ヤマト運輸は27日以降、全国で鹿児島県の離島向けの荷物の預かりを停止しています。また、全国で九州、関東、東海、近畿地方向けの配達などに遅れが出ているとしています。一方、鹿児島県では一部の離島を除き28日午後5時から29日にかけて、宮崎県では29日から30日午前中にかけて、集荷や配達、営業所の業務を中止することを決めました
佐川急便は鹿児島県、宮崎県と全国の間での荷物の預かりと配達を停止しています。29日午後からは熊本県と全国の間での荷物の預かりと配達を停止する予定だということです。29日から9月1日までは九州、四国、中国、近畿と全国の間での荷物の預かりや配達を停止する可能性が高いということです。
日本郵便は29日に鹿児島県、宮崎県、熊本県、長崎県で郵便局の窓口業務や配達などを休止することを決めました。福岡県、佐賀県、大分県では29日午後3時以降、配達や集荷の業務を休止することにしています。また、空の便の欠航や高速道路の通行止めなどの影響で、九州や沖縄県、近畿、中国、四国を発着する郵便物やゆうパックの配達に遅れが出るなどしているということです。
今後の台風の進路によっては影響を受ける地域がさらに広がる可能性があるとしています。
【台風10号影響】宅配便で預かり停止 坂本龍馬像も避難
非常に強い台風10号で物流などに影響が出ています。
宅配便の預かり停止 郵便窓口休止も
大手スーパー 一部店舗で29日の休業決める
大手スーパーのイオンは、28日鹿児島県と宮崎県にあるイオンやマックスバリュの一部の店舗で24時間営業を取りやめたり、閉店時間を早めたりする対応をとっています。
また29日の営業について、▽鹿児島県▽宮崎県▽長崎県▽熊本県▽福岡県にあるイオンやマックスバリュなどの一部の店舗で閉店時間を早めたり、終日、休業したりすることを決めています。
一方大手コンビニチェーンのローソンは、28日午後7時現在、九州で一部の店舗が一時休業しているということです。「セブン-イレブン・ジャパン」と「ファミリーマート」では、28日午後6時時点で台風の影響により一時休業している店舗はないとしています。ただ今後の気象状況に応じて、店舗によっては一時的に休業する可能性もあるとしています。
携帯電話 一部つながらない地域も
鹿児島県の一部の地域では携帯電話がつながらなかったり、つながりにくくなったりする影響が出ています。
28日午後7時までに影響が確認されているのは、NTTドコモが奄美市、喜界町、龍郷町、屋久島町のそれぞれ一部の地域。
KDDIと楽天モバイルが奄美市、十島村、南種子町、龍郷町、喜界町のそれぞれ一部の地域。
ソフトバンクが奄美市と喜界町のそれぞれ一部の地域です。
自動車メーカー各社 国内工場の稼働停止決定
自動車メーカー各社は、従業員の安全確保や物流への影響を踏まえて、工場の稼働停止を決めています。
このうちトヨタ自動車は、国内にある14すべての工場の稼働を一時、停止することを決めました。28日夕方から停止していて、29日日中は、東京・羽村市にある工場の一部のラインのみ、稼働させる予定だということです。
日産自動車は、福岡県苅田町にある子会社の日産自動車九州と日産車体九州の2つの工場で29日から30日の日中まで、稼働を停止することを決めました。
ホンダは、熊本県大津町にあるバイク工場の稼働を29日と30日、停止することを決めました。
ダイハツ工業は、京都府大山崎町と滋賀県竜王町の工場の稼働を29日の夕方から30日の日中まで停止することを決めました。また、大阪・池田市にある工場は29日、稼働を停止します。
マツダは広島県と山口県防府市にある工場で29日の夕方から30日まで稼働を停止します。
大手電機メーカーなどでも工場稼働停止
日立製作所は、山口県下松市にある鉄道車両を製造する工場で、29日の夜から30日にかけて稼働を停止することにしています。
