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PR【オーディオ銘機賞2025】銀賞受賞モデル

モニターオーディオ「GOLDシリーズ」レビュー。ユニット大幅刷新の第6世代機は「ハイスピードで焦点の明確な音調」

公開日 2024/12/19 06:35 井上千岳
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イギリスで初代GOLDシリーズが発売されてから36年、“Platinumシリーズ” に次ぐMONITOR AUDIO(モニターオーディオ)の上級スピーカーとして展開するGOLDシリーズが第6世代に刷新された。ドライバーユニットに、フラグシップ・スピーカー「HYPHN」やPlatinumシリーズの技術を投入したモデルが、本年のオーディオ銘機賞において銀賞を受賞。その実力を井上千岳氏がレポートする。

MONITOR AUDIO スピーカーシステム「GOLD 100 6G」(価格:583,000円/ペア・税込)※サテン・ホワイト仕上げ

■ユニットを大幅刷新、6代目となるGOLDシリーズ



1972年に設立されたモニター・オーディオは一昨年50周年を迎えたが、そのアニバーサリーとして受注生産の特別モデルHYPHN(ハイフン)が開発され、さらにフラグシップPlatinumがリニューアルされて3Gとなった。

今年はその余勢を駆ってGOLDが待望のモデルチェンジを施され、第6世代の6Gに進化した。その内容はドラスティックなものも含み、同社の活動がますます活発になっているのを感じさせる。

ラインアップはフロア型からセンター、オンウォールと豊富だが、今回はその中からトップモデルの「500 6G」と注目機「100 6G」の2機種を紹介したい。

MONITOR AUDIO スピーカーシステム「GOLD 500 6G」(価格:1,023,000円/ペア・税込)※ハイグロス・ブラック仕上げ

リニューアルはドライバー・ユニットの更新が主になっている。まずトゥイーターはエアモーション・トランスデューサー(AMT)の最新版。HYPHNやPlatinum 3Gで開発された第3世代のMPDIIIが新たに搭載された。基本構成に変化はないが、高域特性について通常の40kHzを大幅に越える60kHzまで伸ばし、振動板の放射面を正方形とすることで水平・垂直に均等なエネルギーの放出を行うようになっている。またリアボリュームやウェーブガイドの最適化によって、可聴帯域内でのリップルを最小限に抑え指向性と放射インピーダンスの整合性が向上した。

ハイルドライバー型トゥイーターである「MPD III(Micro Pleated Diaphragm 3rd Generation)トランスデューサー」を搭載。上位モデルのノウハウを元に改良を施し、再生帯域を60kHz以上まで拡張した

今回のリニューアルで最大の成果がウーファーである。モニター・オーディオでは2000年の初代GOLD GR以来、アルミ/マグネシウムにセラミック・コーティングを施したC‐CAMという独自素材を振動板に採用してきた。それだけでなく表面処理としてエンボス加工などの強化を行ったRST(Rigid Surface Technology)技術も並行して適用している。

203mmのウーファーユニット。FEA(有限要素解析)に基づき設計されたエッジとダンパー、より長いボイスコイルを採用し、リニアリティの改善と低域の歪み低減を実現。よりクリアで迫力ある低音を追求している

その加工も世代ごとに次々と進化してきたが、本機ではHYPHNにもPlatinum 3Gにも使用されていない新たな振動板強化技術HDTが搭載された。Hexagonal Diaphragm Technologyと言って、振動板の表面に六角形の小さなエンボスが加工されている。注目すべきなのは、この形状や配置がFEA(有限要素解析)を駆使して行われたという点だ。

中域と低域用のドライバーユニットの振動板には、新たな金属コーン技術 “HDT(ヘキサゴナル・ダイアフラム・テクノロジー)” を採用する。上位モデルに搭載される「RDT IIIコーン」の設計に基づき、振動板上に六角形のパターンを非対称に配置。この構造によって「Silver 7Gシリーズ」の「RST IIコーン」と比較して、共振周波数を10%向上させた

