊細な脳の舌ざわりと風味はユニークで、しかも脳はほかの部位と比べて手に入れるのが難しかった。

動物ごとに脳はひとつしか取れないというだけではない。自身のブログ「オファリー・グッド・クッキング(内臓的にいい料理)」で内臓肉の摂取を啓蒙する料理記者のジャニン・ファルジンは言う。

「頭蓋骨を切り開くのがものすごく難しかったのです。われわれの脳がどれほどしっかり守られているかが、よくわかります」

「脳食」古今東西


古代ローマ上流階級の宴で出された手の込んだ料理には、豚また子牛の脳を使った詰め物やスフレもあった。脳を薔薇で風味づけした印象的なレシピもその一例だ(続編で紹介)。

香港の稲郷飲食文化博物館には中国の宮廷での祝宴を再現した模型があるが、そのうちの一皿はキュウリの薄切りのうえに鎮座した生の猿の脳だ。
残り: 3359文字 / 全文 : 4134文字
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Translation by Yuki Fukaya

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アトラス・オブスキュラ(米国)

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