日本人の法意識の分析とそれを梃子に日本社会の問題に切り込む内容で楽しめました。著者に感謝です。が、僭越ながら割とありがちな結論のように思えましたので、気になった点について、(法の専門家ではないですが)僕なりのコメントしてみます。一つは、(法の専門家を含め)人々の法意識のどこに問題がありそうかという点、もう一つは、死刑を廃止すべき理由です。
■人々の法意識のどこが問題か? --- いろいろある人権のうち、どれが根本的か。
法に対する、(日本を含めいわゆる民主的な国家の)人々の意識には多分次の2面があると思います。
1)基点としての人権の意識
法の普遍的な基礎として人権(国連憲章や日本国憲法にあるような)があり、あらゆるルールは人権を基点としてこれを侵害しないように規定しないといけない、という法意識。
2)帰結としての法に対する意識
憲法以外の各種法令は(さらには民民の契約まで)、安心/安全で円滑に活動できる社会の実現には欠かせないが、往々にして力のある側(多数派という名の下)に都合のよい内容だったり、社会環境の変化に追いつかないことがあるので、憲法(基点としての人権)との整合はチェックしないといけないし、不整合なら声を上げないといけない、という法意識。
日本か欧米か問わず、多くの人々は、濃淡はあるものの、1)と2)の両方の法意識を持っていると思います。もちろん、著者が書いている通り、日本人は欧米に比べ法意識が未熟で、報道機関含めた社会システムとしても法令チェックや不整合を正す機能が十分ではないとは感じます。
が、もし法意識やリテラシーを欧米並にすれば社会が改善するかというと、そう単純な話でないことは、欧米で格差・分断の問題が収拾つかない状況になっていることから明らか。
では、何が法意識に関する本質的な問題か?
僕は、人権といっても、ちょっとモヤッとしているからではないかと思っています。どういうことかと言うと、例えば、日本国憲法第13条では<生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り・・・>と、人権には条件が付く。じゃ、どこまでが公共の福祉に反しない範囲かというと、それは時代/環境で変化するし、いろいろな解釈がありうる。
つまり、法意識に関わる本質的な問題は、世界中の人々が、人類社会を崩壊させないため、これだけは何としても徹底しなきゃ、という根本的な人権(法の公理)が明確でないことではないか。
そうだとすると、今の世界ではどれが根本的な人権か?
僕は、生存権と、人は差別・虐待を受けない権利だと思います。
ここで、差別とは、対象となる人/人々(被差別者)を劣位に置くあるいは置こうとすることで、被差別者に精神的or肉体的or経済/社会的にダメージを与えることを意味します。--- なお、犯罪者の再犯を防ぐための治療的措置や隔離は、差別とは別ものです。
生存権は当然として、なぜ差別・虐待を受けない権利が根本的かというと、ウクライナやガザをはじめ世界で繰り返される差別・虐待を見るにつけ、多かれ少なかれ人間誰しもが持っている差別・虐待性向をうまくコントロールできないと、温暖化や環境問題への対処など夢物語、人類社会は早晩崩壊するだろうと思えるから。
なので、差別・虐待は駄目、特に人を死に追いやる差別・虐待は絶対NGという構えを初等・中等教育で徹底して編み込むのは、何より大事だと考えます。
■死刑を廃止しないといけない理由 --- その理由は根本的人権に基づく
著者は、死刑に反対し、その理由として次の3つを挙げています。第一に、(刑法)理論的な正当化が難しいこと、第二に、環境的要因の人間に対する影響が大きいこと、第三に、冤罪の場合に取り返しがつかないこと。特に、第三の理由が最も反論の余地が小さい、としています。
著者の挙げる理由を否定するわけではありませんが、僕は、法の基点を人権に置くとすれば、死刑廃止の理由も、人権、その中でも前述の根本的人権である生存権と差別・虐待を受けない権利に基づくのがロジカルだと思います。
根本的な人権の視点で見れば、死刑を廃止しないといけない理由は明白です。なぜなら、死刑は、生存権と差別・虐待を受けない権利の、究極の否定だから、絶対にあってはならない。
以上、著者の意見を、素人なりに深堀りできているといいのですが。。
ところで、上記の根本的人権と死刑の関係について「もし根本的人権を公理に置けば、死刑は当たり前に否定されるけど、それってダメだからダメって言ってるだけ(一種のトートロジー)だよね」という感想を持たれる方はもちろんいらっしゃると思います。僕もそうです。が、そもそも規範とはつき詰めればそういうもの(決めの問題で根拠はない)です。
なので、次の余談では、差別/虐待や死刑について、規範(ルール)の視点ではなく、どう感じるかという(感情)切り口で書いてみます。
■余談
刑法第38条には<罪を犯す意思がない行為は、罰しない>と規定されていて、人間には自由意思(自分の意思決定・アクション選択を、自分が意識的にコントロールしている)があることが刑法の大前提になってますが、そもそも人間には自由意志があるという思い込みが虚構なことは、脳科学や心理学を紐解かなくても、次のような内省でもわかります。
【質問】
猛暑の中、エアコンが壊れてしまった。古くて修理不可のため、量販店に駆け込みどれを購入するか検討した結果、AとBの2機種が候補として残った。比較すると、AはBより安いが、BはAより納期が早い。迷った末、納期を優先しBを購入した。--- これはまさに自由意志があるということではないのか?
