原作とは違う「後味悪い幕切れ」 また、これも教科書には掲載されていないが、原作の最後の部分にはこうある。 「ぼくは、星野君の甲子園出場を禁じたいと思う。当分、謹慎していてもらいたいのだ。そのために、ぼくらは甲子園の第一予選で負けることになるかも知れない。しかし、それはやむを得ないこととあきらめてもらうより仕方がないのだ。」 星野はじっと涙をこらえていた。いちいち先生のいうとおりだ。かれは、これまで、自分がいい気になって、世の中に甘えていたことを、しみじみ感じた。 「星野君、異存はあるまいな。」 よびかけられるといっしょに、星野は涙で光った目をあげて強く答えた。 「異存ありません。」 ここで星野君は監督の「処分」を受け入れ、自分なりの態度をはっきりと表明している。教科書の、後味悪い幕切れとは大違いだ。作者はここで星野君が間違っていたことを念押ししたかったわけではなく、真摯に反省ができる人間の