日本帝国の敗北を描いたリチャード B.フランク著「Downfall (転落)」(1999年、ニューヨーク市ランダムハウス社刊)から、広島長崎原爆投下前夜の政策決定プロセスを記述した部分を邦訳した。あの恐ろしい大量殺戮兵器の標的を日本のどの都市にするかを決定する間に、彼らにどれだけの倫理的配慮が働いたかをうかがい知ることができるかもしれない。 米退役軍人の間で、「原爆を投下しなかったら、本土侵攻で数十万人の米兵が戦死しただろう」、あるいは「パールハーバーがなかったら、広島もなかっただろう」という後付けのへ理屈がまかり通っているが、投下前に米国の政治家や科学者たちがどんな判断を下したか判断の鍵になると思って翻訳してみた。 なお、退役米軍人たちとEメール上でこの問題を議論した際、ある米人女性から読むように薦められて比較的最近に刊行されたこの本の存在を知った。 ・・・・・・・・・・・・