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〜住宅及び世帯に関する基本集計(確報値)より〜
総務省統計局統計調査部国勢統計課長 阿向 泰二郎
2018年10月1日に実施した平成30年住宅・土地統計調査について、本年9月30日に『住宅及び世帯に関する基本集計』を公表しました。
『住宅及び世帯に関する基本集計』は、平成30年住宅・土地統計調査の調査項目のうち、住宅の「建築の時期」、「所有の関係」、「居住室の広さ」、「家賃」や世帯の「年間収入」、家計を主に支える者の「年齢」、「従業上の地位」など、住宅及び世帯に関する基本的な項目について集計したもので、確報値として公表する最初の集計結果となります。本稿では、この『住宅及び世帯に関する基本集計』の中から住宅の主要指標に係る都道府県の結果について紹介します。
持ち家住宅率・・・最も高いのは秋田県
2018年10月1日現在における我が国の総住宅数は6240万7千戸であり、そのうち居住世帯のある住宅(以下単に「住宅」といいます。)は5361万6千戸となっています。このうち、持ち家は3280万2千戸で、住宅全体に占める割合「持ち家住宅率」は61.2%となっています。
都道府県では、秋田県の77.3%が最も高く、次いで富山県の76.8%となっています。一方、最も低いのは沖縄県で44.4%、次いで東京都が45.0%となっており、持ち家住宅率が5割を下回っているのはこの2都県となっています。10年前と比べると、沖縄県の持ち家住宅率が5.8ポイントと大きく低下しているのが見られます。
図1 持ち家住宅率−都道府県(2018年)
表1 持ち家住宅率−都道府県(2008年、2018年)
持ち家住宅率の高い都道府県 持ち家住宅率の低い都道府県
2018年 | 2008年 | 2018年 | 2008年 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 秋田県 | 77.3 | 78.4(1) | 1 | 沖縄県 | 44.4 | 50.2(2) | |
2 | 富山県 | 76.8 | 77.5(2) | 2 | 東京都 | 45.0 | 44.6(1) | |
3 | 山形県 | 74.9 | 75.5(4) | 3 | 福岡県 | 52.8 | 53.6(4) | |
3 | 福井県 | 74.9 | 77.4(3) | 4 | 大阪府 | 54.7 | 53.0(3) | |
5 | 岐阜県 | 74.3 | 73.9(5) | 5 | 北海道 | 56.3 | 57.2(5) |
2008年の()内の数値は、2008年調査の順位。以下、全表同じ。
居住室の広さ・・・最も広いのは、持ち家は富山県、借家は北海道
1住宅当たりの居住室の広さ(畳数)は、全国で32.91畳であり、持ち家では41.49畳、借家では18.14畳となっています。
また、持ち家の居住室の広さは、富山県が53.83畳と最も広く、次いで秋田県が51.26畳となっており、持ち家住宅率が高い県は、持ち家の居住室も広い傾向にあります。一方、東京都が34.76畳と最も狭く、次いで鹿児島県が35.46畳となっています。
図2 持ち家1住宅当たりの居住室の広さ(畳数)−都道府県(2018年)
表2 持ち家1住宅当たりの居住室の広さ(畳数)−都道府県(2008年、2018年)
持ち家1住宅当たりの居住室が広い都道府県 持ち家1住宅当たりの居住室が狭い都道府県
2018年 | 2008年 | 2018年 | 2008年 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 富山県 | 53.83 | 56.41(1) | 1 | 東京都 | 34.76 | 32.93(1) | |
2 | 秋田県 | 51.26 | 52.82(2) | 2 | 鹿児島県 | 35.46 | 33.81(2) | |
3 | 山形県 | 50.61 | 51.78(6) | 3 | 沖縄県 | 36.40 | 35.25(3) | |
4 | 石川県 | 50.55 | 52.67(3) | 4 | 大阪府 | 36.84 | 35.85(5) | |
5 | 福井県 | 50.43 | 51.56(7) | 5 | 神奈川県 | 37.38 | 35.61(4) |
他方、借家では、北海道が20.73畳と最も広く、次いで奈良県が20.63畳となっています。一方、東京都が15.84畳と最も狭く、次いで京都府が16.67畳となっており、大都市を擁する都府県で狭い傾向が見られ、また、借家は大都市に多いことから、借家の居住室の広さは40道県で全国平均の18.14畳を上回る結果となっています。
図3 借家1住宅当たりの居住室の広さ(畳数)−都道府県(2018年)
