睡眠不足が身体に悪影響を与えることは広く知られているが、極度の睡眠不足がなぜ死に至るのか、その具体的なメカニズムは長年の謎であった。 研究チームはショウジョウバエを用いて、複数の方法で睡眠を妨げる実験を行った。具体的には、温度感受性のイオンチャネルを神経細胞に発現させて睡眠を抑制する方法、機械的な振動を与え続ける方法、睡眠調節遺伝子の機能を失わせる方法などだ。 いずれの方法でも、睡眠を90%以上奪われたハエは約10日後から死に始め、通常の寿命よりもはるかに短命となった。 睡眠不足のハエの体内を調べたところ、脳や筋肉などの組織には大きな変化が見られなかったが、腸だけに顕著な異常が認められた。腸内で活性酸素種(ROS)と呼ばれる有害な分子を蓄積させ、これが死因となることが明らかになった。 腸内では活性酸素種が徐々に蓄積し、10日目にピークに達していた。活性酸素種は不安定で反応性が高い分子であり