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チュートリアル / もしもMotionBuilderでプリビズをしたら
第11回:モーションキャプチャを使ってみよう(2)

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前回はスーツタイプの高性能モーションキャプチャシステムMVNを紹介しました。が、MVNも安価になったとはいえ700万円を超える高価な品物、だれでも持てるわけではありません。もっと手軽に使えるものってないのかな〜とお思いではないでしょうか。あるんですよ。


低価格なモーションキャプチャシステム

米国NaturalPoint社のOptitrackは、最小システムであれば100万程度で組める光学式モーションキャプチャシステム。プリビズ会社では米国Halon Entertainment社や英国NVizagi社等で使用され、日本のCG制作会社にもかなりの販売実績があります。Insight VCSというバーチャルカメラや、V120というカメラが3つ(または2つ)ついた小型スキャナーもあり、用途に応じてシステムを組む事ができます。



それでも100万円以上のシステムは個人レベルでは高嶺の花でしょう。さて、他にないものでしょうか。あるんですよ。

それはMicrosoft社のゲーム用センサーKINECTを使ったシステムです。

KINECT for Windows

KINECTは、2010年に発売されたXbox360に付属していたゲームデバイスです。コントローラを用いる事なく、ジェスチャーや音声によって体感的な操作を実現する画期的なデバイス。RGBカメラ、深度センサー、マイクが内蔵されており、そこで捉えた映像および音声情報によりプレイヤーの動作を検出します。これを使うとプレイヤーは、まるでゲームの中に自分が入り込んだような感覚でゲームを楽しむ事ができるようになります。

こんなおもしろいシステム、開発者が放っておくはずはありませんね。世界中のソフト開発者がデバイスを解析し、独自のモーションキャプチャシステムを構築し始めました。Youtubeで検索すればたくさんヒットしますから、見てみて下さい。

ですが、KINECTはあくまでXbox用のゲームデバイス。商用使用はできませんでした。そこで、Microsoft社から2012年2月に発売されたのが「KINECT for Windows」です。
若干改良はされているもののXbox用と大きな差はありませんが、何より商用使用が可能になった事でモーションキャプチャへの利用の扉が開かれたのです。

KINECT for Windowsを使用したモーションキャプチャソフトとしては、米国Reallusion社の「iClone5 Pro」と露国iPi Soft社の「iPi Motion Capture」があります。
「iClone5 Pro」も非常によくできたソフトなのですが、今回は「iPi Motion Capture」を取り上げたいと思います。

iPi Motion Capture

このソフトのおもしろいところは、後処理タイプである事です。一般的なモーションキャプチャはリアルタイムでデータ収録を行ないますが、iPiでは、まずIPi RecorderでRGB及び深度映像の収録を行ない、収録した素材をiPi Mocap Studioを使って解析し、人物の動きを抽出します。
後処理で行なう事で、サンプル数も多くとる事ができ、精度を高める事が可能です。
高価なシステムであればカメラの解像度も高く、高精細にデータ収録ができるでしょうが、KINECTは基本が玩具なので、そこまで高い精度を求めることができません。それでも仕事に使うレベルで精度を高めるには後処理が良いのではないかと思います。

ということで、使ってみましょう。



KINECTを設置してからMayaでムービーをつくるまでに要した時間は30分。あっという間にできてしまいました。

今現状では、首の動きなどトラッキングできない部分があるとか、複数人に対応できないなどの不満な点もいくつかありますが、今年中に改善される予定です。
また、1台のKINECTではカメラに写らない部分(腕や足)が生じてしまいトラッキングができない場合もありますが、複数台(USBカメラの併用も可)使用する事でそれも改善されます。おもしろいでしょう!

ソフトの価格はKINECT一台による最小構成のExpressであれば4万円程度ですので、KINECT for Windowsを含めても7万以下で購入できてしまいます。これなら一人一台のデスクトップモーションキャプチャが実現できますね。

今後の活用

今回、MotionBuilderはiPiから出力されるモーションデータ(bvhファイル)を読み込ませ、Mayaへ転送するだけにしか使いませんでしたが、いくつかのモーションデータを読み込み、それを切り替えながらアクション毎にテイクを撮っていくなど、もっと活用できると思います。他のデバイスでカメラを制御してバーチャルカメラを利用すれば、もっと活用範囲が広がっていきますね。

今現状、KINECT for Windowsから直接リアルタイムでMotionBuilderへデータを流し込むデバイスプラグインは発売されておりません。
これがあれば、KINECTと他のデバイスを併用することができるようになり、もっといろんな可能性が生まれていくでしょう。
さあ、どなたかつくってください!

さて今回はお手頃なモーションキャプチャシステムをご紹介しました。前回の文末にも書きましたが、これらはあくまで道具、活かすも殺すもユーザー次第です。安価なシステムは様々な部分でコストを抑える代償として性能を犠牲にしています。どんなにがんばってもVICONやMVNなどと同等の性能は得られません。つまり、安価な分、それを補完するだけの素養がユーザーに求められるわけです。それを念頭において使うようにしましょう。

次回は、MotionBuilderの汎用性を高めるデバイスの使用方法について、お話ししようと思います。
お楽しみに。

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