VADS
低空で侵入する航空機を補足、迎撃する「対空機関砲VADS」
対空機関砲は、基地防空の最終段階を担当し、低空で侵入する航空機を補足、迎撃することを主任務とする、簡易な半自動独立火器システムです。対空機関砲VADSは、20mmバルカン砲の高速発射性能に加え、リードコンピューティングサイトおよび測距レーダーの組み合わせによる見越し角の自動算定機能を備えています。これらの機能によって、命中率が向上、対応時間の短縮を図るとともに射手の負担を軽減しています。ちなみに「VADS」とは、Valcan Air Defense Systemのイニシャルを取ったもの。Valcanは砲の名称。
分類 | VADS |
操作員 | 2人 |
重量 | 1,800kg |
全高 | 走行時 2.40m 射撃時 2.17m |
全長 | 走行時 4.95m 射撃時 3.82m |
全幅 | 走行時 2.04m 射撃時 3.82m |
有効射程 | 1,200m |
発射速度 | 高速 3,000発/分 低速 1,000発/分 |
搭載弾数 | 500発 |
【VADS】(う"ぁっつ)
Valcan Air Defence System.
アメリカで開発された対空機関砲(AAA)。
戦闘機に搭載されるバルカン砲(ガトリングガン)を転用している。
ガナーが目視照準するほか、射撃レーダーを搭載し照準から射撃を自動的に行うことも出来る。
米陸軍では、M113兵員輸送車にVADSを搭載して自走式対空砲にしたM163対空機関砲と、牽引型のM167を装備している。
なお、航空自衛隊が配備するVADSはF-104Jに搭載されていたM61A1を改造したものである。
また、リードコンピューティングサイトを搭載した「VADS改」も配備されている。
性能諸元(VADS改)
操作員 | 2人 |
全長 | 4.95m(走行時) 4.29m(射撃時) |
全高 | 2.40m(走行時) 2.17m(射撃時) |
全幅 | 2.04m(走行時) 3.82m(射撃時) |
重量 | 1,800kg |
牽引速度 | 72km/h |
有効射程 | 1,200m |
発射速度 | 3,000発/分(最大)または1,000発/分 |
発射制御 | 10、30、60および100発 |
搭載弾数 | 500発 |
製作 | 住友重機械工業(ライセンス生産) 東芝(レーダー部分) |
派生型
- VADS 1:初期タイプ。リードコンピューティングサイトは搭載していない。
- VADS改:VADS 1の改良型。
リードコンピューティングサイトを搭載したほか、測距レーダーの組み合わせによる見越し角の自動算定機能を備え、命中率の向上、対応時間の短縮をはかるとともに射手の負担を軽減している。
VADS
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 23:21 UTC 版)
M167 VADS(M167 Vulcan Air Defense System)は、アメリカ軍で開発された対空機関砲システムである。航空機関砲として有名なM61 バルカンシリーズをもとにして開発された。通称「バッズ」。
航空自衛隊では基地防空火器として配備していた。
概要
VADSシリーズは、M61 バルカンの対空砲バージョンであるM168 20mm機関砲を中核として、レーダー、コンピュータなどによる射撃管制装置を組み合わせた半自動システムである。自走式のM163と、牽引式のM167がある。M163の車体はM113装甲兵員輸送車をベースとしている。弾薬は通常、20mm曳光自爆榴弾及び曳光弾を使用する。
M168は、アメリカ合衆国のGE社が開発したM61の派生型である。M61は有名な航空機関砲であり、6,000または4,000発/分という発射速度を誇るが、M168では3,000または1,000発/分に低下させてある。また、M61の場合は6本ある砲身が正面から見ると真円になるように配置され、一点に対しての射撃における命中率を向上させているのに対して、VADSの場合やや楕円になるように配置されている。これにより、発射された砲弾が散らばり弾幕を展開することで侵入阻止・爆撃阻止を行う。
VADSは測距レーダーと弾道計算機を組み合わせて適切な偏差射撃(移動する標的までの距離を計算して未来位置に射撃し、命中させる射撃方法)が可能となっている。現在はカメラを付加し、より正確な射撃が可能になった改良型となっている。スーダンやイエメンでは、VADSをBTR-152に車載した簡易自走式対空砲が存在する。
採用国
- 日本においては、航空自衛隊が航空基地の防空用にM167を導入し、基地防空隊が使用していた。有効射程1.2km。1992年(平成4年)からは海上自衛隊の基地防空用にも配備されていたが、2006年(平成18年)に航空自衛隊に移管された。防衛所要上の重要度が低下したとされ、令和2年度に運用停止、令和3年度にはその時点で残っていた176式がすべて用途廃止された[1]。
登場作品
ゲーム
小説
- 『機動要塞「大和」』
- 第二次世界大戦時にタイムスリップした日本において、航空自衛隊の基地防空隊が基地に襲来するB-29 スーパーフォートレスを迎撃するために使用する。
- 『超空の決戦』
- タイムゲートを通じて第二次世界大戦時に派遣された自衛隊が、満州国に襲来するソ連赤軍の航空機を迎撃するために使用する。
脚注
- ^ (35)中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)に基づく装備品の運用停止・プロジェクトの見直し状況予算執行調査資料 総括調査票(令和4年7月公表分)財務省主計局
関連項目
外部リンク
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