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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会)> 中央社会保険医療協議会 総会 第573回議事録(2023年12月15日)

 
 

2023年12月15日 中央社会保険医療協議会 総会 第573回議事録

○日時

令和5年12月15日(金)8:30~

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター 15F

○出席者

小塩隆士会長 飯塚敏晃委員 笠木映里委員 永瀬伸子委員 本田文子委員 安川文朗委員
鳥潟美夏子委員 松本真人委員 高町晃司委員 眞田亨委員 鈴木順三委員 
長島公之委員 茂松茂人委員 江澤和彦委員 池端幸彦委員 太田圭洋委員 林正純委員 森昌平委員
木澤晃代専門委員 上田克彦専門委員 田村文誉専門委員
<事務局>
伊原保険局長 眞鍋医療課長 木下医療技術評価推進室長
荻原保険医療企画調査室長 安川薬剤管理官 小嶺歯科医療管理官 他


○議題

○在宅(その6)について
○入院(その7)について
○入院(その8)について
○歯科医療(その3)について
○外来(その4)について
○長期収載品(その3)について

 

 

○議事 

○小塩会長
 おはようございます。ただいまより、第573回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、佐保委員、末松委員、岡本専門委員が御欠席です。
 今日もたくさんの重要な案件が並んでおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に「在宅(その6)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 おはようございます。医療課長でございます。
 それでは、在宅(その6)につきまして、テーマとしましては「訪問診療・往診等について」、そして「訪問看護について」ということでございますけれども、中医協資料総-1を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 2ページ目に目次がございます。
 スライド3以降が訪問診療・往診等に関する、これまでの議論の抜粋となります。
 スライド3でございますが、こちらは、10月4日にお示しいたしました、訪問診療・往診等に係る論点でございます。
 スライド4から6は、これまでの中医協総会で、訪問診療・往診等に関していただきました御意見をまとめてございます。
 本日の資料でございますけれども、5ページでございますが、こちらに下線を引かせていただいているところがございます。これは、事務局で引かせていただいてございますけれども、こちらにつきまして、事務局で追加の資料等を準備させていただいたところでございます。
 スライド7以降でございますけれども、こちらが「患者の状態に応じた訪問診療について」というタイトルで御説明するものでございます。
 8ページ目は「在宅医療の体制について」ということでございまして、医療提供体制に係る議論に関する資料でございます。
 真ん中にございますとおり「①退院支援」「②日常の療養支援」「③急変時の対応」「④看取り」の4つの機能が求められていると整理をされてございます。
 スライド9でございます。こちらは、在宅時医学総合管理料、施設入居時等医学総合管理料、在医総管、施設総管と略すことが多いですけれども、そういった管理料の概要を示してございます。
 10ページ目には、当該点数につきまして、患者さんの状態に応じた評価といたしまして、包括的支援加算等が設定されていることを示してございます。
 スライド11に進みます。
 在宅(その2)でお示しいたしました、患者さんの要介護度や、日常生活自立度に応じまして、訪問診療での訪問時間が異なるということをお示しするスライドでございます。
 12ページ目でございます。こちらは包括的支援加算の対象にもなってございます、点滴・注射や創傷処置につきまして、それらの実施の有無別でございますけれども、訪問診療における診療時間を比較してございます。
 点滴・注射や創傷処置を実施している患者さんの方が、診療時間が長かったという結果でございました。
 スライド13でございます。こちらは12ページと同様に、経口麻薬の投与の有無で、訪問診療における診療時間を比較したものでございます。投与されている患者さんの方が長いという結果でございました。