電子部品大手の京セラも鹿児島県薩摩川内市にある工場で29日の稼働を停止することを決めました。
坂本龍馬像 強風に備えて一時避難 高知
高知市では駅前に設置されている坂本龍馬などの像を避難させる作業が行われました。
JR高知駅前には高知出身の幕末の志士、坂本龍馬と武市半平太、それに中岡慎太郎の3体の像が設置されています。
いずれも強化プラスチック製で、高さおよそ5メートル重さが400キロほどあり、台風の接近に伴う強風で破損しないように28日午後、一時的に避難させる作業が行われました。
像は1体ずつクレーンで釣り上げられたあと、トラックの荷台に慎重に置かれていました。
像を管理する高知県観光コンベンション協会によりますと、台風で一時的に避難させるのは5年ぶりだということです。
高知県観光コンベンション協会の政岡直輝さんは「三志士像が破損し、被害が及ばないように安全性を考慮して避難することにした」と話しています。
建造中の貨物船を沖に出す作業 愛媛
造船業が盛んな愛媛県今治市にある「しまなみ造船」では、建造中の全長180メートルあまりの貨物船2隻を岸壁に泊めていました。
台風が接近し風や波が強まると、岸壁と衝突するおそれがあるため、28日はこのうちの1隻をボートでえい航し、10キロほど離れた大島の沖まで移動させていました。
台風が過ぎるまでの数日間は、風の影響を受けにくい沖でいかりを下ろして停泊させるとしています。
もう1隻については岸壁とつなぐロープの本数を増やし、風の影響を受けにくくするということです。
造船所の田村卓士さんは「台風の進路が定まらず対応が悩ましいですが、完成間近なので安全第一でなるべく早く作業を再開させたい」と話していました。
宿泊キャンセル相次ぐ 京都
京都駅近くにあるおよそ500室のホテルでは、今週に入り宿泊のキャンセルが相次いでいて、この3日間で200件を超え、宴会場のキャンセルも出ています。
ホテルでは災害時にキャンセル料を取らない対応をしていて、台風に関わる損失はこれまでで1000万円を超える見込みです。
リーガロイヤルホテル京都の辻野裕貴チーフは「これまでの台風と違い進路の予測が難しく早めのキャンセルが増えている。今後も問い合わせが増えると思うのでしっかり対応したい」と話していました。
一方、京都の夏の風物詩として人気を集める「宇治川の鵜飼」は26日から中止しています。
宇治市観光協会によりますと、この時期は多い日で1日100人ほどが訪れるということですが、観光客を乗せる船は台風の接近に備えて流されないよう岸にロープで固定されていました。
台風が通り過ぎても川の水量が落ち着くまで中止せざるを得ないため、再開のめどは立っていないということです。
鵜匠で宇治市観光協会の沢木万理子さんは「今回の台風は雨の量が多いと聞いているのでしばらく中止が続くかもしれません。とても残念ですが、少しでも早く再開して多くの人にまた鵜飼いを見てもらいたいです」と話していました。
遊園地では窓ガラス補強など対策 山口
関門海峡を臨む観覧車などがある山口県下関市の遊園地「はい!からっと横丁」では、従業員が施設の窓ガラスにテープを貼って補強したり、塔の周りを旋回する乗り物の一部分を、風で飛ばされないように取り外したりしました。
遊園地は29日と30日は臨時休園することにしています。
遊園地の渡邊剛所長は「風も強くなってきているので早め早めに対策をしていきたいです。被害を出さないように安全第一で進めています」と話していました。
「防災の日」の総合防災訓練 政府が中止発表
政府は9月1日の「防災の日」に予定していた総合防災訓練を台風10号に伴う災害対応のため中止することを決めました。
訓練すべてを中止するのは閣僚が徒歩で参集する訓練も行うなど、現在の形となった2011年以降は初めてだということです。
また閣議などを開催する政府本部運営訓練に関しては、1998年に前線や台風に伴う大雨への対応のため中止したことがあるということです。