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「もう1本撮って死ぬ」40年も沈黙続ける「伝説の映画監督」長谷川和彦が激白

2022年1月9日 06時00分 有料会員限定記事
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 「青春の殺人者」「太陽を盗んだ男」。日本映画史に燦然さんぜんと輝くこの2作を30代で発表、次作を撮らずに40年以上も沈黙した理由とは―。「生ける伝説」とも言える映画監督・長谷川和彦さん(76)に話を聞いた。映画が撮れなくなった理由のほか、胎内被爆者としての生い立ちが作品に影響したこと、今も持ち続ける次作への意欲などを語ってくれた。(聞き手・宮畑譲)

◆「連赤」にこだわりすぎた

宮畑譲記者

宮畑譲記者

 「太陽―」の発表は1979年。以降、次作が撮れない理由は何でしょうか

長谷川和彦監督

 一番大きいのは、連合赤軍にこだわったことだな。前後編に分けて3時間ぐらいの台本ができていた。ロケに使おうと考えた実際の浅間山荘が5500万円で売りに出ていて、3500万円まで値切った。あと500万の手付金を打てば、使えるところまで交渉したんだが。

 その頃、長谷川さんが中心となって立ち上げた映画製作会社「ディレクターズ・カンパニー」(ディレカン)の経営が厳しくなっていました

 手付金を払うのを、俺がビビったんだ。「連合赤軍」をゴーすれば無理やりにでも俺は映画を完成させただろう。しかし、結果的に会社をつぶすことになりかねない。「ディレカン」は最年長の俺が「言い出しっぺ」で、「まず若い監督から全員撮れ」と言っている間に会社がつぶれてしまった。3人きょうだいの末っ子の俺が、慣れない長男役をやったんだなあ。撮らないやつがいる間に俺がつぶすわけにはいかんと。結果、俺以外の監督は全員、新作映画を撮った。その中にはディレカンがなきゃ、できなかった映画もあるんだ。脚本を一般公募した「台風クラブ」(相米慎二監督)とかな。

 「連赤」はもう撮らないのですか

 やらないと決めたわけではないが、今もう一回、連赤でエンジンかけるのはきついな。昔、キャスティングしていた若手俳優たちがみんな、還暦になっているじゃないか。当時つけたメインタイトルの仮題「連合赤軍/夢見る力」、「連合赤軍/迷いばとどもの凱旋がいせん」も、今だと「古いんじゃないか」と苦しい自問自答をしちゃうしなあ。

長谷川さんの監督作品 「青春の殺人者」は芥川賞作家、中上健次の短編小説「蛇淫」を脚色し映画化。22歳の主人公はひょんなことで両親を殺害、幼なじみと逃亡する。主演は水谷豊さんと原田美枝子さん。1976年公開で、この年のキネマ旬報日本映画ベスト・テンで1位に輝いた。
 「太陽を盗んだ男」は、沢田研二さん演じる主人公の中学教師が原発からプルトニウムを盗み出して原爆を製造、「ナイター中継を延長しろ」などと国に要求をする。対決する刑事役は菅原文太さん。79年のキネ旬日本映画ベスト・テンで2位を獲得した。

▶次ページ胎内被爆し「生き急いだ」に続く

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