BCG流ピープル・トランスフォーメーション(PX)を説く
事業環境はここ数年で格段に不透明さを増し、その変化のスピードも加速している。この事態に立ち向かえる組織の姿を、日本企業は描けているだろうか。
従来の組織体制だけでは対処しきれない現実が浮き彫りになり、人材不足が企業活動に与える影響も無視できなくなっている。人が育ちイノベーションが生まれる組織風土の改革や、そこで働くことに価値を見出せるエンゲージメントの向上など、全社的な組織づくりなしには自社の持続的な成長は望めない。実際、「立派な経営戦略を描いても、必ずヒトの問題でストップしてしまう」という相談が日々多くの企業から寄せられる。
企業の競争力と成長の根幹は、組織と人材だ。にもかかわらず、それらを「経営課題」にまで高めて議論できている企業はまだ多くない。私たちはそこに、日本企業のポテンシャルを解き放つ鍵が眠っていると考えている。経営と組織を密に連動させ、人材起点の変革を促す戦略「BCG流ピープル・トランスフォーメーション(PX)」の考え方を、BCG組織・人材グループのエキスパートたちが解説する。
(竹内 達也 BCG組織・人材グループ日本リーダー)
第1回 パーパスと経営との連携性――経営に活用できるパーパスを作るには?
(アソシエイト・ディレクター 岡崎 恒)
「パーパスって簡単に作れるんじゃない?」。近頃、そんな声を耳にする。しかしあえて厳しいことを言うと、実際には多くの日本企業がパーパスを本質的には理解できていない。意味のあるパーパスを構築して活用するには、緻密なアクションが必要になる。
第2回 組織のグローバル化に必要な“3種の神器”
(マネージング・ディレクター&パートナー 長谷川 隼也、プリンシパル 林 明日香)
日本企業がグローバル化するとき、課題となるのは何か。今回は特に組織・人材の切り口から、BCGの見立てを示したい。キーワードは「ガバナンス設計」である。組織設計、ではない。
第3回 経営と人事をつなぎ競争優位を築く人材ポートフォリオ戦略
(パートナー&ディレクター 坪井 淳)
日々さまざまな業界の企業から相談を受けるが、どれも極端に言えば「人材不足」の一言に尽きる。しかし、日本企業は人材確保に何の手も打ってこなかったのだろうか?なぜ今、これほどまでに切迫した問題になっているのだろうか。
第4回 「社員が動かない」と悩む変革リーダーが検討すべき3つの視点
(アソシエイト・ディレクター 國生 恭子)
「人は変化を好まない」とはよく言われるが、その意味を痛感するのは自分自身が変革のリーダーになったときではないだろうか。変革の目的は明確。強い反対者がいるわけでもない。だが、意図通りに「組織が変わっている」という実感は、どうも湧かない。