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フランスの美しい村「シャトーシャロン」は 天空のワインとチーズの村

フランスの美しい村「シャトーシャロン」は 天空のワインとチーズの村

更新日:2023/04/14 13:20

万葉 りえのプロフィール写真 万葉 りえ レトロ建築探訪家、地域の魅力伝え人
フランスを旅すれば大きな町から街への移動の間に数えきれないほど幾つもの村が過ぎていくことに気づくでしょう。フランスの最小自治体である市町村の数は約37000。その中で“フランスの最も美しい村”になっているのは約160。
その一つである「シャトーシャロン」はフランシュ・コンテにある人口が200人にも満たない、まるでおとぎ話のような小さな村。修道院を中心に発展したワインとチーズの村を歩いてみませんか。

水と緑が織りなすフランシュ・コンテの自然美

水と緑が織りなすフランシュ・コンテの自然美 水と緑が織りなすフランシュ・コンテの自然美

写真:万葉 りえ

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フランスの東部、スイスとの国境近くにフランシュ・コンテと呼ばれる地方があります。ジュラ山脈がそびえ、水と緑が織りなす美しい自然が残るこの地方は、中世にはブルゴーニュ伯、15世紀にはハプスブルク家のスペイン王、そして17世紀後半にフランス領へ、といった変遷をたどり、他とは違う文化が育っていきました。

水と緑が織りなすフランシュ・コンテの自然美 水と緑が織りなすフランシュ・コンテの自然美

写真:万葉 りえ

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ご紹介する「シャトーシャロン」があるのは、ブルゴーニュの中心都市ディジョンから東南に80kmほどのアルプスの麓。眼下の村々が霧に包まれたような日は、ここだけが天空に浮かんでいるように見える。そんな崖も多い山の上につくられた村です。

教会と城を中心に発展した村

教会と城を中心に発展した村 教会と城を中心に発展した村

写真:万葉 りえ

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7世紀にベネディクト会の修道院が建ち、11世紀にはフランシュ・コンテで最も古いといわれている城も作られてから、それを中心にこの村がつくられていきました。
ご覧いただいているのは、その修道院の付属教会として建てられたサン・ピエール教会です。

教会と城を中心に発展した村 教会と城を中心に発展した村

写真:万葉 りえ

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扉をくぐれば、厚い壁も天井も白一色。窓が小さいため信者が祈る会堂部分が薄暗い日もあり、それがキリスト像が祀られている明るい祭壇部分をさらに際立たせます。代々大事に守り伝えてきたであろう聖遺物や聖マリア像。この村の人々の信仰心の篤さを思わせる空気が教会内に満ちています。

教会と城を中心に発展した村 教会と城を中心に発展した村

写真:万葉 りえ

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石灰質の火山岩で重ねられた屋根をもつこの建物の創建は12世紀。壁は厚めで窓は小さめ。そんなロマネスクの様式と、美しいステンドグラスが特徴のゴシック様式が融合したこちらの教会。簡素ながらも大変優しい雰囲気をもっているのが伝わるでしょうか。

文字が読めない人々に聖書の教えを説いたというステンドグラスや奥に祀ってある彫像など、ぜひゆっくりと見てみてください。

天空の村の山すそに広がるブドウ畑

天空の村の山すそに広がるブドウ畑 天空の村の山すそに広がるブドウ畑

写真:万葉 りえ

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教会の入り口を出たら、左側のアーチ型の門の先へと進んでみてください。展望所がすぐそこにあり、緩やかに下っていけば見えてくるのがこの景色です

180度以上の広がりがあるので、右端に少し写っているように、見える場所の名を表すパネルは扇型になっています。

天空の村の山すそに広がるブドウ畑 天空の村の山すそに広がるブドウ畑

写真:万葉 りえ

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こちらが展望所の右寄りから見た風景で、手前にあるのがボイトレの村。その奥に小さく盛り上がった緑の丘を確認できますか?そこが1070年からブドウ栽培を行ってきた「シャトーダルレイ」。約1000年の歴史を持つヨーロッパ最古の造り手で、中世の記録にも「ピノ・ノワール(ブドウの品種の一つ)の理想的な土壌と気候」と残されています。

