陸上女子800メートル日本記録保持者の久保凛(16=東大阪大敬愛高)が、日本新記録&世界一を狙う。22日、成田空港で20歳未満によるU20世界選手権(27~31日、ペルー・リマ)への出国前に取材対応。パリオリンピック(五輪)女子やり投げ金メダルの北口榛花(26=JAL)に感銘を受けた高校2年生は、来年9月の世界選手権(東京・国立競技場)の参加標準記録(1分59秒00)突破を目指す。

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左胸に日の丸がプリントされたシャツをまとった久保は、明るい声を響かせた。「ワクワクした気持ちでいっぱい」。U20世界選手権は自身初の海外レースとなるが、緊張よりも高揚感が勝る。

「速い選手たちと走れるのは良い機会。自己記録更新と優勝を目指して全力で取り組みたい」

7月に自身が樹立した日本記録(1分59秒93)更新と金メダル獲得を誓った。

世界一への思いは、出場がかなわなかったパリ五輪で強まった。やり投げの北口が日本女子のトラック&フィールド種目で初の金メダルを獲得。新たな歴史を切り開く姿に「いつか自分も金メダルを取れる選手になりたい」と重ね合わせた。

世界の頂点を極める可能性は十分にある。今季は6月の日本選手権で初優勝し、7月の全国高校総体で2連覇。自己ベストは20歳未満で今季世界4位につける。来秋の世界選手権の参加標準記録へも0秒93と迫っており「前半から積極的にレースを進めたい。ラストスパートは絶対に負けない」と今大会での突破を狙う。

その先に見据えるのは、28年ロサンゼルス五輪での活躍。日本女子800メートルでは、人見絹枝が1928年アムステルダム五輪で銀メダルをつかんだが、久保はその上を目指す。「一番初めに自分が、という思いがある」。ロスの星が、世界一への階段を駆け上がっていく。【藤塚大輔】