いつからか耳にするようになった「スクールカースト」という言葉。その最底辺に位置している生徒が一発逆点を狙うならどうしたらいい……!?

今回ご紹介するのは、クィアの冴えない女子高生2人組が、人気者のチアリーダーたちの興味を引くためファイトクラブを結成する姿を描いた学園コメディです。

毎週金曜は各配信サイトで観られるオススメ作品を紹介する日。

今週もよく頑張った……週末はおうちでゴロゴロしながら、Prime Videoで『ボトムス 〜最底で最強?な私たち〜』を観て、カウチポテトになっちゃお〜!

【あらすじ】

高校3年生のジョシーとPJはレズビアンで親友同士。ジョシーはチアリーダーのイザベル、PJは同じくチアリーダーのブリタニーに想いを寄せていました。

そんなある日のこと、ジョシーとPJはイザベルの彼氏・ジェフにケガをさせてしまったことで退学の危機へと追い込まれてしまいます。

追い詰められたふたりが思いついたのは「女子生徒のための護身術クラブ」! 女子生徒同士の連帯をうたいつつ、意中のイザベル&ブリタニーとも急接近することになるのですが……。

【ココが見どころ!】

<その1:新時代のクィア映画>

本作には、いわゆるステレオタイプのキャラクターは出てきません。

たとえば、クィアのジェシーとPJは、めちゃくちゃ安易で軽薄。「好きな女子とヤリたい」というただ1つの目的のためだけに突っ走り、目的を叶えるためにとんでもないウソをつくことだってあります。

スクールカーストの頂点に立つイザベルの彼氏・ジェフは、(暴言失礼します!)イケメンだけど頭空っぽのおバカ。いっぽう、従来ならばおバカに描かれがちなチアリーダーのイザベルは、フェミニズムに関心が高く、知的で誠実です。

誰もがうっすら持っているであろう固定概念をぶっ壊す、キャラクター設定も必見!

<その2:フェミニズムの本質が描かれている>

アメリカの学園コメディで多くみられる「好きな子とヤリたくてアレコレ奮闘する」ストーリーを、クィアの世界に落とし込んでいる本作。そのため、お下劣ワードがバンバン出てきますが、どうかドン引きして途中離脱しないでください。

なぜなら、本作の本当の見どころは後半に待っているから。

意中の相手と結ばれるべく、自己防衛とフェミニズムを建前に女子だけのファイトクラブを立ち上げたジェシーとPJは、いつしか心に傷を負った女子生徒たちと連帯するように。やがて、女子生徒だけでなく男子生徒をも守ろうとするのです。

この描写こそ、フェミニズムの本質ともいうべきもの。「お下劣」から「大感動」への流れが実に見事なので、ぜひ最後まで鑑賞してほしい!!

<その3:友情ものとしても◎>

ジェシーとPJは軽薄だけど、「若気の至り」という言葉もあるとおり、若かりし頃は往々にして間違いを犯すものです。

本作では、間違いを犯してしまったジェシーとPJが、改めて友情を構築し直す物語でもあります。大好きな友だちと一緒にわいわい鑑賞するのもオススメですよ♪

【あの俳優のすさまじいギャップにもご注目】

1時間31分でさくっと鑑賞できちゃう、アメリカのティーンズムービーならではのおバカっぷり×フェミニズムが奇跡の融合果たす、新時代のクィア映画。

“フェミニズム” や “クィア” と聞くと、重たくとらえがちですが、カウチに寝そべりながら軽〜く観られるのでご安心を!

ちなみに、イザベルのおバカな彼氏・ジェフを演じているのは、以前ご紹介した映画『赤と白とロイヤルブルー』でイギリスの王子を演じたニコラス・ガリツィンさんです。

キラキラなイケメン王子様とは真逆のキャラクターなので「え…この人ってまさか…!?!?!?」と3度見してしまいました。ニコラスさんのハンパない演技のふり幅も楽しめる作品ですよ。

■今回紹介した作品

Prime Video『ボトムス 〜最底で最強?な私たち〜』(原題:BOTTOMS)
Prime Videoで見放題独占配信中

※カウチポテトとは:ソファや寝椅子でくつろいでポテトチップをかじりながらテレビやビデオを見て過ごすようなライフスタイルのこと。

執筆:田端あんじ (c)Pouch
Photo:© 2023 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved.