→紀伊國屋書店で購入 「ケータイ・モデル」 ケータイというのは奇妙な道具だとつくづくと思う。それは近さを遠さに変えてしまうものであり、遠さを近さに変えてしまうものだ。仕事の打ち合わせなどで相手がもぞもぞとケータイを取りだすと、気が殺がれていやなものだが、考えてみるとこれは近くにいるからといって、実際に「近い」わけではないことを相手に知らず知らずに知らせる手段ともなりうる。わたしはあなたと話をしていると、あなたは思っているかもしれないけど、実はあなたでない人と話し合っているのよと。 だから話している友人にケータイがかかってくると、とたんにその友人は「ここにいる人」ではなくなってしまうのだ。ケータイは人を遠い場所にさらってしまう。もちろん電話も同じ役割をはたしたのだが、受話器はでこにでもあるというものではなかったのだ。その質的な違いは大きい。 本書はハーバーマスの『コミュニケーション的行為の理