【答え】
確かに自由意志があるように思える。しかし、AとBのどちらかを選択/購入する、という意思決定は何を基準(物差し)にして行われただろうか?コストアップよりも、エアコン無しの寝苦しい夜をなるべく少なくするのが重要だと考えたからに決まってるだろ、と言われるかもしれない。でもそれでは何が基準なのかの回答になっていない。ここでよく考えてみると、XよりYを重要だと考えた、というのは実は、YよりXの方に違和感がある(XよりYの方が快である)ということが本質であることがわかる。つまり、違和感(快・不快)が意思決定の基準になっている。さて、この違和感(快・不快)は、意思決定する時、意識的にコントロールできるだろうか?残念ながらできない。なぜなら違和感(快・不快)は湧いてくるもの、これまでの人生で蓄積された快・不快の記憶に依存するものだから。となると、意思決定は、自分で意識的にコントロールできない<違和感(快・不快)>に基づき行われていることになる。よって、自由意志は虚構。
自由意志が虚構であることを理解すると、世界が今までと違って見えてくる/感じられてきます。例えば、自由意志が幻想なのに、殺人犯を死刑に処すのは虐待だ。危ない人なら再犯を防ぐため治療するか、治療が無理なら隔離するのが合理的。そもそも、自分達に不都合な人は、抹殺して良いというメンタリティは、侵略戦争のメンタリティに繋がる。死刑は廃止すべき!という世界観が生まれてきたりする、といったことがあると思います。
つまり、虚構を認識することで、虚構が変質し世界が違って見えてくる。さらに、虚構自体を生きる時と、虚構をメタレベルで意識しながら世界を捉える時(特に、責任が問題になる場面)を、適宜切り替えながら生活することも可能になる。だから、自由意志が虚構であることの認識は、死刑廃止のみならず、人間社会の変化の大きなトリガーになると思っています。
久永公紀『意思決定のトリック』・『宮沢賢治の問題群』
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現代日本人の法意識 (講談社現代新書 2758) 新書 – 2024/11/21
瀬木 比呂志
(著)
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日本を震撼させた衝撃の名著『絶望の裁判所』から10年
元エリート判事にして法学の権威が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴く!
本書は、書名から明らかなとおり、日本人に根付いている「日本人特有の法意識」をテーマとする。私は、裁判官として三十三年間に約一万件の民事訴訟事件を手がけるとともに、研究・執筆をも行い、さらに、純粋な学者に転身してからの約十三年間で、以上の経験、研究等に基づいた考察を深めてきた。この書物では、そうした経験をもつ者としての、理論と実務を踏まえた視点から、過去に行われてきた研究をも一つの参考にしつつ、「現代日本人の法意識」について、独自の、かつ多面的・重層的な分析を行ってみたいと考える。
法学者・元裁判官である私が、法律のプロフェッショナルですら満足に答えられないような曖昧模糊とした「法意識」に焦点を合わせた一般向けの書物を執筆したのは、日本固有の法意識、日本人の法意識こそ、私たち日本人を悩ませる種々の法的な問題を引き起こす元凶の一つにほかならないと考えるからだ。
そればかりではない。意識されないまま日本人の心理にべったりと張り付いた日本的法意識は、日本の政治・経済等各種のシステムを長期にわたってむしばんでいる停滞と膠着にも、深く関与している可能性がある。その意味では、本書は、「法意識」という側面から、日本社会の問題、ことに「その前近代的な部分やムラ社会的な部分がはらむ問題」を照らし出す試みでもある。
この書物で、私は、日本人の法意識について、それを論じることの意味とその歴史から始まり、共同親権や同性婚等の問題を含めての婚姻や離婚に関する法意識、死刑や冤罪の問題を含めての犯罪や刑罰に関する法意識、権利や契約に関する法意識、司法・裁判・裁判官に関する法意識、制度と政治に関する法意識、以上の基盤にある精神的風土といった広範で包括的な観点から、分析や考察を行う。
それは、私たち日本人の無意識下にある「法意識」に光を当てることによって、普段は意識することのない、日本と日本人に関する種々の根深い問題の存在、またその解決の端緒が見えてくると考えるからである。また、そのような探究から導き出される解答は、停滞と混迷が長く続いているにもかかわらずその打開策が見出せないでもがき苦しんでいる現代日本社会についての、一つの処方箋ともなりうると考えるからである。
元エリート判事にして法学の権威が、日本人の法意識にひそむ「闇」を暴く!