そして、右側の緑の丘陵地の奥。かすんでいますが、そこにはコート・ドールの中心の町「ボーヌ」があります。この街はいたるところにワインセラーがあるワインの街!それもそのはず。ここは毎年11月に世界中からワイン業者が集まり、ワインの競り市「栄光の3日間」が開かれることで有名な所。

ボルドーが“ワインの女王”なら、ブルゴーニュは“ワインの王様”。眼下にはそれをうなづかせる様にたくさんのブドウ畑も広がります。

黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地

黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地 黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地

写真:万葉 りえ

では教会の裏側に位置する場所に周ってみましょう。そこに建つのが教会の付属のこの建物。高さは人の背丈ほどで、まるで教会のミニ版とでもいうように屋根の上には小さな十字架もあります。この建物だと近くで見られるので、教会の壁や屋根の造りがよくわかるでしょう。

黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地 黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地

写真:万葉 りえ

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さて、遠望したブルゴーニュ方面の景色と共にこの地方でワインがたくさん作られていることをご案内しましたが、もちろんシャトーシャロンもワインの生産地です。

固有種であるサヴィニアンという品種のブドウでつくられるワイン「ヴァン・ジョーヌ」。ジュラ地方のいたるところでつくられているのですが、その中で最も評価の高いヴァン・ジョーヌを生み出しているのがシャトーシャロンです。

黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地 黄ワイン「ヴァン・ジョーヌ」の名産地

写真:万葉 りえ

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コナラの木の樽で6年3か月以上熟成を重ねてつくるこの村のワイン。黄色味を帯びて、一般的な白ワインとは違った風味をしています。クラヴランと呼ばれる独特の形のボトルで愛好家に知られているのですが、品質管理が厳しいのでブドウの出来が悪かった年は生産しません。

村の中にはワイナリーが点在しています。フランスの5大白ワインの一つにも挙げられているほどのワイン。機会があれば、ぜひ味わっておきましょう。

厳しい自然が生み出したコンテチーズ

厳しい自然が生み出したコンテチーズ 厳しい自然が生み出したコンテチーズ

写真:万葉 りえ

そして、そのヴァン・ジョーヌに合わせるのにぴったりなのが、同じくこの地方で生産されているコンテチーズです。ジュラ地方の人々が1000年以上にわたってミルクを大きなチーズにして作ってきたのは、厳しい冬の食糧を確保するため。そうやって生まれたコンテチーズは、作られた季節や地域、職人、熟成期間の違いなどで個性を持ちます。

沢山の種類があるフランス産チーズの中で、生産量、消費量ともにフランスナンバー1のこのチーズ。牛1頭当たり1ヘクタール以上の土地で放牧され、飼料は自然から。添加物なしで、もみの木の棚の上で熟成されて生まれてきます。

厳しい自然が生み出したコンテチーズ 厳しい自然が生み出したコンテチーズ

写真:万葉 りえ

シャトーシャロンもコンテチーズの産地の一つ。村の中には見学できる旧チーズ工場などもあります。また、村の中には、石塀などに、「ここにどんな建物があったか」や「どんな使われ方をしていたか」などの写真付き案内板も設置されています。路地も楽しみに周ってみてください。

1982年にコロンジュ・ラ・ルージュの村長の呼びかけから始まった「フランスの最も美しい村」協会。人口や文化財などの応募資格を満たしても、27項目にもわたる厳しい審査をクリアしなければ協会に入ることが出来ません。

その協会の村の一つ「シャトーシャロン」。“山上”という生活するには厳しい条件を越え、大切に守られてきた美しい村。ここへ、旅の途中で寄ってみませんか。

シャトーシャロンの基本情報

住所:Chateau-Chalon/Jura/France
アクセス:リヨンからジュラまで約一時間。この村には鉄道やバスがない為、レンタカーもしくは近郊の町からタクシーなどを利用。

※旧チーズ工場の見学は、ジュラ県の観光情報等で確認ください。

2023年4月現在の情報です。最新の情報は公式サイトなどでご確認ください。



掲載内容は執筆時点のものです。

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