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天然パーマです。

デザインという言葉を再考させられる「デザインの輪郭」

月初からはじめているメルマガ「ゆーすけべーラジオ」 の中でデザイン思考というテーマの連載を行っている。 そこで「デザイン」というもはやありふれた言葉を再考させられる素晴らしい本に出会った。 INFOBARや無印良品のプロダクトデザイナーとして有名な深澤直人氏の「デザインの輪郭」である。

デザインという言葉は現代のコンテキストからすると、2つの意味合いで使われることが多い。 一つは見た目のデザイン、もう一つはモノをつくる時のトータルなデザイン。 深澤さんが扱っているのは後者の方だ。 僕も今まで後者のデザインについて研究したり実践しようと努力したものだから、 多少なりとも語れるところがある。とはいえ、これが明確に論理的に言うってことが難しい。 深澤さんも少し抽象的な思惑や例え、比喩を使いながら工夫してそれを伝えようとしている。

中でも「行為に溶けるデザイン」が面白かった。 モノを使う人を観察することとその行為になじませるデザインって例えばこういうものがある、 といういい例になる氏の実話である。 メルマガでも引用したが、こちらでも引用させてもらう。

傘立てがなくて、たまたま床にタイルが敷かれていて、その幅七ミリ程度の タイルの目地に傘の先をあてて壁に立てかけるということは、きっとほとんど の人が無意識にする行為だと思う。...

幅七ミリ程度の目地と同じような溝を、玄関の隅に壁から10センチ程度離して 壁と平行に引けば、傘立てになると思った。訪れた客は傘立てらしきものが 見当たらないので、その溝に傘の先をあてて立てるだろう。私は傘立てをデザイン し、客は結果的に傘を立てるという目的を達したことになる。しかし、そこには よくあるような、円筒のような傘立てらしき物体の存在はないということだ。 デザインは存在し、目的も達しているが、物体は消える。これは「行為に溶ける デザイン」ということだなと思った。

注目すべき点はいくつかあるが、大きなポイントは傘を立てる行為を観察して、 溝を掘る行為こそデザインであるということだ。 その視点に立つと今作っているWebやiPhoneなどのアプリへの応用が効くような気がして、 取り入れたいと思っている。

本書の特筆すべき点として最後に、本自体の装丁が美しくかつ、非常に読みやすいことだ。 ページのどこをめくっても大きく開くところがよい。 また、今回取り上げた行為に溶けるデザインの他にも様々なデザイン感覚に触れることができて素敵。

デザインの輪郭
デザインの輪郭
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深澤 直人
TOTO出版
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参考