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「富士ソフト」を巡って6000億円規模の買収合戦が開始。KKRが5800億での買収計画、ベインが6000億で対抗。なぜそんなに人気が?

2024年9月4日

大手独立系システム開発企業の「富士ソフト」を巡って、2つの海外の投資ファンドによる買収合戦が始まりました。国内のメディアでも多数報道されています。

富士ソフトは約2万人規模のシステム会社

富士ソフトは大手独立系のシステム開発企業です。

1970年に設立され、現在の従業員数は単体で約1万人、関連会社との連結では約1万9000人になります。売上高は単体で約2000億円、連結では約3000億円の規模。1992年に東京証券取引所に上場しています。

本社ビルは神奈川県横浜市のみなとみらいにありますが、秋葉原の駅近くにある富士ソフトビルもコミュニティのイベントなどが何度も開催される場所としてITエンジニアの間では有名な存在です。

買収合戦のこれまでの経緯

今年(2024年)6月、米国の投資ファンドであるKKR(Kohlberg Kravis Roberts & Co. L.P:コールバーグ・クラビス・ロバーツ)が、富士ソフトの株式を1株あたり8800円で買収する意向表明書を富士ソフトに送付しました。

富士ソフトはこれを検討した結果、7月にKKRとの協議を実施。

そして8月、富士ソフトはKKRによる約5600億円での買収に合意し、非公開企業になる計画が発表されました(富士ソフトによる発表)。

計画では9月中旬に公開買い付けを開始し、30営業日後には公開買い付けを終了するとされています。

これに対して昨日(2024年9月3日)、同じく米国の投資ファンドであるベインキャピタル(Bain Capital LLC)が、KKRの買収額を5%程度上回る価格で富士ソフトの買収意向を発表したのです(ベインキャピタルによる発表)。

富士ソフトは、9月3日付のプレスリリース「当社に関する一部報道について」において、まだ現時点で決定した事実はないとしつつも、提案を受領した場合には「KKRからの提案との比較も含めて慎重に検討を行う予定です」と発表しています。

富士ソフトの買収合戦の背景には

富士ソフトは2022年に東証一部から東証プライムへ移行したことなどが示す通り、国内を代表する大手システム開発企業の一角であり、クラウド関連を含むシステムインテグレーションから受託開発、制御ソフトなど幅広い分野に対応しつつ売り上げを順調に伸ばしてきています。

一方で、海外から日本の株式市場を見ると、著名な投資家であるウォーレン・バフェット氏が2020年に大手商社の株式の保有を開始し、昨年にはさらにその比率を高めたことに象徴されるように、日本は有望な市場と見られています。

IT市場においても、国内企業のDXおよびそれに関連したシステム開発への投資は積極的に行われると見ており、そうしたトレンドを受けて富士ソフトにはまだ成長余地があると考えられているのでしょう。

過去に自社ビルを持ちすぎているという批判も

と同時に、富士ソフトは本業だけでなく有望な不動産を保有する企業としての一面も持ちます。

2022年には、いわゆる物言う株主から、自社ビルを持ちすぎているのではないか、という批判を受けているとの報道もありました。

参考:富士ソフト社長が物言う株主の「自社オフィス持ち過ぎ」批判に反論、取締役ポスト巡り4日に臨時総会 | Diamond Premium News | ダイヤモンド・オンライン

投資ファンドによる買収提案の背景には、同社のこうした資産をより効率的に活用すること(おそらくは売却)も含まれているのではないかと考えられます。

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Junichi Niino(jniino)
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