 14ページ目は、訪問診療を受けている患者さんの、対象病名別の訪問診療における診療時間でございます。悪性腫瘍の患者さんや難病患者さんが長いという結果でございました。
 15ページ目でございます。こちらも在宅(その2)でお示ししたものでございますけれども、訪問診療の算定回数が多い医療機関におけます施設入居者に対しまして、訪問診療を実施している割合が高い医療機関と、それ以外の医療機関のターミナルケア加算、往診加算の算定状況等の現状のスライドでございます。
 スライド16は、主として訪問診療または往診を実施する診療所についてでございます。
 当該診療所につきましては、在宅療養支援診療所を届け出る際には、追加で看取り等の実績を求めているところでございます。
 当該診療所の方が、その他の診療所と比較いたしまして、在宅患者訪問診療料の算定回数が高い傾向にある一方、往診料、ターミナルケア加算の算定回数は少ないという傾向にあるという結果でございました。
 スライド17でございます。15ページ目と同様でございまして、在宅(その2)でお示ししましたものでございます。
 訪問診療の算定回数が多い医療機関におけます、患者1人当たりの訪問診療の回数が多い医療機関と、それ以外の医療機関のターミナルケア加算、往診加算の算定状況の現状のスライドでございます。
 18ページ目は、患者さんお一人当たりの訪問診療の回数が多い医療機関につきまして、主傷病名別の患者さんの割合を出してございます。
 患者さんお一人当たりの訪問診療回数が4回以上、12回以上の医療機関におきまして、高血圧症、アルツハイマー型認知症の患者さんが多かったという結果でございました。
 スライド19ページ目には、参考に全医療機関を対象といたしまして、1か月当たりの訪問診療の算定回数は4回以上、12回以上の、それぞれの傷病名別の患者さんの割合を示してございます。
 18ページ目と同様に、高血圧症、そしてアルツハイマー型認知症の患者さんが多かったという状況をお示ししてございます。
 20ページ目以降は、在宅医療における24時間の医療提供体制の確保についてということでございます。
 21ページ目は、訪問支援の必要量が今後も増加していくということを、全国地図でお示しをしており、22ページ目、23ページ目には、在宅療養支援診療所、病院と、それぞれの加算の移行の概要になります。
 24ページ目でございますが、在宅療養加算を算定していない理由のアンケートの結果をお示ししてございます。
 25ページ目、26ページ目に関しましては、医政局におきまして紹介しております、在宅医療連携の事例について、お示ししてございます。
 27ページ目から29ページ目は、ICTを用いました平時からの診療情報の連携につきまして、医療情報連携ネットワークの概要、そして、いわゆる地域医療情報連携ネットワーク、以下、地連ネットワーク、NWと記載するとございますけれども、その現状等についてお示しをしてございます。
 こうしたICTを用いた平時からの診療情報等の共有が緊急時の連携に役立つという地域もあるということの御紹介でございます。
 それでは、論点でございます。31ページにまとめさせていただいてございます。
 括弧は1つでございまして、○が5つございます。
 患者さんの状態に応じて、よりきめ細かな評価を実施する観点からということでございますけれども、こちらは、要介護度及び認知症日常生活自立度に関する包括的支援加算の対象患者の範囲について、見直しを行ってはどうか。麻薬の経口投与を行っている患者につきましては、実態を踏まえまして、包括的支援加算の対象患者に加えてはどうか。
 次の○でございますが、訪問診療の算定回数が多い医療機関の一部におきまして、往診や看取りの実績が主として訪問診療または往診を実施する診療所と同様に少ない傾向であることを踏まえまして、効率的に在宅医療を提供している在支診等の要件を、主として訪問診療または往診を実施する診療所の例にならって整理してはどうか。
 以下、3つの論点を挙げさせていただいてございます。
 それでは、2つ目のテーマでございます。「訪問看護について」ということで、御説明をさせていただきます。
 32ページ以降となります。
 33ページ、そして、34ページ、35ページと、これまでの御議論をまとめさせていただいてございます。
 この中で、34ページ、35ページの下線を引いておりますところに関しまして、ここの議論に関わる資料を用意させていただいているところでございます。
 それでは、次の項目の「2-2 医療ニーズの高い利用者の退院支援について」ということでございます。