FEA自体は以前から使用されているが、今回のGOLDシリーズではFEAの技術を最大限に利用し、これまでに開発した「C-CAMコーン」の中でも、最も強力で精密な動きをするコーンのひとつとなったそうなのだ。

Platinumなどの振動板RST IIIは、C‐CAMとカーボンファイバーでNOMEXハニカム層をサンドイッチした構造である。HDTはC-CAMのみの1層で構成されており、さらに表面処理が施されている。エンボスの配置は非対称だが、特に縁の当たりを見ると不規則に途切れているのがわかる。これがFEAの成果で、計算だけではこういう最適化を行うのは不可能である。これによって例えばSilver 7GのRST IIに比べると、共振周波数は10%上昇しているということである。

もうひとつこのシリーズでは、新たに76mmのミッドレンジ・ドライバーが開発された。主としてトゥイーターとのつながりを改善するのが目的で、ミッドレンジならば500Hz以下の周波数に対応する必要がないため小口径化が可能である。ウーファーとトゥイーターの間にこの新しいミッドレンジを挟むことで、上下どちらのドライバーも負担が軽減される。

新規開発された76mmミッドドライバー。コーンのブレークアップ(音の歪み)は、クロスオーバー周波数よりはるか上の帯域で発生するため、結果的にトゥイーターとの繋がりを滑らかにしている

なおこのミッドレンジとトゥイーターは、ミッドポッドと呼ぶスチール製のエンクロージャーに収められている。これによってウーファー用の容積を犠牲にする必要がなくなった。500 6Gと100 6Gの上部が飛び出しているのは、このポッドの取り付け位置によるものである。

クロスオーバーは高品質なコンデンサーを使用して、長時間のリスニング・テストの末設計が決定されている。またフロア型モデルには、スチール補強を加えたキャストアルミ製のアウトリガー・アセンブリーが装備されている。4つの脚部はスピーカー本体を動かすことなく高さ調整が可能。またスパイクを取り外すこともできる。

ハイグロス・ブラック、サテンホワイトの他にマカッサル・ウッド色もラインアップ

■GOLD100 6G -立ち上がりが速く歪もない純粋な音色-



GOLD100 6Gは、同社として初めての3ウェイ・ブックシェルフ型である。異例の構成だがミッドレンジを加えた効果は明らかで、全てのユニットが全く継ぎ目なしに動いているのを感じる。そのうえで立ち上がりの速さ、歪みのない音色の純粋さ、位相の揃ったピントの良さなどが万全の態勢で確立されている。

バロックの瑞々しい鮮度は、高低両端への伸びやかさとともに質感と響きを屈託のないものにしている。弦楽器の艶やかさと張り、チェンバロやリュートの弾みなど、生き生きとして無理がない。ピアノはタッチににじみがなくしかも豊かな余韻が乗って、存在感が非常にナチュラルだ。ニュアンスに富んで、表情が陰影深く滑らかに変化する。

コーラスは申し分のない響きの豊かさが空間に満ちて、ほとんど言うことがない。そしてオーケストラでは汚れのない音色に澄んだ余韻が加わり、ハーモニーがふわりと浮き上がるような柔和な弾力性を発揮する。ブックシェルフの限界を越えたスケールだ。

■GOLD500 6G -スケールが拡大しつつ緻密でハイスピード-



最上位機GOLD500 6Gは、スケールの大きさと再現の緻密さがブックシェルフとはひとつ違う。しかし本質は同じで、ハイスピードで焦点の明確な音調がいっそうリアリティを高めるのである。バロックなどまるでその場にいるような生々しさを実感するし、コーラスも余韻に溢れた空間にそっくり包まれているかのようだ。

ピアノの起伏に富んだ鳴り方は、表情の陰影が深く作品自体が濃密なものに感じられる。オーケストラも一回り以上大きな壮麗な光景が、聴く人を魅了するのである。

(提供:ナスペック)

本記事は『季刊・Audio Accessory vol.195』からの転載です

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