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2万円切るキーボード(USB-CとBluetooth両対応)、また買いました。同メーカーのフルサイズ、2台目は「フォルダブルなマスターキーボード」として(CloseBox)

カルチャー Music
松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

特集

ThinkPadみたいなポインティングデバイスを内蔵したHHKB Studio発売で沸くキーボード界隈ですが、筆者も新しいキーボードを購入しました。

Happy Hacking Keyboardは「馬の鞍」と称されています。馬は変わっても、馬と人のインタフェースとなる鞍は変わらず、同じものを使うものだということから来たそうですが、同じように、音楽用電子キーボードにはマスターキーボードというものがあります。使う音源は変わっても、人と音のインタフェースになる鍵盤にはいいものを使う。そのために良い鍵盤でフルサイズ、フルスケールのMIDIキーボードを搭載しようというものです。

筆者はこれまで、外部音源をドライブするためのMIDIキーボードとして、ミニ鍵盤を使ってきました。古くはYAMAHA CBXから、iPhoneやiPadに対応したIK Multimedia iRig Keys、Bluetooth MIDIに対応したKORG AirKey、さらには磁力の反発力で鍵盤を浮かせ、ベロシティ検知を実現したMiselu C.24といった変わり種も購入してきました。

もちろんこれらで今も問題はありません。特に、KORG AirKeyは、37鍵を2台使って2段鍵盤として使うといったことまでしていました。しかし、このAirKeyも最大で61鍵までしかなく、ピアノとして使うにはちょっと窮屈です。できたら76鍵、88鍵は欲しいところ。

でも、そうするとコンパクトであるはずのミニ鍵盤なのに大型化してしまうという矛盾を孕むことになります。何よりそのくらいのサイズになるとギター並みの長さになり、持ち運びがつらくなる。

そして、据え置きで使う場合にも、フルサイズキーボードと並べるとミニ鍵盤だとチグハグな感じになってしまいます。

現在、リビングに置いてある、一番手の届きやすいキーボードは、最上段にRoland SYSTEM-100(初代の)、Behringer Gray Meanie(Arp 2600のコピーモデル)、中段にHammondオルガン、最下段にKORG AirKey 61を置いていますが、このAirKey 61への違和感が拭えません。

最近、テレビからの取材で音楽制作環境を映像に撮られることが多く、そのときの映りを少しでもよくしたいという見栄もちょっとだけあります。実は今週、テレビ撮影が自宅に入る予定があるのです(週末に放映予定らしいので、放映が決まったら追記します)。

好きなときに気持ちよくエレピの音を奏でたい、という願望もあります。今は、SYSTEM-100のシンセとHammondオルガンのサウンドはいつでも鳴らせる状態にあるので、そこにエレピも置きたい。できたらRhodesのサウンドをフェイズシフターエフェクト付きでコロコロ鳴らしたい。

つまり、キーボードの最下段に置ける、フルサイズのエレピが欲しい。

そして、そろそろ年末の忘年会ライブのための練習が始まります。4つほどのバンドに参加し、アコースティックピアノ、ディストーションの入ったエレピ、オルガンのサウンドを出しながら、iPadでシンセサウンドを鳴らす必要があります。その環境はできるだけシンプルなものにしたいし、家でも練習スタジオでも本番でも同じセッティングにしたい。

つまり、条件としてはこうなります。

フルサイズ鍵盤のMIDIマスターキーボード
88鍵のエレクトリックピアノ
持ち運びできるコンパクトなシンセサイザー

この3つのアイコンがくるくると回転して……という、スティーブ・ジョブズが初代iPhoneを発表したときのイメージが浮かんできたのが、この製品。

10月24日に開催したテクノエッジ アルファの交流会でGOROmanさんと話していたときに出てた、InstaChordで使われている音源チップDreamを搭載している電子ピアノです。購入したときの価格は通常価格の20%オフの17,900円(今はちょっと高くなっていますが、クーポンを適用すれば2万円を切っています)。安い。色はホワイトがあって、かっこいい。


ちなみにこのメーカーのピアノを買うのは2台目。「ニコマク」という、おそらく中国製の楽器。GOROmanさんによれば、Dreamは深圳のメーカーではよく使われているそうです。


フルサイズ88鍵盤の、同じメーカーの電子ピアノですが、今度のはちょっと違っていて、2つに折れる、フォルダブルなのです。ソフトケースもついてきます。重さは4kgなので、持ち歩けます。レスポールより軽い。演奏では音源としてiPadを2枚使うので、合わせてもなんとか許容範囲です。