本書は、書名から明らかなとおり、日本人に根付いている「日本人特有の法意識」をテーマとする。私は、裁判官として三十三年間に約一万件の民事訴訟事件を手がけるとともに、研究・執筆をも行い、さらに、純粋な学者に転身してからの約十三年間で、以上の経験、研究等に基づいた考察を深めてきた。この書物では、そうした経験をもつ者としての、理論と実務を踏まえた視点から、過去に行われてきた研究をも一つの参考にしつつ、「現代日本人の法意識」について、独自の、かつ多面的・重層的な分析を行ってみたいと考える。
法学者・元裁判官である私が、法律のプロフェッショナルですら満足に答えられないような曖昧模糊とした「法意識」に焦点を合わせた一般向けの書物を執筆したのは、日本固有の法意識、日本人の法意識こそ、私たち日本人を悩ませる種々の法的な問題を引き起こす元凶の一つにほかならないと考えるからだ。
そればかりではない。意識されないまま日本人の心理にべったりと張り付いた日本的法意識は、日本の政治・経済等各種のシステムを長期にわたってむしばんでいる停滞と膠着にも、深く関与している可能性がある。その意味では、本書は、「法意識」という側面から、日本社会の問題、ことに「その前近代的な部分やムラ社会的な部分がはらむ問題」を照らし出す試みでもある。
この書物で、私は、日本人の法意識について、それを論じることの意味とその歴史から始まり、共同親権や同性婚等の問題を含めての婚姻や離婚に関する法意識、死刑や冤罪の問題を含めての犯罪や刑罰に関する法意識、権利や契約に関する法意識、司法・裁判・裁判官に関する法意識、制度と政治に関する法意識、以上の基盤にある精神的風土といった広範で包括的な観点から、分析や考察を行う。
それは、私たち日本人の無意識下にある「法意識」に光を当てることによって、普段は意識することのない、日本と日本人に関する種々の根深い問題の存在、またその解決の端緒が見えてくると考えるからである。また、そのような探究から導き出される解答は、停滞と混迷が長く続いているにもかかわらずその打開策が見出せないでもがき苦しんでいる現代日本社会についての、一つの処方箋ともなりうると考えるからである。
- 本の長さ272ページ
- 言語日本語
- 出版社講談社
- 発売日2024/11/21
- 寸法10.8 x 1.5 x 17.3 cm
- ISBN-104065378257
- ISBN-13978-4065378250
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商品の説明
著者について
1954年、名古屋市生まれ。東京大学法学部卒業。1979年から裁判官。2012年明治大学教授に転身、専門は民事訴訟法・法社会学。在米研究2回。著書に、『絶望の裁判所』『ニッポンの裁判』(第2回城山三郎賞受賞)『民事裁判入門』『我が身を守る法律知識』(いずれも講談社現代新書)、『檻の中の裁判官』(角川新書)、『リベラルアーツの学び方』『究極の独学術』(いずれもディスカヴァー・トゥエンティワン)、『教養としての現代漫画』(日本文芸社)、『裁判官・学者の哲学と意見』(現代書館)、小説『黒い巨塔 最高裁判所』(講談社文庫)、また、専門書として、『民事訴訟法〔第2版〕』『民事保全法〔新訂第2版〕』『民事訴訟の本質と諸相』(いずれも日本評論社)等がある。
登録情報
- 出版社 : 講談社 (2024/11/21)
- 発売日 : 2024/11/21
- 言語 : 日本語
- 新書 : 272ページ
- ISBN-10 : 4065378257
- ISBN-13 : 978-4065378250
- 寸法 : 10.8 x 1.5 x 17.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 6,046位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 43位講談社現代新書
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- - 729位投資・金融・会社経営 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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カスタマーレビュー
