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パチスロ生活しながらアプリ開発で1,500万円稼いだ「ダメ人間」が語る、ソシャゲとパチンコパチスロの客層融合説と、電卓アプリ作者が語る3年の収益推移

2018年11月16日 |

2名の個人アプリ開発者を取材しました。「個人開発者特集2018」の第四回です。

<目次>
・パチスロ生活しながら深夜のアプリ開発で1,500万円を稼いだ男
・電卓アプリ作者が語る、妻を笑顔にした「ほしいものリスト」の効果

1、パチスロ生活しながら深夜のアプリ開発で1,500万円を稼いだ男


※個人開発者のRissen(リッセン)さん。パチスロは10代の頃から20年間続けている。

Rissenさんはどうしてアプリ開発者になったんですか?

もともと、20代はフリーターとバンド活動をしていました。30代になって就職活動したのですが、どこも雇ってくれなくて、仕方なくスロットで生活していました。

ただ、30代半ばになって、さすがに危機感を覚えてきて。それで、職業訓練学校で3Dを勉強したあとに、また就職活動をはじめたんですよ。

そしたら、ようやくソシャゲ会社の契約社員になれたのですが、やる気のない態度が前面に出てしまい、半年でクビになってしまいました。笑

でも、会社で働いている間も、スロットで生活費を稼いでたので、給料がそのまま残っていたんです。そのお金でMacを買ってアプリ開発をはじめました。

最初はアプリを出してみて手応えはどうでしたか。

2013年の春ごろに、有料アプリを出してみたら、1日に200円くらい売れて。これはもっとつくればいけそうだ、という手応えがありました。

それで、ギャンブル系のアプリをつくりはじめたら、半年ぐらいで収入が月10万円を超えてきて、2014年には生活できる程度にはなりました。

そんな感じで、パチスロを打ちながら、アプリ開発する生活をしています。年間の最高でいうと、パチスロ収入が300万円、アプリ収入が500万円くらいです。


※スロットやギャンブル系のアプリがメイン。昨今のAppleの規制強化で削除されたアプリも。

具体的にはどんなアプリがうまくいったんですか?

初期に上手くいったのは「フリーズをひけ!」という、レバーをタップで連打していくと、たまに「スロットの当たり演出」が味わえるアプリでした。

その頃は、メーカーの「有料スロットゲーム」しかなくて、無料のスロットアプリも無かったので、ジャンル的に穴場だったんだと思います。

このアプリは、いまでもじわじわとダウンロードされていて、現在では累計15万ダウンロード、収益は200万円くらいになっていますね。

なるほど。ほかにはどうですか。

2015年に出した「1Kからの脱出」という実写の脱出ゲームが、累計20万ダウンロードで、130万円くらいの収益にはなっていますね

ただ、自宅をつかって実写にしたばかりに、「部屋が汚い」「作者の腕毛が汚い」など、レビューにはたくさんの文句が溢れてしまいました。笑

実写の脱出ゲームが、珍しがられたまでは良かったのですが、脱出ゲームが好きな人たちは、やっぱり綺麗な3Dを求めているんだなと。

ちなみに、動画広告をみると「ヒント」が出るようにしたら、収益の2〜3割を稼ぐようになったので、脱出ゲームと動画リワードの相性はいいと思います。

アプリ開発とパチスロ生活を両立させるってスゴくないですか?

いや、アプリ開発とパチスロ生活って相性いいんですよ。アプリって空き時間につくれるじゃないですか。自分にとっては好都合という感じでしたね。

自分の場合は、朝10時〜23時までパチスロ打って、帰宅して4時ごろまでアプリ開発する、という生活をずっと繰り返していました

打つ台がないときは、パチンコ屋の休憩所でパソコンで作業したり、台を取れなかった日は「今日はアプリでもつくるか」と家で作業してることもあります。

あと、スロット打つのって頭つかわないので。いまスマホで何でも調べられるし暗記も必要ない。そういうところも相性はいいのかなと感じますね。

ちなみに、パチンコ・パチスロやる人が減って「ソシャゲに流れている説」ってあると思いますか?

