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ノートル=ダム・ド・パリ(上) (岩波文庫) 文庫 – 2016/5/18


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フランス・ロマン主義を代表する作家ユゴー(1802―85)が、1482年のパリを舞台に中世の社会と民衆の風俗を生き生きと描く。醜い鐘番のカジモド、美しい踊り子エスメラルダ、陰鬱な司教補佐クロード・フロロ。〈宿命〉によって結ばれた登場人物たちが、運命にもてあそばれ、愛や情熱や嫉妬といった感情のドラマを繰りひろげる。(全2冊)

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 岩波書店 (2016/5/18)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2016/5/18
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 文庫 ‏ : ‎ 480ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4003253272
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4003253274
  • 寸法 ‏ : ‎ 10.5 x 1.9 x 14.8 cm

カスタマーレビュー

星5つ中4.3つ
86グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

  • 2024年6月24日に日本でレビュー済み
    1482年,パリ,裁判所。騒擾にまみれた聖史劇から物語は始まります。19世紀フランスのロマン派作家であるユゴーが,ノートル=ダム大聖堂(以下,大聖堂)をめぐる濃密な人間模様を描く本作品。本巻では,大聖堂の司教補佐クロード・フロロ,鐘番カジモド,ヤギを連れたジプシーの娘エスメラルダ,聖史劇の劇作家ピエール・グランゴワールといった役者が揃い,物語の下地が形作られます。

    本作品は序文で,ユゴー自身が大聖堂の壁に刻み込まれた『'ANÁΓKH』(宿命)の語を発見し,後年見失ったところから生まれた,と語っているように,大聖堂への底知れぬ愛情に圧倒されます。「彫像,木彫り,金彫り。こうした数かぎりない細部も,建物全体がかもしだす,豪壮で,落ちついた姿に力強く融合してしまっている。言ってみれば,巨大な石造の交響楽なのだ。」(p. 218)といった語りも本筋の一部と考えられ,「この本の中に,隠されている美学や哲学の思想を学ぶのもまんざら無益ではない」読者ためにわざわざ版を改めて追加された大聖堂の物語は,やはり人間模様と同じく熟読の価値があると思います。

    その物語とは,「一つの建築物の上に,いくつもの高さに,いくつもの芸術がつぎつぎと継ぎ足されていくこの種の溶接作業を検討してみたならば,たしかに,とても大きな本を何冊も書いたり,ときには世界史を書きあげたりするだけの材料が見いだされるのだ。・・人間の知能がここに要約され,集計されているのだ」(p. 230)というものです。すなわち,有史以来15世紀末まで,建築は人類の生み出した思想や芸術を刻み付けて定着させ,他者や後世に伝える「書物」そのものでした。

    それが,グーテンベルクの印刷術の発明によって一変します。何千人もの労働者が積み上げた何百トンもの石にやっとの思いで刻み付けられた思想が,わずかの紙とインクとペンが一本あれば,印刷書となって世界中のあらゆる場所に不滅の生命力を以て到達するようになりました。そのため建築は思想や芸術から見捨てられ,建築術は目に見えて退潮することになります。このことをユゴーは,クロードに「ああ!これがあれを滅ぼすだろう」(p. 347)と端的に表現させています。

    そして最終的には,「破壊の跡には三種類の原因による損傷を見わけることができるが,・・第三は,ますますグロテスクに,おろかになってきた流行だ。・・流行は革命よりももっと大きな害悪をおよぼした。」(p. 223)とあるように,流行に抗う力すら奪われ,時代の気分で気ままに形を変えさせられるようになります。大聖堂の「書物」としての役割の終焉を告げる筆致は,深い哀惜を感じさせます。

    現代でこそ建築をメディアとみなす言説は珍しくありませんが,200年近くも前にそれを明確に見抜いたことには只々感服します。19世紀フランス・ロマン派特有の中世への憧憬がその根底にあるのかも知れませんが,やはり大聖堂への情熱のなせる業でしょう。その語り口の熱量と明快な論理には,痛快さすら覚えます。

    さて,大聖堂を「滅ぼした」印刷書の総本山と言えば,フランス国立図書館でしょう。その源流は,シテ島の大聖堂の目と鼻の先にありました[1]。移転を繰り返しながら肥大化した図書館は現在,大聖堂から数キロのところにあり,建築家ドミニク・ペローによる開いた巨大な書物をあざといまでに形象化したその建物を大聖堂から望めます(*1)。このことには,強烈な歴史の皮肉を感じざるを得ません。もしユゴーが現代パリのこの風景を見たら,何と言ったでしょうか?

    [1] 白鳥洋子.フランス国立図書館の端緒,ルイ9世の図書館 -シテ宮サント=シャペルの宝物庫と19世紀の建築-.長岡造形大学研究紀要.2017;15:13-21.
    (*1) 2024年6月現在,火災からの修復のため観覧は中断
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2022年12月4日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    劇団四季で見た後、原作がどんな内容なのか知りたかった。実際に読んでみて内容は深くて面白かった。
    5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2023年5月31日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    中古ながら良品でした。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2022年11月21日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    パリの街並みやノートル=ダム大聖堂を想像させる描写が長い。当時の人には理解できるが現代の私達には少し分からない描写が多いので読むには時間がかかる。
    4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
    レポート
  • 2021年7月11日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    とても芸術的な作為がある。美術館に入ったみたいな本。
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2021年4月10日に日本でレビュー済み
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    俸礼謝様で購入しました!あたたかいメッセージを添えて送ってくださりました。とても嬉しかったです。楽しみにしていた原作!益々読みたくなりました。ありがとうございます。
    2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2020年6月8日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    他の方が最初の200頁ほど我慢して読めれば、あとはグイグイ読めます的なレビューを書いていましたが、実際には上巻は最後まで辛抱の一言でした。が、上巻に描かれている時代や人々の背景が、下巻に入って見事に立ち上がってきて、全体の情景を完成させています。
    25人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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  • 2019年9月28日に日本でレビュー済み
    Amazonで購入
    届きました。ありがとうございました。息子が喜んでます
    1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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