 37ページでございますけれども、こちらが退院日当日の訪問看護の状況ということでございます。
 退院日当日に複数回訪問看護を行った実態がございまして、その理由といたしましては、医療処置、急変・緊急対応、苦痛の緩和が多いという状況でございました。
 38ページ目でございますけれども、こちらは退院日当日の訪問看護といたしまして、訪問回数や、合計訪問時間、退院日に2回以上の訪問看護を実施した利用者の概況というものを示してございます。
 次に、39ページに進ませていただきまして、退院日2回以上訪問看護を提供した理由を示してございます。
 利用者、患者や主治医から訪問の要請があったということ、利用者家族からは利用者の状態悪化や医療処置に関する不安が挙げられているところ、また、主治医からは医療処置や利用者の状態悪化、状態が急変するリスクが高いことによる病状観察などが、要請内容として挙げられてございます。
 スライド40でございます。こちらは退院日当日に複数回訪問し、提供いたしました医療処置やケアの内容を示してございます。
 医療処置としましては、口腔内や鼻腔内の吸引、麻薬を使用する疼痛管理が多く挙げられ、ケアにつきましては、利用者等への医療処置に関する技術的な指導などが挙げられてございます。
 次に「2-3 集合住宅等における効率的な訪問看護等について」でございます。
 前回におきましては、43ページなどを御覧いただければと思いますが、請求額の分布をお示ししつつ、緊急訪問看護加算等の各種加算の算定状況や、同一建物居住者に関する療養費の算定状況をお示しし、御議論をいただいたところでございます。
 主な意見といたしましては、利用者の病態やケアの内容等及び算定状況を詳しく分析し、今後の対応を考えるべきといった御意見をいただきましたので、集合住宅等における訪問看護の提供について、さらなる分析を行いましたもの等も、お示しさせていただきたいと思います。
 スライド46でございます。こちらは全利用者に占める同一建物居住者の割合別に、事業所の状況を示してございます。
 全利用者のうち、同一建物居住者が7割以上といった事業所につきましては、訪問看護ステーション開設している同一の法人が、特定施設入居者生活介護またはサービス付き高齢者住宅を利用する割合というのが約3分の2でございまして、訪問介護事業所を有している割合も約3分の2ということでございました。
 また、全利用者のうち同一建物居住者が10割といった事業所につきましては、全ての事業所で、これらの施設が同一敷地内または隣接しているといった状況でございました。
 スライド47でございます。こちらは全利用者に占める同一建物居住者の割合別に、訪問看護の提供状況をお示ししてございます。
 7割以上という事業所では、7割未満の事業所と比較いたしまして、別表第7に該当する利用者を多く受け入れている実態があること。
 1か月当たりの訪問日数、訪問回数はいずれも多く、別表第7に該当する利用者に限っても同様の傾向であること。
 1回当たりの訪問時間が30分以上45分未満でございまして、これ以上の訪問時間は、ほぼないといった特徴があったところでございます。
 次、48ページ目でございます。こちらは訪問看護における別表第7該当者のうち、特に多い末期の悪性腫瘍、パーキンソン病関連疾患の利用者に関するケアの内容に関しまして、同一建物居住者の割合別に示したものでございます。
 49ページ目でございます。こちらは介護事業経営実態調査の結果でございますけれども、前回、報酬の分布に関する資料の提示について御指摘がございましたので、介護保険の訪問看護の収支差率をお示ししてございます。
 それでは「2-4 介護保険における訪問看護との制度上の差異について」でございます。
 令和6年度の介護報酬改定が介護との同時改定ということでございまして、介護報酬につきましても、介護給付費分科会で議論が進んでございます。
 そこでの御議論を踏まえまして、新たにテーマとして設定し、御議論いただくものでございます。
 51から52ページでございますけれども、こちらは、介護報酬改定では、訪問看護を含む訪問系サービス等にも、身体的拘束等の原則禁止や、記録に関する規定を運営基準に設けてはどうかと検討されているものでございます。
 53ページでございます。こちらは管理者のテレワーク等に係る取扱い。
 54ページ目から55ページ目は、遠隔死亡診断補助及び訪問診療の死亡診断加算に関するものでございます。
 遠隔死亡診断補助加算につきましては、前回改定で新設された事項でございますけれども、介護報酬でも新設する方向で議論がされていることを踏まえまして、診療報酬側で必要な対応をお示しするものでございます。
