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岸見一郎

岸見一郎

Text by Ichiro Kishimi

【今回のお悩み】

「50代独身です。やりがいのある仕事もあり友達もいるので日々の生活を楽しんではいますが、将来のことを考えると、ふとこれでよかったのだろうかと思ってしまいます」

今が不幸というわけではないけれど、人と同じような道を歩んでこなかったことに一抹の不安を覚える。もちろん、これから方向性を変えることだってできるけれど、20代のときのように「まだまだ若いから、人生これからどうにでもなる」というのとは違う。この腑に落ちない感情を、どう対処したらいいのでしょう。哲学者の岸見一郎先生に相談しました。

来し方を思って後悔しない人はいないでしょうし、行く末を思って不安にならない人もいないでしょう。

今振り返れば、「あのとき別の決断ができた」と思うことは多々あるかもしれません。しかも、別の決断をしていればただ人生は現在とは違ったものになっていたであろうというだけでなく、もっと幸福な人生を生きられているかもしれないと思ってしまいます。だから、後悔するのです。しかし、そのとき別の決断をしていれば、今もっと不幸になっているかもしれないのです。

それでも、とにもかくにも今生き長らえているのですから、その時々でできた最善の決断をして生きてきたと思っていいのです。ただし、その決断は「当時の最善の決断」なので、今振り返ったらそれが最善ではなかった、ということはたしかにあります。
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PROFILE

岸見一郎 哲学者。専門のギリシア哲学と並行し、アドラー心理学を研究。共著に『嫌われる勇気』、著書に『幸福の哲学 アドラー×古代ギリシアの智恵』ほか多数。

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