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コラム

2023.08.08

アオウミガメの産卵地をきれいに!「小笠原諸島ビーチクリーン」

2011年6月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島は、国内最大のアオウミガメの産卵地です。すみだ水族館は、現地で行われている保全活動に賛同し、開業よりウミガメの赤ちゃんを1年間育てて小笠原に還す活動*を行ってきました。今回、すみだ水族館として初めて、ウミガメの産卵地のビーチクリーンを実施しました。

小笠原諸島でビーチクリーンを実施
2011年6月に世界自然遺産に登録された小笠原諸島は、国内最大のアオウミガメの産卵地です。すみだ水族館は、現地で行われている保全活動に賛同し、開業よりウミガメの赤ちゃんを1年間育てて小笠原に還す活動*を行ってきました。‌
今回、すみだ水族館として初めて、ウミガメの産卵地のビーチクリーンを実施しました。‌

*現在は、認定NPO法人エバーラスティング・ネイチャーが主催する、ウミガメジョイントブリーディングプログラムに参加しています。



アオウミガメの産卵時期!おもちゃや海外の漁具なども回収‌
 アオウミガメの産卵のピークは、毎年6月~7月。100キロを超えるメスのアオウミガメたちが海岸に上陸し、夜間に産卵を行います。‌


産卵後海にかえるアオウミガメ

海浜に障害物があると、卵から孵ったアオウミガメの赤ちゃんがひっかかり、海へ戻れなくなる可能性があることから、今回のビーチクリーンはアオウミガメの孵化が最盛期を迎える前の6月上旬に実施しました。実施場所は、アオウミガメの営巣数の多い父島のとある砂浜。陸路は急勾配の山道のみでアクセスが悪く、清掃の手が届きにくい場所でもあります。‌
海浜清掃の前々日には台風が通過しましたが、当日は台風一過の好天に恵まれ、海も比較的穏やかでした。小笠原島漁業協同組合の漁師さんにもご協力いただき、漁船で向かう海チームと、徒歩で向かう陸チームの2手に分かれ清掃場所を目指します。‌



沖に出るとボニンブルーの深く青い海がお出迎え


世界自然遺産の決め手となった多様な固有植物もうっそうと

清掃場所では、ゴミの種類を仕分けつつ、力をあわせてどんどん拾っていきます。拾い始めるとどんどん集中しはじめ、各自が黙々と作業。最終的には、海外の漁具や冷蔵庫、プラスチックのおもちゃやマイクロプラスチックなどを回収。回収量は約6㎥に到達しました。通常、回収したゴミは、本土まで船で輸送し、産業廃棄物として処分されます。‌




黄色はプラスチック破片。赤矢印がアオウミガメの産卵巣(産卵後の場所)


砂に深く埋まった海外の漁具も回収‌

漁船で輸送‌

「他人の後始末だけではない。自分もゴミを出している」‌
 今回のビーチクリーンは、小笠原海洋島研究会(BOISS)のみなさまや、小笠原村のみなさまの多大なご協力を得て実現しました。BOISSは、島の自然と島民が共生できる豊かな島の実現に寄与することを目的に活動をしているNPO法人です。‌
BOISSの主要メンバーとして、約15年間ビーチクリーンに携わる取り組む猪村真名美さんにお話を伺うと、「小笠原に流れ着くゴミの現状を知ってほしいです」と回答してくれました。



BOISS 猪村真名美さん‌

「昔は海浜のゴミといえばビンが多かったのですが、プラスチックの製品が増えるにつれ、漂着物もプラスチックへ置きかわりました」と時代の変化に伴う影響を教えていただきました。
また、「ビーチクリーンをしていると、他の国や他の地域から出たと思われるゴミが圧倒的に多いです。一見すると他人の後始末に感じられますが、よくよく考えてみると、誰しもがゴミを出しています。日々ゴミを出さざるを得ないのであれば、ゴミを最低限出さないということに加えて、身の回りでゴミを拾う体験をしてみると意識が変わると思います」と、実感のこもった目線でのお話をしていただけました。
「あんなにきれいな砂浜を久しぶりに見ました。ゴミが減ればウミガメの産卵地を守ることにつながります」―――BOISSとしては、子どもたち次世代を中心に環境への意識を醸成し、村全体を巻き込んだ活動を継続していきたいとのことです。

子ども向けのイベントを数多く開催‌

すみだ水族館が目指すこと‌
 
すみだ水族館は、小笠原村との協定を締結し、開業前より提携しています。「小笠原大水槽」は、国内に5つしかない世界自然遺産(2023年現在)であり、日本が世界に誇る豊かな自然が東京にもあるということや、小笠原諸島の自然をもっと知っていただきたいという思いのもと、小笠原村各所から協力やアドバイスをいただき展示ができています。‌
小笠原村のみなさまとのこれまでの取り組みを含めたサステナブルな取り組みを発展させるべく、2021年に「AQTION!(アクション)」を開始。社会課題に向き合い、水族館だからこそやるべき活動を推進しています。環境問題を知る教育や、行動の変容、さらにはその課題解決にアプローチするための取り組みを進めています。‌
今回の海浜清掃は、通常、小笠原諸島で回収されたゴミが産業廃棄物として処分されるところを、一部だけでも再利用し、アップサイクルな取り組みへ昇華させたいという試みです。協力者として、小笠原村のみなさまをはじめ、アウトドアブランドのヘリーハンセンなど様々な方のお力を結集させていきます。‌

小笠原諸島の自然を未来へ伝え、のこすための第一歩として、すみだ水族館では、小笠原村のみなさまの活動に協力できる体制の構築を行っていきます。この夏には小笠原諸島に関するビッグニュースをお届けできると思いますのでお楽しみに!‌

[参考記事]‌
HELLY HANSEN  H2O PROJECT‌
「すみだ水族館と共に向き合う小笠原諸島とアオウミガメの現状」‌
https://www.goldwin.co.jp/hellyhansen/h2o-project/for/detail07.html

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