 56ページからでございますけれども、こちらはオンライン資格確認、オンライン請求に関する資料となります。
 前回、訪問看護におけるオンライン資格確認について、どのような点で生かせるか、また生かしていくのか、予定かといった御意見をいただきましたので、スライドとして整理を、こちらのほうにお付けさせていただいているところでございます。
 それでは、論点に進ませていただきます。65ページでございます。
 括弧が3つございます。「医療ニーズの高い利用者の退院支援について」、そして「集合住宅等における効率的な訪問看護等について」、そして「介護保険における訪問看護との制度上の差異について」、ここは2つ○がございますけれども、ここに掲げてある論点としてまとめさせていただいてございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 まず、31ページの訪問診療・往診等の論点についてコメントいたします。
 1つ目の○のうち、包括的支援加算について、11ページの箱ひげ図を見ますと、要介護度が軽い患者さん、あるいは日常生活自立度のランクの低い患者さんであっても、診療時間にかかる全体的な傾向としては、要介護度4あるいは日常生活自立度4といった介護の必要性が高い患者さんと、大差ない状況が見て取れます。
 したがって、今回の論点で提案されているような、要介護や日常生活自立度に関する包括的支援加算の対象患者の範囲を見直す必要性は特にないと考えます。
 一方、経口麻薬を投与されている患者さんを対象患者に追加することにつきましては、13ページでも診療時間に違いがあることが示されており、必要と考えます。
 2つ目の○についてです。
 15ページを見ますと、訪問診療の算定が、月500件以上の医療機関の中でも、施設総管の算定割合が80%以上である場合とそうでない場合とで、ターミナルケア加算等の算定回数に若干の違いがあることも確かに見て取れます。
 しかし、以前にも指摘したことですが、人口減少地域では、高齢者の集住化が進められており、訪問診療の算定回数が多くなるのは必然となる場合もありますので、単に訪問診療の算定回数が多いことのみをもって、論点にあるような在宅専門の医療機関と同等の効率があると扱ってしまうと、ただでさえ少ない在宅医療の担い手が離れてしまう可能性を危惧します。
 3つ目の○は、訪問診療の頻度が高いということを、どのように判断するかが重要であると考えます。
 18ページや19ページでは、月4回以上の訪問審議を行っている患者さんの主傷病名は、高血圧や認知症が相対的に多かったことが示されております。
 しかし、高齢の患者さんであれば、複数の疾患を抱えている場合を想定されますし、また少数ではありますが、慢性呼吸不全や肺がんなども含まれており、場合によっては、算定日数制限がない別表第7、第8に該当する場合もあることが考えられ、そのような患者さんに対して、複数回の訪問診療を行うのは、必要性があるためと考えられます。
 さらに、現行制度においては、診療に基づき、医師が頻回な訪問診療の必要性を認めた場合は、一時的に週4回以上の訪問診療が認められております。
 したがって、こうしたことを踏まえれば、今回の資料に示されているような月4回、つまり週1回の頻度を1つの基準として、訪問診療の頻度が高いと言い切るのは、適当ではない場合があることも予想されます。
 前回改定では、在宅データ提出加算が新設されたところでもありますので、もう少しデータを見ながら、どの程度をもって、訪問診療の頻度が高いと判断できるのか、エビデンスを収集するのがよいと考えます。
 4つ目と5つ目の○については、相互に関連する部分があると思いますが、在宅療養移行加算の算定が伸び悩んでいるのは、夜間対応をお願いする連携医療機関にとって、特段のメリットがないことが1つの要因でした。
 したがって、今回提案されたような形で、ICTも活用しながら、連携体制を構築した体制の整っている診療所や、連携する在支診、在支病を評価する方向性に賛同いたします。
 また、ICTを活用した連携については、在宅医療における24時間の提供体制の構築のみならず、医療と介護を含めた多職種連携においても重要になりますので、そういった点での評価も、在宅における医療DX全体の取組として検討してもよいのではないでしょうか。
 続いて、65ページの訪問看護の論点についてコメントいたします。
 医療ニーズの高い利用者の退院支援については、現場の実情を踏まえ、退院支援指導加算の長時間加算などで評価することも考えられるのではないかと思います。
