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なぜ生成AIを導入しても効果が出ないのか──生成AIを経営に実装するために必要な“工夫”とは

DIGGLE Next Growth Conference レポート

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 「生成AI元年」と呼ばれる2023年以降、多くの生成AIサービスが登場し、それらを業務に活用する企業も増えてきた。一方、生成AIを取り入れたものの、期待した成果を得られていないという事例も少なくない。2024年9月19日に開催された「DIGGLE Next Growth Conference~企業成長を導くこれからの経営企画とは~」では、株式会社松尾研究所の金剛洙氏とデロイト トーマツ コンサルティング合同会社の馬渕邦美氏が、生成AIを業務に取り入れ、さらに経営に活用していくためのポイントについて議論を交わした。モデレーターは、株式会社Preferred Networksの岡田利久氏が務めた。

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日本企業におけるAI活用の現在地

 生成AIが注目を浴びるようになって久しいが、日本企業における生成AI活用はどの程度進んでいるのか。Preferred Networksで生成AI関連事業に携わるモデレーターの岡田氏は、デロイト トーマツ グループが実施した「プライム上場企業における生成AI活用の意識調査」の結果をもとに、日本のプライム上場企業における生成AI活用の現状を示した。

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 最初の調査トピックは、「今後予定している生成AIの活用目的」だ。調査結果を見ると、業務の効率化や自動化、業務コストの削減といった、業務改善目的が上位を占めているのがわかる。一方、岡田氏は「イノベーションの加速」が5位にランクインしていることに注目。役職別の割合から、経営層に近づくほど同項目に対する目的意識が強いことが窺えると指摘した。

 これを受けて、デロイト トーマツ コンサルティングのパートナーおよび執行役員を務め、経営へのAI実装に関する書籍も多数出版している馬渕氏は、「経営層と現場で、生成AIの捉え方が二極化している」と分析。経営層は「インターネットやスマホに次ぐ大きな波」と捉えて会社変革の必要性に気づいているが、現場は「業務を円滑に進めるためのツール」という認識に止まっており、社内のコンセンサスを形成できていない状況が示唆されているという。

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 では、実際に生成AIを導入している企業は、どの程度の割合に上るのか。岡田氏は次の調査トピックの結果を示し、導入度合いの差はあれど、約88%のプライム上場企業が生成AIを導入していることを確認した。

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 さらに、「生成AI導入による、社内の意思決定スピードの変化」という調査トピックに移った岡田氏は、生成AIを利用している社員が多い企業ほど、社内の意思決定スピードが上がったと感じているという、「きれいな相関関係」が見られると指摘。とはいえ、全体としては「意思決定のスピードに変化はないが、今後向上する見込みである」という項目がボリュームゾーンとなっていることを踏まえ、馬渕氏に考察を求めた。

 馬渕氏はまず、生成AI自体が意思決定することはないため、意思決定のスピードアップは即ち、意思決定に至るプロセスの効率化であるという前提を確認した。その上で、現状は「とりあえず生成AIを導入した」という企業がほとんどのため、大きな変化を感じられていないのではないかと推測。生成AI導入後に企業側が何のアクションも起こさなければ、生成AIを自発的に利用する社員は圧倒的な少数派に止まり、生成AIへの指示文であるプロンプトを自ら書く社員はさらに少なくなるだろうと述べた。だからこそ、各部署に生成AIによる業務効率化の実績報告を課すなど、生成AIを日常業務に埋め込む作業が大切なのだという。

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この記事の著者

山田 奈緒美(ヤマダ ナオミ)

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