株式会社みらいホールディングス
株式会社みらいホールディングス
株式会社みらいホールディングス
2024年7月取材
※ 記事は過去の取材時のものであり、現在とは内容が異なる場合があります。
創業20周年を「第二創業期」と位置づけ
グループを統合するオフィス移転を行った
「人と企業のみらいを幸せにする」というミッションのもと、さまざまな事業にチャレンジしてきた株式会社みらいホールディングス。順調な業務拡張の中で従業員は大幅に増加。それがオフィスの手狭さを生み出していた。2024年2月、そうした環境を改善すべく名駅エリアに分散していたグループ会社の統合移転を実施。今回は、統合移転の背景やオフィスコンセプトを紹介していく。
株式会社みらいホールディングス
執行役員 管理部長兼
グループ人事企画室副室長
阪井 進之助 氏
Contents
- 「みちびく」と「もてなす」の2つの事業を柱に進化を続けてきた
- グループ企業のオフィス統合は何年も前からの課題だった
- コロナが収束に近づいたことで本格的な移転先探しが再開する
- 異なる会社が集まることのメリットを最大限生かす
- グループ共通のミッションをオフィスコンセプトに盛り込んだ
- オフィスに来るメリットを従業員は肌で感じている
エントランス・受付
「みちびく」と「もてなす」の2つの事業を柱に進化を続けてきた
株式会社みらいホールディングスは2003年、中小企業の経営支援を目的に創業。その後2004年に株式会社IPO(現、株式会社みらい経営)を設立。以降、不動産仲介、資金調達、事業再生、M&A、資産形成支援業務の強化など、企業の課題解決につながるソリューションの提供、資産形成のサポートといった「みちびく」ソリューション事業を展開してきた。
現在は、株式会社みらいホールディングスとしてグループ5社をまとめ、マンスリーマンションやシェアハウスの管理、ホテル運営、リロケーションサービスといった「もてなす」サービス事業も行っている。今後も、この2つの事業を通じて「人と企業の幸せな未来創造」を目指していくという。
グループ企業のオフィス統合は何年も前からの課題だった
同グループは、名駅エリアに立地する2棟のビルに分散してオフィスを構えていた。名駅4丁目のビルは「みちびく」ソリューション事業の3社が入居、一方「もてなす」事業を展開する2社は名駅2丁目のビルを使用。2棟合計の使用面積は約300坪。約110人が業務を行っていたという。
「異なる事業で同一企業へアプローチを行うケースもあり、密接な距離感で情報を共有することが求められていました」
加えて、将来の人員増加に対応できるスペースの確保も視野に入れておく必要があった。新型コロナの発生前から三幸エステートへ相談していたという。
「名駅エリアだけではなく、もう少し範囲を広げて探したこともありました。名古屋駅から離れたとしても、快適なオフィス環境であれば検討の余地があると考えたのです。しかし当社のメイン業務である個人向けの商材や企業ブランディングを考えたときに、やはり当社は名駅エリアが相応しいという結論になりました」
そうしてオフィス移転が本格的に動き始めた矢先、計画は一時中断を余儀なくされる。新型コロナの影響でホテル運営事業の収益が低下したことが理由だ。
「収益が下がっている状態でオフィスに投資することはできませんでした。事業が安定を取り戻すまで、働き方改善は延期せざるを得なかったのです」
コロナが収束に近づいたことで本格的な移転先探しが再開する
それからしばらく経ってコロナは収束に近づき、事業も安定を取り戻す。エリア、面積、コストといった条件を考慮しながら、本格的な移転先探しが再開する。
「旧オフィスには、それぞれリフレッシュスペースを設けていました。しかし増員に伴い、次第に執務スペースとして使われるようになっていました」
人員の増加に比例して来客数も増える。当然、応接室や会議室も増やす必要があった。そうした現状の課題も三幸エステートに伝える。すぐに条件に合った候補物件が提案された。
「どんなに高スペックのオフィスビルでも、従業員がのびのびできない環境では意味がありません。立地、面積、コスト。それらのバランスを考えながら、『居心地の良いオフィス』を求めました」
決め手に欠ける中で、以前検討候補であった駅前のランドマークに360坪の面積確保が可能との情報が入る。
「旧オフィスはトータルで300坪でしたので、余裕を持たせたいという思いを持ちつつも、360坪は想定していた以上の広さでした。しかしその一方で、このビルへの入居は間違いなく従業員のモチベーションアップにつながることも想像できました」
その後、ビル側との条件交渉に入る。条件交渉は三幸エステートが担当した。
「申し分のない条件を引き出していただきました。創業20周年という絶妙のタイミングだったこともあり、賃貸借契約締結に向けて前向きに調整を進めました」
異なる会社が集まることのメリットを最大限生かす
新オフィスにはグループ5社が入居する。それぞれ社風や文化が異なる中でのオフィスづくりは容易ではなかった。そこで阪井氏は、異なる会社が集積することのメリットを最大限生かそうと考えたという。