 集合住宅等における効率的な訪問看護等についてです。
 前回、10月20日の議論では、問題となるのはごく一部の事業所であり、こうした事例については、審査において対応するのがセオリーであること。また、算定日数が多い利用者は、別表7、8に該当する医療ニーズの高いものであることも示されており、高額となることに一定の理由がある難病患者等もいることも示されております。
 したがって、単に高額ということに注目するだけでなく、ほかにどのような対応が可能なのか、もう少し丁寧に検討する必要があると申し上げたところです。
 今回は、48ページに同一建物居住者に対する訪問看護の提供内容として、末期の悪性腫瘍に対するケアなども示されておりますが、同一建物と居住割合が7割以上の事業者のほうが、疼痛管理の割合が高いなど、より専門的なケアをしている実態も示されており、やはり単に高額ということに着目するだけでは判断ができないように思います。
 まずは、算定回数が多い医療機関、訪問看護ステーションに対して、今回の電子化に伴い、レセプトや訪問看護記録に緊急訪問、複数名訪問の理由を記載していただき、審査・指導でチェックできるようにし、その上でデータが蓄積されていけば、その後、診療報酬上の措置を検討するなどの方法を検討すべきではないでしょうか。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員に発言の機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、いかがでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、まず、訪問診療・往診等につきまして、31ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず、包括的支援加算につきましてですが、資料の11ページを拝見しますと、現行の基準である要介護度2、認知症生活自立度Ⅱbを境に診療時間が長くなるとは言えず、むしろ自立の場合に最も診療時間が長いことが分かります。
 要介護度や認知症日常生活自立度を加算の指標にしようとする必要性は、そういったデータを見ますと乏しいのではないかと考えられます。
 一方で、資料の13ページを見てみますと、経口麻薬を使用する患者は、12ページにあります、既に加算の対象になっている注射や処置の患者と比べても、診療時間が長い実態がありますので、加算の対象に追加することに異論はありません。
 次に、訪問回数が多い医療機関については、資料の17ページを見てみますと、手間のかかる往診や、看取りの実績が相対的には少なく、効率的な訪問診療を実施していることが伺えます。
 訪問専門の医療機関と同様に、厳格な要件を定め、それを満たせない場合は、在宅療養支援の役割を果たしていないと判断すべきと考えます。
 次に、頻回の訪問診療を実施している医療機関については、資料の18ページ、19ページを見てみますと、訪問回数が多い認知症や高血圧の患者を診療している実態が伺えます。
 ただ、そもそもこうした疾患に頻回な訪問診療が本当に必要なのか疑問を感じます。本来、訪問看護と連携するなど、地域包括ケアシステムとして対応すべきであり、疾患の特性を踏まえて、厳格に訪問診療の回数を管理することも必要だと考えます。
 次に、在宅医療における24時間の医療提供体制の確保については、地域連携の枠組みが重要だと考えております。
 25ページに紹介されておりますように、ICTの活用等により、緊急時の対応を含めた強いネットワークで24時間体制を構築する観点で、在宅療養移行加算の施設基準を見直すことには、検討の余地があります。
 続きまして、訪問看護について、64ページの論点に沿ってコメントをいたします。
 退院当日の複数回の訪問看護については、前回の議論でお願いした分析を39ページ以降にお示しいただき、ありがとうございます。
 データを見てみますと、末期の悪性腫瘍が多いことや、病状の悪化や医療処置が行われていることなど、複数回の訪問が必要な事情は理解できました。
 なるべく1回の訪問で対応する工夫を行いつつ、必要な場合の評価を検討することには、異論はございません。
 次に、集合住宅等における効率的な訪問看護について、46ページ以降を見てみますと、同一建物の居住者が7割以上の事業所では、営利法人が約9割を占めており、また、機能強化型を届け出る意向は約9割がなく、1回当たりの訪問時間は相対的に短い傾向にございます。
 効率的に頻回な訪問看護を提供している実態が伺えますので、同一建物居住者の割合が高い訪問看護ステーションについては、訪問看護療養費を適正化すべきです。