表3 借家1住宅当たりの居住室の広さ(畳数)−都道府県(2008年、2018年)
借家1住宅当たりの居住室が広い都道府県 借家1住宅当たりの居住室が狭い都道府県
2018年 | 2008年 | 2018年 | 2008年 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 北海道 | 20.73 | 21.13(1) | 1 | 東京都 | 15.84 | 14.92(1) | |
2 | 奈良県 | 20.63 | 20.81(2) | 2 | 京都府 | 16.67 | 16.30(2) | |
3 | 青森県 | 20.38 | 20.37(4) | 3 | 大阪府 | 17.26 | 16.96(4) | |
4 | 佐賀県 | 20.13 | 20.32(5) | 4 | 神奈川県 | 17.45 | 16.64(3) | |
5 | 香川県 | 20.12 | 19.91(7) | 5 | 宮城県 | 17.77 | 17.46(5) |
居住室の広さを10年前と比べると、持ち家は上位の都道府県で狭くなる傾向、持ち家、借家共に下位の都道府県で広くなる傾向が見られます。
誘導居住面積水準・・・水準以上の世帯が最も多いのは、持ち家は富山県、借家は北海道
住宅の広さはそこに住む人たちが豊かな暮らしを送る上での重要な条件となります。しかし、同じ広さであっても居住する世帯の人数によって、その広さの持つ意味は変わってきますし、一戸建か共同住宅かによっても、また都市部か否かによってもその意味は違ってくると言えるでしょう。
政府は、住宅の質の向上を促進する観点から、世帯人員に応じた住宅の居住面積水準を住生活基本法に基づく住生活基本計画(全国計画)において定めています。居住面積水準は「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」の2つがあり、さらに後者は「一般型」と「都市居住型」に分かれています。
住宅・土地統計調査では、『住宅及び世帯に関する基本集計』において、住生活基本計画で定める居住面積水準を基本として、調査した住宅一つ一つについて居住面積水準の適否を判定し、それぞれの居住面積水準の状況を推計しています。
全国の住宅に住む世帯(同居世帯を除く)の居住面積の状況は、最低居住面積水準以上の世帯が90.1%、誘導居住面積水準以上の世帯が57.2%となっており、5年前はそれぞれ90.2%、56.6%で、最低居住面積水準についてはほぼ変動がない結果となっています。上昇が見られる誘導居住面積水準以上の世帯の割合は、住宅の所有の関係によっても異なり、持ち家は74.1%(5年前74.2%)、借家は33.3%(同30.4%)となっています。
さらに誘導居住面積水準以上の世帯を都道府県でみると、持ち家は富山県が87.7%と最も高く、次いで秋田県が86.6%となっており、一方、持ち家でその割合が低いのは、沖縄県の63.1%、東京都の64.4%などとなっています。
図4 誘導居住面積水準以上の持ち家主世帯の割合−都道府県(2018年)
表4 誘導居住面積水準以上の持ち家主世帯の割合−都道府県(2018年)
誘導居住面積水準以上の持ち家主世帯の割合が高い都道府県 誘導居住面積水準以上の持ち家主世帯の割合が低い都道府県
1 | 富山県 | 87.7 | 1 | 沖縄県 | 63.1 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2 | 秋田県 | 86.6 | 2 | 東京都 | 64.4 | |
3 | 青森県 | 85.0 | 3 | 大阪府 | 64.7 | |
4 | 石川県 | 84.9 | 4 | 京都府 | 66.3 | |
5 | 山形県 | 84.8 | 5 | 神奈川県 | 66.4 |
1 世帯人数に応じた豊かな住生活の実現の前提として多様なライフスタイルに対応するために必要と考えられる住宅の面積の水準
2 水準には「都市居住型」と「一般型」
・都市居住型 … 都市の中心及びその周辺における共同住宅居住を想定
・一般型 … 都市の郊外及び都市部以外の一般地域における戸建住宅居住を想定
3 住生活基本計画で定めている居住面積水準を基本として、居住面積水準の判定を行っている。判定方法については、「用語の解説」の「居住面積水準」を参照。
4 本調査では、誘導居住面積水準以上の世帯を、都市居住型誘導居住面積水準以上の共同住宅に住む世帯と、一般型誘導居住面積水準以上の一戸建、長屋建及びその他の住宅に住む世帯の合計としている。
借家については、誘導居住面積水準以上の世帯の割合は北海道が45.0%で最も高く、次いで奈良県が41.6%となっており、全都道府県で50%を下回る状況にあります。最も低いのは、東京都の26.4%、次いで神奈川県及び京都府の28.9%で、いずれも30%を下回っています。
