[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

人事領域(上流/elearing/ERP)コンサルでの人材開発/人事の一歩先の動向を考えます!

2chに見るサイト運営者の責任と表現の自由との兼ね合い

»

最近2chの周辺動向がかなりあわただしくなってきていますね。

発端は、この記事にもあるように、35歳の男性会社員が「2chで誹謗・中傷された」と東京地裁に書き込み者の情報の開示を申し立てたことに始まっているようです。裁判所はこの訴えを認め、2ちゃんねる管理人のひろゆき氏(30)に開示を命令しているのにも関わらず、ひろゆき氏は出廷することなく、これまで1日5万円の制裁金を課されたおり、結果会社員男性の債権は500万円を超えている。そこに対しひろゆき氏の財産の仮差し押さえを申し立てたのです。「財産」には軽自動車や銀行口座が含まれるが、2ちゃんねるのドメインである2ch.netも差し押さえの対象となっているというものです。

私は実を言うとひろゆき氏と対面で2度ほど話したことがあります。前職にて実は社内で2ちゃんねるの方々とコミュニティビジネスに関するディスカッションを何回か重ねたことがあるのです。私は会議室でのディスカッションで1度、ひろゆき氏も交えた飲み会で1度話しています。当日はまだSNSもブログも隆盛していない時代で、企業においてコミュニティビジネスをどのように展開していくかの黎明期にありました。

その当時非常に印象に残っているのは、幹部向けの会議室に2ちゃんねる関連の方々(モナー人形作成者やひろゆき氏、運営会社の東京プラス関係者などなど)が一同に解しているのですが、全然弊社の社員とかみ合っていなかったことです。各自会議参加者には名前のプレートが配られているのですが、2ちゃんねる側の参加者はネームプレートはすべてHN(ハンドルネーム)であり、弊社社員は全て本名。当方はスーツで先方は普段着、ひろゆき氏はヘアバンドというラフな格好であり、そもそもスタイルからしてかみ合っていなかったのですが、双方の意見もあまり有益なディスカッションにならなかったように思います。確かにSNSを企業向けソリューションとして展開するような構想を以前勤めていた会社と2chとで抱いていたのですが、結果やはりソリューションとしてきちんとした形をとることが出来なかったことからみても、シナジー効果がでなかったことがわかります。

当時からひろゆき氏はたくさんの訴訟を抱えており、午前中はずっと法務局にいるといっていました。それでも様々な訴えを処理しきれないといっていたのが印象的です。そう考えると現在の裁判を全て無視しているというのも、対応仕切れなくなった結果として今の状況にあるのではないかと推測されます。結果として意図的に無視しているということなのではないでしょうか?私にはそう思えますが実際のところはどうなのでしょうか。

2chでは先日から「賠償金滞納処分差し押さえ物件」とトップページに表示しています。管理者たちが皮肉っているのだと理解していますが、2ちゃんねるらしい対応です。

そもそもドメインを差し押さえるということ自体異例であるし、資産としても無形資産なのか有形資産なのか、そもそもドメイン登録者がひろゆき氏でないのに差し押さえできるのかなどが結構話をされていますが、何故だかあまりこの件と表現の自由を論点として真剣に考えている論陣を見かけません。

結局のところ、この2ちゃんねるの問題は「サイトを運営する立場の人間がどこまで管理するのか」ということです。様々な論説では君臨すれども管理せずという2ちゃんねるの立場に批判的な論調が多いのです。また匿名での書き込みに対する批判というのも非常に多いように思います。

しかし私は個人的には本当にそういった点だけ考えればいいのかということが大きく気になります。これだけサイトとして有害であるとか、匿名書き込みには情報の信頼性がないとか言われていても、2ちゃんねるが未だに巨大サイトであり、ある種の世論を動かす要因(田代まさし投票の件や江ノ島のごみ拾い、モナー人形でのエイベックスとの一件などなど)となりえているのは、それだけそこにアクセスに値する刺激的な情報がその良し悪しは別としてあるからなんですよね。つまりはユーザーに求められている情報がそこにあるわけです。もちろん非常に一部にはそういった違法な情報もあるでしょうが、ある意味ではメディア規制がかかっていない信頼性は低いが生の情報が得られるわけです。

これってちょっと東スポに似ていると思うんですよねw根も葉もない事を面白おかしく書いて、ユーザーもその信頼性が低いのが分かっていて楽しむ。そこを違法にならない範囲内で楽しむというのが東スポであり、2ちゃんねるの本当の楽しみ方だと思うわけです。

2ちゃんねるについても、匿名情報で刺激的な表現を書き込み者も投稿するし、それを楽しむ一定層(1000万アクセスですからかなりの量です)もいる。毛嫌いする人が多い一方で、2ちゃんねらーも相当数多いわけです。

サイト管理者が全ての情報を開示するべきなのであれば、基本的には彼らが自主規制をせざるを得なくなるわけです。これはテレビやマスメディアにおける表現において、テレビ局が自主規制をするのに非常に似ています。ただ大きく違うのは、放送は出演者をテレビ局が選べるし、生放送でなければ編集も出来ることです。

これはネットの場合にはどうでしょうか?自由に様々な参加者が自分の意見を他人のサイトや掲示板、ブログ、SNSに書いていくという中で、管理する側が全ての情報を把握し管理することが非常に難しいわけです。YOU TUBEなどは神経細かに違法ファイルのアップロードがないか管理をしていますが、それでも精々アダルト関連コンテンツをフィルタすることくらいで、著作権や人権についてはまだまだ自主管理が出来ていないのが現状です。先日のYOU TUBEのブラジルにおけるアクセス規制などその典型であるでしょう。

web2.0で盛んに昨年あたり言われていた常にβ版という概念はこの危険性を一層大きなものにしています。mixiにしても常に違法な写真をアップする可能が付きまとうし、You Tubeも前述の通りです。またMy Spaceの音楽ファイルも同様です。

違法なコンテンツがそのサイトに乗っていたり、誹謗中傷の元になっている情報を常に情報開示することは運営者にとって必要なことではあると思います。しかしすべての情報を運営者が自主規制することが当たり前になる社会が果たしていい社会でしょうか?

いまや前述の表現の自主規制は雑誌、テレビ、ラジオ、映画などの主要なメディアでは強くなっている傾向にあります。それによって摩擦や刺激の強い表現や多様な意見というものをメディアはあつかいづらくなってきている。そこを吸収していたメディアがネットであり2ちゃんねるだった訳です。

以前に書いたネットにおける著作権と同様に、この表現の自由とサイト運営ということをどう考えるのか、これもネット社会が今後進んでいく上で法律も含めて利用者一人一人が真剣に考えなければならないことだと思います。各個人が本当に言いたい事を言えるメディアはいつの時代でも求められており、それを上手く運営する手法と法律の充実も必要な施策であると考えています。皆さんの意見も聞かせてください!

Comment(9)