そういえば、英数字(アルファニューメリック)キーボードでもフォルダブルが好きで、よく使っていました。

自分が持っている一番古いのは、Targus製のVisor専用キーボードで、4つ折りできました。Reudoの2つ折りキーボード「Rboard for Keitai」は、ガラケー、NokiaのSymbianスマートフォンにつながり、そちらでは松茸をフロントエンドプロセッサにできたりと、面白かった記憶があります。この製品はその後、iPhone、Androidにも対応したようです。テクノエッジ アルファ交流会の会場となった、高円寺三角地帯には、この2つが展示されていて、とても懐かしかったのでした。Palm Pilot、Visor、Newton MessagePadといったいにしえのPDAもしっかりありました。

話が逸れてしまいました。

つまり、この新しいエレピ「SWAN-X」は、年末にライブをやるのでバンド練習があり、キーボードを持ち歩かないとなと思っていたのと、前に買ったやつは寝室に置いてたので、今度のはリビングにあるHammond、シンセの下に置こうという算段(3段とかけている)にぴったりの製品なのです。

そんなフォルダブルキーボード「SWAN-X」が届いたので、さっそく開封してみました。

付属品は、バッグ、ヘッドフォン、サステインペダル(四角い簡易型)、ケーブル、USB-Cケーブル(充電用)とACアダプター、譜面台。

バッグは折り畳んだ状態で入るソフトケースで、薄いためプロテクトにはなりません。その分軽いのでよしとしましょう。薄めのもの(iPadとか)であれば入れられそうなので、これだけでスタジオやライブに行ったりしたい。サブミキサーは入らないかなあ。薄めのを調べておきますか。

前に買ったモデルはBluetooth MIDIがあったのですが、今回のはAmazonの製品ページには記載がありません。ただ、Dreamの音源チップが同じなので、その場合にはわざわざ機能を削りはしないだろいうとことで薄く期待していたら、マニュアルを見るとしっかりあって安堵。オン・オフはできずに、電源を入れると自動的にBluetoothオンになる仕組みです。

MIDIはUSB-C接続もできるので(充電兼用)、先日機種変で購入したiPhone 15 Proを母艦にできます。GarageBandやbs-16といったBluetooth MIDI対応音源を使って、そこから出力することも可能。ただしその場合はiPhoneのサウンドをどこから出力するかという問題にぶち当たるため、Bluetoothを使う、USB-Cドングルを使うといった対策が必要です。あまりシンプルではないですね。

この辺はおいおい考えるとして、まずは「SWAN-X」を使ってみました。

箱には鍵盤が外にくる形で2つに折られて収納されていました。取り出して保護テープを外し、平らなところで伸ばすと、カチッという音がしてストレートな88鍵キーボードになります。非常にスムーズで、左右鍵盤の境目も違和感ありません。

ボディーカラーは白。鍵盤は梨地処理されていて、前に買ったモデルよりも少し高級感あります。

ベコベコ感も少し薄まった感じで、これなら普段使いとして十分に行けるのではないかと思います。出てくる音もスピーカーが改良されたためか、音源のせいか、よくなっています(もちろんモニタースピーカーとは比べ物になりませんが)。ちなみにこの本体からはかなりの大音量が出て、最小音量でちょうどいいくらいです。

この爆音スピーカーは別に使い道があります。マイク入力とMP3(LINE)入力が用意されているので、ボーカルマイクや他の楽器、音源をミックスしてこのスピーカーから一緒に出すことも可能なのです。

公園に持って行ってストリートミュージシャンを気取ることもできそうですが、音がデカすぎて取り締まられる危険性もありそう。また、大きめのカラオケルームに持ち込んで演奏しても、オケの音量に負けずに響かせることができるかも。

内蔵音源はMIDI標準であるGM音源の128音色。ピアノ系だと、
- Acoustic Piano
- Acoustic Piano Bright
- Honky Tonk Piano
- Electric Piano
- Rhodes Piano
といった音色が用意されています。

これで不足というならば、MIDIキーボードとして使って、iPadやiPhoneの音源を鳴らせばいいのです。

というわけで、現在のキーボードセッティングはこんな感じです。なんとHHKB Studioの半額以下(比べるなよ)。2万円も出さずにけっこう満足できる一角となりました。

さあ、これでバリバリ練習するぞ。担いでスタジオに行くぞ。

《松尾公也》

松尾公也

テクノエッジ編集部 シニアエディター / コミュニティストラテジスト @mazzo

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