 最後に、介護保険との差異については、身体拘束の原則禁止をはじめとして、この同時改定のタイミングであるからこそ、取扱いをそろえる方向で、ぜひ進めていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御意見、御質問いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、先ほど長島委員からの御提案もございましたので、木澤専門委員からコメントをお願いいたします。
〇木澤専門委員
 ありがとうございます。
 医療ニーズの高い利用者の退院支援についてですが、退院日当日に複数回訪問看護を実施している利用者の方は、別表第7及び第8に該当する方、特に末期悪性腫瘍等の方が多い状況です。
 最期の時間を御自宅で過ごすために退院される場合も多く、退院日当日に一度訪問した後に状態が悪化し、主治医からの追加指示のもと、疼痛管理などの医療処置が必要になることや、そのような状況に不安を感じている御家族への丁寧な説明や技術的指導なども必要になります。
 医療ニーズの高い利用者の退院支援として、このような実態も踏まえ、安心して在宅療養を開始できるよう、合計90分を超える複数回の訪問看護についても、適切な評価が必要と考えます。
 集合住宅等における効率的な訪問看護等についてです。
 特定施設入居者生活介護またはサービス付き高齢者住宅が、同一敷地内または隣接している状況等においては、移動の点において効率的に実施されることから、全利用者に占める同一建物等居住者の割合が極めて高い一部の訪問看護ステーションに対する評価の在り方を、移動のコストの観点から検討することが必要であろうと考えております。
 ただし、どのような場にお住まいになっていても訪問看護の必要性があれば、医師の指示のもと、しっかりと対応していくことが、地域での療養を支えることになりますので、どのような評価方法が適切かは十分に御検討いただきたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。
 江澤委員、お願いいたします。
○江澤委員
 1点だけ申し上げます。19ページに訪問診療の算定回数が多い主傷病名が出ておりますけれども、これは、長島委員も申しましたとおり、あくまでも主病名であって、例えば、こういった方に気管支肺炎とか、いろいろな感染症とか脱水が起きたときに、頻回に点滴が一時的に必要になるとか、そういう状況がありますし、高齢者はマルチモビディティと言いまして、複数の疾患を持っているのが普通でありますので、これは、たまたま主病名として出ているものだと理解しておりますので、1点だけ申し上げたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、ほかに特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「入院(その7)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、入院(その7)、テーマといたしましては「入退院支援・栄養管理体制」につきまして、中医協資料総-2を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 スライド2につきまして、こちらに本日の目次をお示ししてございます。
 下に点線で枠囲みをしてございますけれども、これまでの御議論の中では、個別テーマの中で入退院支援につきまして、既に御議論いただいた内容がございますが、本日は、入退院支援という入院に係る横断的な内容といたしまして、御説明をさせていただくものでございます。
 スライド3、そして4、5、6、7というところでございますけれども、これは、入退院支援の概要、また、報酬の変遷、また、届出の状況などをお示ししているものでございます。
 次に、8ページ目まで進ませていただきます。
 スライド8からスライド10でございますけれども、これも過去にお示ししたものでございますけれども、入院料別に対象者の退院困難な要因ですとか、退院支援の積極的な取組や、促進等を困難にしている事項、そして、退院を困難にしている事項ということをまとめているところでございます。
 10ページでございますけれども、退院を困難にしている理由といたしまして、例えば、地域の中で看取りを行える介護施設が少ないといった理由なども挙げられているところでございました。
 次に、スライド11から13でございます。これは、分科会や同時改定に向けた意見交換会における主な意見を御紹介するものでございます。
