Text by COURRiER Japon
スペイン・カタルーニャ州出身のアート収集家、タチョ・ベネットがコレクションしてきた「公開禁止作品」のみを展示する美術館が、10月26日、バルセロナにオープンした。
マクドナルドのマスコット、ドナルド・マクドナルドを十字架に磔にした、フィンランド人作家ヤニ・ライノネンの作品「マック・ジーザス」は、イスラエルでの展示中に火炎瓶や発煙筒の攻撃を受けた。中国の反体制派アーティスト、艾未未(アイ・ウェイウェイ)が玩具のレゴを使って制作した「フィリッポ・ストロッツィの肖像」は、レゴ社が“政治的作品”へのブロックの販売を拒否したことで話題になったものだ。
さらに、エロティックだと批判を受けたパブロ・ピカソによる「347シリーズ」、拷問の描写が生々しいフランシスコ・デ・ゴヤの「ロス・カプロチョス」……2019年の「あいちトリエンナーレ」で展示中止に追い込まれた、韓国人アーティスト、キム・ソギョンとキム・ウンソンによる彫刻「平和の少女像」も展示されている。
マックのマスコットを十字架に…「マック・ジーザス」は芸術か? |
世界中から集められたこれらの作品の共通点は、政治的、宗教的、商業的な検閲を受けたり、社会的な圧力・攻撃の犠牲になったりしたという経歴だ。同時にそれらの作品は、人権問題や男性優位主義、権威主義などへの疑問を投げかけている。
ベネットは、「この美術館が表現の自由について考えるきっかけになること、そして検閲の図鑑になることを望んでいます」と話す。
「議論が作品を特別なものにする」
元ジャーナリストで、スペイン大手放映会社「メディアプロ」の共同設立者、そして現代アート作品のコレクターでもあるベネットが公開禁止作品を集めはじめたのは、2018年の春だったと仏紙「ル・モンド」は報じる。
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