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予言者が語る「2022年」はどうか

ババ・ヴァンガについてはこのコラム欄でも数回、紹介した。“バルカンのノストラダムス”と呼ばれたブルガリアの予言者だ。1911年1月、現在の北マケドニアに生まれ、96年8月にソフィアで85歳で亡くなった。ヴァンガは13歳の年にトルネド(竜巻)に遭い、視力を失ったが、その後、多くの啓示や幻想を体験した。彼女が語る予言の約80%が当たることから次第に有名となり、ブルガリア国王ボリス3世は1943年、彼女のアドバイスを受けたという話が伝えられている。彼女の予言は口述によるもので、関係者が彼女の予言を集め、後日公表したものだ。最近では、「米国内多発テロ事件」(2001年9月11日)や英国の「欧州連合(EU)離脱決定(2016年6月)を言い当てていた。

ブルガリアの予言者ババ・ヴァンガ(ウィキぺディアから)

ヴァンガの「2022年の予言」を紹介する前に、予言には当たり外れがあることを前もって言っておきたい。予言能力のある人間は受けた啓示や幻想を第3者に伝えなければならない使命をもっている。その予言が当たるか、外れるかは予言者の責任ではない。このコラム欄でも「なぜ『予言』は時に外れるのか」2019年1月13日参考)で書いたように、予言を受けた人間側の対応次第で当たり外れが出てくるからだ。

ヴァンガは過去、「2010年11月から14年10月の間に第3次世界大戦が勃発し、核戦争が勃発すると予言したが、幸い、見事に外れた。それでは予言者は世間を混乱させるだけで有意義な存在ではない、という声も出てくるだろう。その指摘は一部当たっているが、そうとも言えない。予言は受け手次第でどのようにも解釈できる余地がある一方、その核には啓示的なメッセージが含まれていることがあるからだ。これは、当方が「マラキ預言書」、「ノストラダムスの予言」、「ファティマの予言」、「マヤの暦」などに心が惹かれる理由だ。

それではヴァンガの「2022年の予言」を紹介する。①シベリアで大昔に凍結されたものから、その後、新たなパンデミックになる可能性のあるウイルスが発見される、②世界の大都市で飲料水の不足が深刻化、③インドで極度の暑さから、作物の不作、飢餓、大量死が出てくる。

いずれも十分考えられる内容だ。特に、気候変化、地球温暖化などで地球の気温に変化が生じている時だから、それに関連した災害などが起きても不思議ではない。ヴァンガの予言の中では、①が興味深い。

ヴァンガは「2018年の予言」の中で「中国が世界の支配国となる」と予言していた。世界経済の状況から判断すれば、その予言は当たっていたが、ここにきて中国の国民経済に陰りが見えるなど、予言内容とは異なってきている。予言には実際に起きる前に人々に伝える、という使命と、警告を発するという2つの側面がある。すなわち、予言をまともに受け取り、災害が起きないように努力すれば、予言は当たらなくなる。予言者が時代で歓迎されない理由は、この予言のもつ本来の性格に起因しているわけだ、予言者は当たっても外れても時代からは「世を惑わす偽予言者」と言われ、罵倒される宿命から逃れられないのだ。

ちなみに、中国では予言ではないが、「逢九必乱」という言葉がある。その意味するところは、「9」という数字が付く年は社会が混乱したり、政治的暴動などが発生するという内容だ。過去の「逢九必乱」を見ると、①1949年:中国共産党が政権を奪う、②1959年:チベット蜂起、③1969年:中国とソ連の軍事衝突、④1979年:中越戦争の勃発、⑤1989年:民主化暴動(天安門事件)、⑥1999年:法輪功信者への大規模な弾圧、⑦2009年:新疆ウイグル自治区ウルムチで大規模な暴動、といった具合だ(「『9』の付く年は中国では大暴動発生!」2019年1月30日参考)。

それでは2019年は何が起きたのだろうか。中国武漢で新型コロナウイルスが発生し、世界で500万人以の犠牲者が出ているパンデミックは2019年秋に最初の感染者を出している。「逢九必乱」は当たっていたわけだ。

肝心の「2022年」はどうか。中国共産党は今年党創建100年を迎えた。中国語では「百年」は「死去」するという意味があり、一種の「ゲーム・オーバー」を意味するから「あとは降下するだけ」ということになる。22年は中国共産党政権の凋落の兆候が次第に目に見えてくるわけだ。

なお、ノストラダムスの予言では2022年、北朝鮮の指導者(金正恩総書記)が予想外の事故で死去し、政権が変わるという。平壌指導者が聞けば激怒するかもしれないが、16世紀の予言者の警告だ。

wildpixel/iStock (編集部)


編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2021年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。