 次に、スライド14からでございますけれども「入退院支援における関係機関との連携の強化について」でございます。
 まず、2-2-1といたしまして「退院時における介護支援専門員等との情報共有について」でございます。
 15ページ目には、在宅医療介護連携推進事業の概要をお示ししてございます。これは、介護保険法に基づく老健局の事業でございますけれども、こういった市町村による事業がありますということをお示ししてございまして、16ページ目には、在宅医療と介護の連携のイメージという図をお示ししてございます。
 先ほどの在宅の中でお示ししいたしました4つの項目が、ここにも取り上げられてございまして「日常の療養支援」「入退院支援」「急変時の対応」「看取り」、こういった4つのテーマが重要であるとされているところでございます。
 17ページ目が「入退院支援の実施状況」ということでございます。
 こちらは、アンケート結果ということでございますけれども、4つの場面を意識した取組のうち入退院支援に取り組んでいる、または今後取り組む予定であると回答した市町村におきまして、実施している取組として最も多いものが、医療機関との連携によります入退支援の実施でありましたということでございます。
 ほかにも、入退院時連携シートの作成、入退院時調整ルールの策定ということもされているところでございます。
 スライド18から19ページは、生活に配慮した医療を提供するための入退院支援のイメージをまとめたものでございます。
 スライド20以降でございます。20、21、22、23でございますが、入退院に当たりまして、医療機関と、それから介護支援専門員等との情報連携に関しまして、現在あります様々な報酬の項目及びその様式、こういったものをお示しするものでございます。
 次に、入退院に伴う医療機関と介護支援専門員等との情報共有につきましては、同時改定意見交換会におきましても様々御意見をいただいてございます。
 こちらは、DXの観点からも様式や項目の統一化が必要といった御指摘をいただいておりますことから、24ページ、25ページでございますけれども、こちらは調査研究事業として行われているものも御紹介しておりまして、それぞれ様式の見直しについても様々検討が進められているということでございます。
 スライド26が、2-2-2といたしまして「入退支援における連携機関について」でございます。
 27ページにつきましては、入院料別の入院患者さんの特徴ということをお示ししてございます。
 次、28ページでございますが、こちらは入退院支援加算の施設基準で求める連携機関の施設数の内訳について、お示ししてございます。
 入院料別に大きな差はないところでございますけれども、いずれの入院料の場合も、介護保険サービス事業所としての連携が多いということでございました。
 次に、スライド29でございます。急性期病棟における退院後に必要な支援を示してございます。
 退院後に必要な支援につきまして、約2割の患者さんでは、医療処置や訪問診療は必要とされている。また、退院に向けた目標・課題といたしましては、約1割の患者さんでは、転院先の医療機関の確保といったものが挙げられていたところでございます。
 次に、スライド30でございます。こちらは加算届出施設における連携機関の内訳をお示ししてございます。
 急性期一般病棟入院料の病棟を有し、入退院支援加算1を届け出ている医療機関でありましても、連携する病院・診療所がいずれもないといった施設もあったところでございます。
 ページは進みまして、32でございますけれども、こちらは令和4年度の診療報酬改定における入退院支援の見直しの概要をお示ししてございます。
 連携機関との面会ということにつきましては、リアルタイムでの画像を介したコミュニケーション可能な機器を用いること、ICTを用いた面会ということでございますけれども、これも可能としたところでございます。
 そして33は、連携機関の中でICTを用いた面会の実施状況ということを示しております。
 次に、35ページ以降でございます。
 「入退院支援における生活に配慮した支援の強化について」というテーマでございます。
 スライド36は「病棟における多職種連携の取組状況」ということを示してございます。
 各種の計画策定につきまして、主に各専門職種が実施し、スクリーニングや定期的な評価は各専門職または看護職員が主に実施するとともに、複数の職種が関与して取り組んでいるということを、お示しする結果となっているかと承知をしてございます。