それ、逆なんですよね。自分もソシャゲをバカにしてたんです。でも、2015年ごろにパチンコ・スロットやる人たちが、急にソシャゲにハマりはじめて。

どういうことかっていうと、スロット台にスマホを立てかけて、スロット回しながらソシャゲやるんですよ。FGOのガチャとかすっごいやってる。

打ってるときってヒマだからですよ。やることないんです。その空き時間にソシャゲが入り込んできて、融合してしまったような感じです。

最近は動画みている人も多いです。スロット系のYouTuberみながら打っていたり。あとパチスロで勝った金をガチャにつぎ込む人もスゴく多い。

パチンコ・スロットとソシャゲって「相容れないもの」だと思っていたのでビックリですよ。笑

そうなんですか。それはおもしろい意見ですね。

とくに、2013年頃から「まどマギ」とかアニメのタイアップが増えはじめて。パチンコ屋の中に「萌え」が共存するようになったんですよね。

それで、アニメから入って「萌え台を打ちにくる」という若い人も増えてきた。自分はアニオタなのでもともと違和感なかったんですけど。

そういう人たちが、アイマスとかラブライブの、ソシャゲをやりまくってるんだと思う。正確にはどっちが先なのかわかんないですけどね。

自分の知ってるスロットパチンコ打つ人も、3分の2は確実にアニメを見ているし、3分の1はソシャゲをやっていて重課金していますね。

最後に、これからアプリ開発者になる人にメッセージなどあればお願いします。

俺、自分で「ダメ人間」って自称していて。ひとつのことちゃんとできない人間だから。なのであんまり参考にはしてほしくないんですけど。笑

ただ一言いうなら、会社に勤められる能力があるなら、絶対にやめちゃダメだよって思います。俺、働けないからこれやってるわけであって。

アプリ開発者もはっきり言って、売れた人より「消えちゃった人」のほうが圧倒的に多いんですよ。だから自分から命綱を外さないほうがいい。

でも、アプリってスゴイ世界ですよ。世界でつかわれる可能性があるものを、ここまで個人で手軽につくることができるというのは、自分の中では革命でしたね。

開発者のRissenさんのツイッター

(波乱万丈のアプリ開発&パチスロ生活が見られるのはツイッターだけ)

フリーズをひけ!(iOS/Android

2、電卓アプリ開発者が語る「レビュー返信」の重要性と、妻を笑顔にした「ほしいものリスト」の効果


※個人開発者の福崎さん

簡単に自己紹介をお願いします。

普段は会社でエンジニアとして働きながら、子育ての合間に個人アプリ開発者として、Androidアプリをつくってお小遣いを稼いでいます。

最初につくったのは「ComicCafe」という、自炊ファイルの閲覧アプリでした。このアプリには広告も入っていなくて収益はゼロ円でした。

ただ、ヘルプページのところに、Amazonの「ほしい物リスト」を載せておいたら、寄付のような感じでものを送ってくれる人がいたんですよ。

子供が生まれたばかりだったので、オムツやおもちゃなどを送っていただきました。総額で2万円以上は送っていただいたと思います。

そんなこともあるんですね。

気持ちが本当に嬉しいですよね。自分でアプリをつくってみたら、どこかに気に入ってる人がいて、温かい寄付がもらえることもあるんだなと。

普段は、夜遅くにパソコンやっていると、妻にもいい顔されないんですけど、オムツが届くと「人の役に立っている」と伝わるようで、一緒に喜んでくれましたね。笑

なるほど。いまはどんなアプリをつくっているんですか。

いまは「計算式電卓」という電卓アプリの開発に専念しています。2015年の11月にリリースして、約3年ほど運営しているという状況ですね。

ダウンロード数としては、累計11万ダウンロード、収益は73万円ほどになっています。(広告収益:33%、有料版収益:67%くらいの比率)

国別のユーザー比率としては、日本が30%、インドが30%、その次がインドネシアという感じです。収益では日本が5割ほどを占めています。

使い方としては、お小遣い帳のようにつかったり、ネットで買い物するときに価格比較したり、という感じでつかう人が多いのかなと思います。


※現在の有効インストール数は2万8,000くらい

広告収益よりも「有料版のアプリ収益」のほうが多いんですね。

そうですね。逆にいうと電卓アプリって「広告単価が低い」というのが弱点なんですよ。電卓やってるときに広告ってあまり見ないじゃないですか。

それに加えて、長くつかう人ほど「広告のない有料版」に移行してしまうので、固定ユーザーが安定収益になりにくいという事情もありますね。

3年間アプリの開発を続けて、すこしずつ収益を積み上げてきて、ここ最近は月3〜4万円くらいで推移しています。


※リリースから3年かけて地道に収益を積み上げてきた。

「ユーザー数を積み上げるコツ」で意識してることがあれば教えてください。

ひとつ、意識してやっているのは「レビューの返信」です。質問や要望のようなレビューには、大体ほとんど返信するようにしていますね。

なぜかというと、レビューってはじめ低かったとしても、なにか改善したり直したりすると、あとからレビューを上げてくれる人が多いから

要望をもらえるってことは、気に入ってくれてることの裏返しだと思うんです。どうでもいいアプリに要望なんて送らないじゃないですか。

だから、厳しいことや難しいことも言われるけど、こうしたほうがいいという意見は、アプリが複雑にならない範囲でなるべく聞くようにする。

いま、アプリの評価も★4.7くらいなのですが、ちょっとずつでも改善していくと数字は良くなりますね。

これまで「個人でのアプリ開発」をやってきてどう思いますか。

なにかを個人でつくったのは、Androidアプリがはじめてだったのですが、いま振り返ってみても「やって良かったな」と感じます。

それなりに楽しいし夢中になれるし、あわよくばお金まで稼げてしまう。時間とお金はかかりますけど、ほかの遊びをするときも同じですよね。

転職するときにも「こんなアプリ開発してます」って言えるし、そう考えると会社員にとってはメリットしかないような気もしてきますね。

開発者の福崎さんのツイッター

(多言語翻訳は日本語から直翻訳ではなく、英語を経由するとコストを抑えられるという)

計算式電卓(Android

個人開発者特集2018
【第一回】自作のクソゲーアプリに「息子への遺言」を埋め込んだ49歳の個人開発者
【第二回】勉強しないと止まらない目覚ましアプリと運用費ほぼゼロ「意見箱」の効果
【第三回】個人開発の高校野球ゲームが収益1,290万円超えるまでにやった3つのこと

【お知らせ】アプリの取材については「取材申請」のページから受付しています!

アプリマーケティング研究所編集部 アプリのマーケティングメディアです。アプリの売上を伸ばす施策やデータが学べるマガジン「月刊アプリマーケティング」もスタートしました。最近の記事は新サイトにて更新しています。取材申請はコチラのページから。
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