「たとえグループ会社であっても、働き方や就業規則は全く異なります。それをまとめあげなければならないと考えていた当初は不安だらけでした。そこで、無理に一つのルールにはめ込むのではなく、それぞれのルールを活かそうと考えたのです。それによってグループ内での人材交流が頻繁に行われ、会社の枠を超えた人事異動も可能になりました。全従業員の適材適所の見極めを可能にしたのです。今では、これこそがグループを統合する本来の目的ではないかとすら思っています」
グループ共通のミッションをオフィスコンセプトに盛り込んだ
「移転プロジェクトに関しては、私と企画室の責任者がプロジェクトリーダーとして指揮をとりました。2023年7月に体制表を作成。ネットワークシステムや引っ越しなど、専門的な業務担当を決めて社内調整を行いました。通常業務も並行しながらの進行でしたので、かなり業務負担はありましたね」
ちょうど創業20周年のタイミングでもあり、グループとして共通のミッションを打ち出していた。「VAPEAHA(バピーハ)」というものだ。
「Value、Peace、Happyを組み合わせた造語です。今まではバリュー中心の会社運営でしたが、今後は従業員の幸せや平和、楽しみといったことにも目を向けていく必要がありました。そして、これらのミッションの達成のためには、オフィスのあり方や役割を大きく考え直すことが不可欠だったのです」
デザインコンセプトとして用いられたのは「円(サークル)」となる。
「当社のロゴマークは3つの円(縁)をモチーフにしており、人との縁を大切にすることを表現しています。その思いが新オフィスを訪れた方にも伝わるように、色々なエリアで円を使用しました」
特にエントランスは、そのモチーフをふんだんに取り入れたデザインとなっている。壁や椅子には曲線を使い、柔らかさを醸し出した。
エントランス
エントランスの奥には応接会議室を集中させた。最奥の会議室の手前には簡易的な打ち合わせ用スタンディングデスクが置かれている。全ての応接会議室には大型モニターを採用。接続するだけでリモート会議が行えることができ、準備のための時間やストレスを削減できたという。
スタンディングデスク
会議室
セキュリティに守られた奥の空間が執務室エリアとなる。中に入ると共有スペースが目に留まる。このスペースの使用ルールは一つだけ。「ランチタイム時には仕事をしない」だ。
「共有スペースには、テーブル席とカウンター席を配置しました。コミュニケーションの活性化を目的としてつくりました。ランチ時での使用はもちろんのこと、休憩の場でもあります。最近、休憩時に会社を超えて従業員同士が楽しそうに会話をしている姿を多く見かけます。また、カウンター席は就業後にアルコールを提供して従業員同士の交流を深める場所にもなっています」
共有スペース
その他、興味ある映像を流すことで交流を促す「シアタールーム」、横になって休憩ができる「畳の部屋」、ティーサーバーやウォーターサーバーを置いた「ミーティングエリア」、「個人ブース」など、目的によって働く場所を使い分けるABWの考え方を採用している。
「個人ブースは予約制にして4室つくりました。集中作業、1on1会議、休憩の場、など、さまざまな用途を想定しています。オフィス開設直後は稼働率が低かったので、自由に使える場ということを社内にアピールして稼働率を高める取り組みをしています」
シアタールーム
執務室はグループごとにゾーニングを行った。マンスリー契約の短期滞在型マンションやシェアハウスなどの「住まいに関する事業」を行う株式会社アットインの執務エリアは、ガラスの壁で仕切られている。
執務室全景
「電話でのお問合せが多く、個人情報を取り扱うために仕切りを設けました」
執務室全体を見るとフリーアドレスを採用している部門と固定席の部門が存在する。ただし、固定席であっても情報の流出防止のため、退室時には必ず私物をパーソナルロッカーに片付けるルールとしている。
オフィスに来るメリットを従業員は肌で感じている
「コロナ禍でテレワークを実施しましたが、当社の従業員には合わなかったみたいです。現在もテレワークは家庭の事情などを考慮して柔軟に対応していますが、意外にもほとんどの従業員がオフィスに出社しています。きっと『何気ない会話』の重要性を理解しているのだと思います」
居心地の良さ。それは新オフィス構築の中で最も意識したキーワードだった。オフィスは、管理部門が一日の大半を過ごす場所であり、営業スタッフにとっては一日の最後に戻ってくる場所でもある。「仕事のしやすさ」や「風通しの良さ」といったソフト面からの仕掛けもあれば、「外光を採り入れた設計」といったハード面でのアプローチも考えたという。
「私は、できるだけオフィスに出社することを心掛けています。毎日、色々な人に会えますし、一つの質問に対して多様な意見を聞くことができるのが魅力だからです。これはテレワーク中心の働き方では成立しないことだと感じています」
今後、オフィス運営は阪井氏が所属する管理部で行っていくという。
「単純な改善だけではありません。共有スペースの意味のある使い方やシアタールームの規定づくり、新設したさまざまなブースの稼働率アップ、アフターファイブの充実など、色々な施策を推し進めていく予定です」
経済的に価値があり、経営理念に沿うものであれば、何でも取り組むというスタンスでさまざまな事業にチャレンジしてきた株式会社みらいホールディングス。創業20周年を迎えた2023年からを「第二創業期」と位置づけ、今後も経営理念や事業戦略、ビジョンに共感する人と共にチームをつくりあげていく。