富裕層が直面する相続対策と資産防衛という深刻な課題に対し、長期的な家族の幸福を重視した提案を行うのが有栖川アセットコンサルティングだ。同社代表の鈴木子音氏に強みやこれまでの提案事例などを聞いた。
柔軟・誠実な姿勢で富裕層の信頼を獲得
代表取締役
鈴木 子音氏
東京・南麻布に拠点を構える有栖川アセットコンサルティングは、主に不動産を活用した富裕層向けの資産コンサルティングを行う。代表の鈴木子音氏は、前職で不動産情報サイトを運営していた経験を通じ、不動産の枠を超えた包括的なサポートの必要性を感じて同社を設立した。「当社の強みは、不動産売買に留まらず、税務や相続を含む課題を幅広い視点で解決する点にあります。お客さま一人ひとりの人生を見据え、長期的な視点で伴走することを大切にしています」と鈴木氏は語る。
一般的な不動産業者と異なり、同社は自社物件を保有せず、中立的な立場で最適な選択肢を提案する。資産コンサルティングの観点から、時には不動産の購入を延期したり、不動産以外の資産運用を提案したりする場合もある。この柔軟で誠実な姿勢で多くの富裕層から信頼を集める。
同社の顧客層は、富裕層の中でも企業オーナーや医師、会社役員、不動産所有者などが多い。「非上場企業のオーナーが相続税の準備を進める中で、自社株の評価額の高さに驚かれることがあります。近年の株価や不動産価格の高騰により、相続税の課税負担が予想以上に大きくなり、事業継続や資産維持が難しくなるケースが後を絶ちません」。同社ではこうした課題に対し、相続資産の圧縮効果が高い不動産投資を提案する。「同じ5億円でも、現金を同額の収益物件に変えることで、相続税評価額を大幅に圧縮できる可能性があります。借り入れを活用すれば、評価額をさらに引き下げることも可能です」と鈴木氏。不動産は相続対策だけでなく、資産保全にも有効だ。現金や株式に比べ、インフレ時にも資産価値が維持されやすく、相続発生後も残された家族が引き続き家賃収入を得られる点が魅力だ。
同社には、相続対策について税理士と話し合った後に、セカンドオピニオンを求めて親子で訪れる顧客が多いが、講じたはずの対策が不十分であったり、親子間で意見が対立している場合も少なくない。例えば、10億円相当の不動産を保有するある顧客は、「借金は避けるべき」「法人所有は相続対策にならない」との考えから、すべてを個人名義で保有していたため、所得税や相続税の負担が必要以上に増えていた。
「こうした思い込みが過度な負担を生むことが少なくありません。そこで、私たちは法人名義での運用や融資活用を提案しつつ、第三者の立場から親子間の意見調整を行いました。その結果、スムーズな相続準備が実現し、『税理士ではカバーできなかった部分を補完してくれた』との評価をいただきました」(鈴木氏)
円満な関係を保つため納得いくまで話し合う
不動産や相続に関する分野は専門性が高く、複雑な課題が多い。そのため、税理士に相続全体の取りまとめを依頼しても、不動産に関しては提携先の不動産業者に委託する場合が多い。一方で相続に知見を持つ不動産業者は限られるのが現状だ。「当社なら経験に裏付けられた確かな判断力と独自のネットワークを活用して、富裕層特有の事情に合わせた価値ある不動産を調達できます」と鈴木氏は力強く語る。
相続対策は家族間の合意形成が成功の鍵を握る。「親御さんが理想の不動産を購入しても、お子さんがその意図を理解していなければ、不信感が生まれることがあります。『税負担を1円でも安くする』といった姿勢ではなく、ご家族が円満な関係を保てるよう、納得がいくまで話し合いを重ねています」。
鈴木氏は「相続は家族へのラブレター」と話す。「思いを伝えるためにも不動産の専門家へのセカンドオピニオンが欠かせません。お客さまの思いを形にするお手伝いが、当社の最も重要な役割です」。
同社には、元ヘッジファンドの運用責任者など、多様なバックグラウンドを持つ専門家が揃い、顧客の思いや悩みを共有しながら、家族の幸せを追求するための最善策を共に探る体制を整えている。顧客の未来を見据え、全方位的な支援を行う同社の姿勢は、これからも多くの富裕層に安心と信頼を与えていくはずだ。
『不動産で資産を守る・受け継ぐ 富裕層ファミリーの相続戦略』
鈴木子音著・幻冬舎
相続税の基礎知識や不動産を使った相続対策のメリットはもちろん、物件選定基準や借入を活用した効果的な投資手法、資産管理法人の活用など、具体的なノウハウが満載。「相続の話はまだ早い」と対策を先送りにしている富裕層や、親と相続について話をするきっかけを探している人にとって必読の一冊。
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有栖川アセットコンサルティング
東京都港区南麻布5丁目15番9号 バルビゾン70 B1F
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