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「第2自民党」を自認し、共産党はなくなっていいと言った日本維新の会・馬場伸幸代表から失われた「野党の矜持」
馬場代表の発言はなぜ大問題なのか(6月28日、東京) REUTERS/Kim Kyung-Hoon
<議会制民主主義の下で、他党の存在を否定するのはもってのほかだが、第2自民党という主張にも国政の監視がおそろかになる危険性が垣間見える>
7月23日、日本維新の会の馬場伸幸代表がインターネット番組に出演し、日本維新の会は「第2自民党」ではないかという指摘を受けて、それを肯定し、第1、第2自民党が「改革合戦」を行ったらよいと述べた。またその際、日本共産党について「なくなったらいい政党。おっしゃっていることがこの世の中でありえない」と述べ、この発言が大きな問題となっている。
共産党について「なくなったらいい政党」と発言したことは、大きな波紋を呼んでいる。維新の会の馬場代表のこの発言に対し、共産党の小池書記局長は会見を開き、「民主主義を根本から否定する暴論だ」と厳しく抗議し、発言の撤回を求めたが、馬場代表は応じず、この発言は「信念」と述べたうえで、共産党は「破防法による調査団体」であることを指摘した。
筆者は以前、維新の会の「反共イデオロギー」を問題にしたことがあるがそこでも維新の会は共産党が「破防法による調査団体」であることに言及し、同党から批判を受けている。警察の主張を国政政党が鵜呑みにして特定の政党の排除を肯定するのは警察国家の始まりだ。従って「民主主義を根本から否定する暴論」という批判は基本的には正しいが、もう少し詳しい政治学的説明も必要かもしれない。
「無くなったらいい政党」はなぜ暴論か理由
人間誰しも、自分にとって大切な信念やアイデンティティがある。正しいと思った意見が通る世の中が望ましい。逆に、自分に害をなしたり、逆に自分の利益になること、あるいは社会的な正しさを遂行することを邪魔したりする人については、いなくなってほしいと思うのが人情というものだ。
しかし、そうしたホンネをみんなが公言してしまうと、政治は人々が互いの実存をかけてひたすら戦い続けるという、やるかやられるかの修羅の世界になってしまう。ドイツの法学者カール・シュミットが述べたように、「政治的なもの」の本質は実存をかけた戦いの中に宿っている。しかし、そうした生々しい力の世界で生きることに耐えられる人たちはそう多くない。そこで、存在論的な闘争をいったん止めるための政治システムが必要になる。そのシステムの一つが議会制民主主義なのだ。
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