図5 誘導居住面積水準以上の借家主世帯の割合−都道府県(2018年)
表5 誘導居住面積水準以上の借家主世帯の割合−都道府県(2018年)
誘導居住面積水準以上の借家主世帯の割合が高い都道府県 誘導居住面積水準以上の借家主世帯の割合が低い都道府県
1 | 北海道 | 45.0 | 1 | 東京都 | 26.4 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2 | 奈良県 | 41.6 | 2 | 神奈川県 | 28.9 | |
3 | 石川県 | 41.3 | 2 | 京都府 | 28.9 | |
4 | 徳島県 | 41.1 | 4 | 沖縄県 | 30.6 | |
5 | 高知県 | 38.9 | 5 | 大阪府 | 31.0 |
家賃・間代・・・東京都が最も高く、鹿児島県の2.1倍、1畳当たりの価格では青森県の2.7倍
借家(専用住宅)の1か月当たりの家賃・間代は、全国平均で55,695円となっています。都道府県では、東京都が81,001円と最も高く、最も低い鹿児島県の家賃・間代(37,863円)の2.1倍となっています。1畳当たりに換算すると東京都は5,128円で、やはり全国的に最も高く、最も低い青森県の1畳当たり家賃・間代(1,882円)と比べて2.7倍の価格となっています。
図6 借家の1か月当たり家賃・間代−都道府県(2018年)
表6 借家の1か月当たり家賃・間代及び1畳当たり家賃・間代−都道府県(2018年)
注)「店舗その他の併用住宅」を除く「専用住宅」の借家の1か月当たりの家賃・間代である。
太陽光発電機器・・・設置率が最も高いのは佐賀県
「太陽光を利用した発電機器あり」の住宅は219万戸で、住宅全体の4.1%となっています。都道府県では、佐賀県が9.4%と最も高く、次いで長野県が8.5%となっており、日照時間の長い地域又は快晴日数の多い地域で太陽光発電機器の設置が普及している状況が見られ、設置率が最も低いのは北海道で1.3%、次いで東京都が1.4%となっています。10年前と比べると、上位、下位の都道府県で共に割合が上昇している傾向が見られます。
図7 太陽光を利用した発電機器ありの住宅の割合−都道府県(2018年)
表7 太陽光を利用した発電機器ありの住宅の割合−都道府県(2008年、2018年)
太陽光を利用した発電機器ありの住宅の割合が高い都道府県 太陽光を利用した発電機器ありの住宅の割合が低い都道府県
2018年 | 2008年 | 2018年 | 2008年 | |||||
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1 | 佐賀県 | 9.4 | 3.0(1) | 1 | 北海道 | 1.3 | 0.3(1) | |
2 | 長野県 | 8.5 | 1.9(5) | 2 | 東京都 | 1.4 | 0.4(2) | |
3 | 宮崎県 | 8.0 | 2.7(2) | 3 | 秋田県 | 1.7 | 0.5(4) | |
4 | 栃木県 | 7.8 | 1.7(11) | 4 | 新潟県 | 1.8 | 0.5(4) | |
4 | 山梨県 | 7.8 | 1.9(5) | 5 | 青森県 | 2.1 | 0.4(2) |
二重以上のサッシや複層ガラスの窓・・・設置率が最も高いのは北海道
「二重以上のサッシ又は複層ガラスの窓あり」の住宅は1553万2千戸で、住宅全体の29.0%となっています。都道府県では、北海道が79.6%と最も高く、次いで青森県が71.0%となっており、寒冷地域である北海道や東北日本海側で高い傾向が見られます。一方、最も低いのは沖縄県で6.9%、次いで高知県が16.0%となっています。
また、10年前と比べると、割合が20%を超えたのが22都府県あり、特に西日本側で普及しているのが見られます。
図8 二重以上のサッシ又は複層ガラスの窓ありの住宅の割合−都道府県(2018年)
図9 二重以上のサッシ又は複層ガラスの窓ありの住宅の割合−都道府県(2008年、2018年)
2008年 2018年
以上の内容は、平成30年住宅・土地統計調査のごく一部です。その他の詳細な結果を含め、『住宅及び世帯に関する基本集計』は、 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/tyousake.html をご覧ください。
なお、平成30年住宅・土地統計調査については、来年1月に『住宅の構造等に関する集計』、3月に『土地集計』の集計結果を順次公表する予定です。これらも是非ご利用ください。
( 公表情報 https://www.stat.go.jp/data/kouhyou/e-stat_jyutaku2018.xml )
(令和元年12月20日)