芸術の世界と言うのは常に不公平なものだ。世の中が豊かになった現在、アーティストは生きているうちに有名になりたがり、艱難辛苦の道を歩むことは性向では無いと見做しがちだ。本来芸術とはまず自分の中での一貫した評価があり、それをさらに他人が評価できるか否か(自分の評価が正しいかどうか、は100年後にわかるかもしれないけれど)によって芸術と認められるかどうかが決まるものだ。だから、商業芸術的なものは必ずしも真の芸術ではないかも知れないが、アーティストへの富への分配はこちらのほうが多いことがある。 かつて、芸術家がマーケットではなく、パトロンに養ってもらっていたときも、同様であって、必ずしもパトロンの審美眼が正しいわけではなく、ただ気に入られたことでプッシュされているだけの芸術家も居ただろう。それは、「当時は有名今無名」の芸術家が多数いることからも明らかである。 今、例えば再販制度で出版社を維持しない