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- 2024年12月11日に日本でレビュー済みAmazonで購入
- 2025年3月3日に日本でレビュー済みAmazonで購入読みやすくてわかりやすいです。
- 2024年12月25日に日本でレビュー済みAmazonで購入そんな場所だったんだと驚きましたが、不人気なのが分かりました。
現在は弁護士で稼ぐ方が人気なわけだ・・・。
- 2025年1月29日に日本でレビュー済みAmazonで購入「現代の日本人の法意識」とはどういう視点で捉えられているのかを知りたくて購入しました。また、私自身が離婚問題を抱えており、(元)裁判官がどのような意識でもって家事事件を捉えているのかを知るためでもありました。最初の100ページ強を読んだ限りなので、著者には申し訳ない気持ちもありますが、途中で読むに耐えず、読むのを止めました。
まず、日本の中・近世の法の運用、そして明治期の西洋法の急速な導入による法整備に触れます。歴史の過程からして、日本人の法意識が独特なものになったことは当然だと思います。それを著者は「西洋>日本」の視点で終始批判します。著者の視点には違和感を感じました。
そして、離婚については、離婚紛争での弱者を「妻と子」に限定していました。統計的にはDVによる傷害被害者は妻が7割ほどです。しかし、DVによる死亡事件となると、被害者は男女で半々です。精神的DV被害者についても、半数が夫です。男女間で体力的な差が大きいことは事実ですから、傷害被害者に女性が多くなる傾向になると思います。しかし、死亡被害や精神的被害の半数が男性であることから、傷害被害者に男性も実は多いのではないか、という推測が立つと私は思っています。男性は、ケガの程度から「被害届を出すほどでもない」と考えてもおかしくはないのです。結局は、「弱者は女性」とは言い切れないと思います。少なくとも、昨今の統計を見る限り、そのような結論は的外れとは思いません。
さらに、共同親権については、あくまで当事者を「夫婦」としていました。共同親権で救われるべき対象は「子ども」です。親権ではなく、「子への親の養育責任」なのです(国会の法務委員会で繰り返し触れられていました)。母子家庭の異常なまでの貧困率は、子と別居親(父)との「乏しい面会交流」の裏返しとも言えるはずですし、その傾向を示す海外での研究事例は多いです。共同親権を「夫婦の問題」として捉え続ける著者の姿勢には違和感を感じまた。そして「古い視座」とも思いました。
総じて、本書は「エビデンスの裏付け」が乏しい印象を受けました。「(元)裁判官の個人的な視点」で書かれた本、といった感じです。なぜこの本は出版されたのか、その社会的な意義を私は見つけることができませんでした。このように、本の論調が、終始、著者の個人的な視点で展開されている気がしてならなかったため、本を読むのを途中で止めました。
- 2024年12月24日に日本でレビュー済みAmazonで購入最近の法律論争、立法上の対立など議論についてもわかりやすく触れられていて、勉強になります。
しかも中立的な、他人事的な解説ではなく、実践的で行動提起、提案までされてます。
お勧めの本です。
- 2025年1月30日に日本でレビュー済みAmazonで購入The item was good as described by the seller.
- 2024年12月10日に日本でレビュー済みAmazonで購入精度の高い分析力に説得力があり、自身の考察力も読んでいると身に付く感じがした。一応、読んだ限りでは、日本社会の風土が感じられたが、この風土は人一人では変えることが困難な場や雰囲気に支配されるごもっともな着眼点に法意識とは対立している現実を身をもって感じた。
- 2024年11月24日に日本でレビュー済みAmazonで購入既に,民事訴訟法や民事保全法の体系書を執筆されており、この司法エッセイの新書で、瀬木先生の22冊目の著作らしいです。
日本人の法意識にスポットを当てたものとしては,法社会学者川島武宜博士の「日本人の法意識」がありますが、その研究成果を踏まえた上で、現在の日本人の法意識について、5つの分野で分析をされています。
「婚姻,離婚、親権,不貞、事実婚,同性婚」「犯罪と刑罰、死刑」「冤罪、刑事裁判官,検察官」「権利,所有権、契約、民事訴訟」「制度と政治」
第7章と第9章はとくに興味深かったです。
元裁判官の視点からのひとつの日本人論として拝読しました。