5大商社、総合職の7割が年収2千万超に――商事はボーナス基準「利益8千億円」へ引き上げ
戦争&円安で資源バブル、米国並み給与を謳歌
5大商社「働く」視点の重要データ一覧。やましいことがない会社は、この項目を全開示できるはずである。 |
30年におよぶ経済停滞で米国の半分の水準にまで差が拡大した日本の平均賃金であるが、日本企業に勤めながら米国並みの給料を得られる数少ない業界が、総合商社である。国内は人口減と少子高齢化で伸びる見込みがないが、商社のビジネスは世界中が舞台。ここ数年は先達がかつて獲得した資源エネルギー権益が大当たりして収益に貢献。ウクライナ戦争による高騰と円安でバブル状態となり、各社最高益を更新した。9時5時勤務の窓際族は“ウインドウズ2500~3000”にバージョンアップとなった。
- Digest
-
- 商事はベア6.5%&「利益ゼロでも年収1600万円」に底上げ
- 「ウインドウズ2500~3000」にバージョンアップ
- 総合職社員の75%が管理職
- 日本の他の大企業の給料が安すぎる
- 「総合職社員の4分の3が管理職」の意味
- 時間差で過去に投資した果実を享受
- 戦略系コンサル+ハンズオン投資ファンド
- 19時には帰る20代ネオ商社マン
- 丸紅がトップ「ジェンダー不平等」改善で女性にチャンス
- カルチャーは「会社×本部」で変わる
- 抜擢なし、権限裁量なし
- 政治家コネ入社と政府系プロジェクト
総合商社の賃金体系で特徴的なのは、全社業績と明確に連動して夏前に支給されるボーナスの存在感だ。3月に締めた決算(最終利益)に連動し、6月に支給される。曖昧な労使交渉で妥協点をひねり出すことが多い他業界と違って、一定の計算式により、会社が儲かれば社員も確実に潤い、5大商社株を持つウォーレン・バフェットはじめ株主とも利害が一致する。
したがって、最終利益が多ければ、平均給与も上がる。1位の三菱商事、2位の三井物産は、ともに2023年3月期、初の最終利益1兆円を達成。人件費を払い、税金を払って、それでも残る利益が1兆円である。
両社とも単体で社員5500人程度なので、社員1人あたり最終利益は「2億円弱」にもなる。単純計算では、仮に全社員に1億円ずつボーナスを配ってもまだ会社に5千億円もの十分な最終利益が残るという、ケタ外れな儲かり方となった。
商事はベア6.5%&「利益ゼロでも年収1600万円」に底上げ
三菱商事のキャリアパスと報酬2023年版 |
「私の今年6月支給のボーナスは、額面で計1300万円くらいでした。今年4月から報酬体系が少し修正されまして、まず、物価上昇などを考慮した基本給のベースアップが、6.5%。30代前半に一律昇格する『M2』ランクでは、
この先は会員限定です。
会員の方は下記よりログインいただくとお読みいただけます。
ログインすると画像が拡大可能です。
- ・本文文字数:残り12,113字/全文12,873字
三井物産のキャリアパスと報酬水準2023年
5大商社の最終利益と資源部門利益
米国の年間平均賃金は8万ドルに迫る。日本は30年間も4万ドル前後に張り付いて停滞中。
総合商社の仕事内容と必要スキル資質
総合商社の営業ポジション
このままジェンダー格差を放置したらGPIFなど年金ファンドは投資先として不適格と判断し始めるはず(GPIF公式サイトより)
丸紅「女性活躍2.0」で女性の採用強化と環境整備を宣言
社風マップにおける総合商社の位置づけ
伊藤忠のド派手な入社式(2023年4月、各社が報道)
住友商事の苦しい声明「ミャンマーにおける通信事業への取り組みについて」
Twitterコメント
はてなブックマークコメント
facebookコメント
読者コメント
文中で挙げた入社式の他の例→侍ジャパン世界一で働き方に変化? 伊藤忠がWBC観戦を“勤務”に 岡藤正広会長「けじめをつけて応援しようと」 https://youtu.be/_cmZLLJr7Rc?si=3EcgwVm2O46g6_5q
記者からの追加情報
本企画趣旨に賛同いただき、取材協力いただけるかたは、こちらよりご連絡下さい(永久会員ID進呈)
新着記事のEメールお知らせはこちらよりご登録ください。