 37ページは、多職種の連携によりまして取り組まれている、入院中の療養支援に関する主な評価をまとめたものでございます。
 スライド38から41ページでございますけれども、こちらはリハビリテーション、栄養管理、口腔管理に関する医療と介護の連携のイメージや、それぞれの評価は、どのようなものがあるかということを、おまとめしてございます。
 次に、スライド42でございます。こちらは、口腔衛生管理の有効性に関するデータでございます。
 口腔衛生管理を受けているが、肺炎の発症が少ないという結果も示されていること。
 スライド43でございます。入退院支援加算1、2で求める支援のプロセスにつきまして、留意事項通知を抜粋してございます。
 誰が、いつまで、何をすべきというプロセス自体は規定されておりますけれども、退院支援計画に含むべき具体的な視点ということが明記されていないといったところも指摘されているところでございます。
 次、45ページ以降でございますけれども、入院前からの支援の強化でございます。
 46ページに入院時支援加算ということで、こちらの加算の概要を示してございます。
 こちらは、算定対象といたしまして、自宅等から入院する予定入院患者さんであること、そして②といたしましては、入退院支援加算を算定する患者であることといった要件が課されているところでございます。
 次、47ページは、その支援のイメージということ。
 48ページ目が、この加算の届出状況でございます。
 49ページ目は、入院時支援加算の届出別の平均在院日数の分布を示してございます。
 いずれの入院料におきましても、入院時支援加算を届け出ている施設では、平均在院日数が短くなっているということを示してございます。
 スライド50は、入院時の支援加算を算定した患者さんにおける、入院前に実施した事項を示してございます。
 他の項目と比べまして、褥瘡に関する危険因子の評価や、栄養状態の評価を入院前に実施している割合が低くなっているということでございました。
 それでは、次に進ませていただきまして、スライド55以降でございますけれども、退院直後の継続支援についてでございます。
 56から57でございますけれども、こちらは慢性心不全の患者さんに求められる疾病管理ということを例としてお示ししてございますが、ガイドラインでお示しされている内容をまとめてございます。
 退院後早期に症状をモニタリングするといったことや、教育を強化することなどによりまして、再入院の回避やQOLの改善に、それが有効であったということが示されてございます。
 スライド58は、慢性心不全の患者さんに対しまして、ガイドラインに基づきます退院直後の集中的な療養支援を行いますと、セルフケア行動が有意に改善することや、セルフケア行動が維持されると再入院率が低くなるといったデータを示してございます。
 スライド59でございます。在宅療養指導に関する評価であります、在宅療養指導料の概要、また、その算定回数を示してございます。
 それでは、入退院支援に係る論点でございます。課題につきましては、60、61でございますけれども、62ページに論点として括弧を4つまとめてございます。
 「入退院支援における関係機関との連携強化について」ということでございます。
 ここでは、入院時と退院時に医療機関とケアマネジャーさん等との間で、情報提供する際の様式を見直すことについて、あるいは、こちらは介護サービス事業所との連携だけではなくて、転院調整も含めた病院、診療所との連携も求められることから、介護サービス事業所ではなくて病院診療所との連携を強化する、こういったことを論点として掲げさせていただいてございます。
 2つ目の括弧は「入退院支援における生活に配慮した支援の強化」ということでございます。
 これは、機能の低下の状況等を見極めて、退院支援計画の内容に、リハ、栄養、口腔を含む生活の視点を含めることについて、どのように考えるか。
 3つ目の括弧「入院前からの支援の強化」でございますけれども、在院日数が短いという結果もございますので、入院前から支援をより充実・推進するために、この評価について、どのように考えるか。
 最後に「退院直後の継続支援について」ということでございますけれども、退院後の集中的な療養支援でよい結果が出ているということから、在宅療養指導料の対象に、退院直後の慢性心不全患者というものを追加しまして、ガイドラインに基づく支援を評価することについて、どのように考えるかという論点とさせていただいてございます。
 それでは、2つ目の項目、栄養管理でございます。
 63ページ目以降でございますけれども、こちらは日付としましては、12月1日にリハビリテーション、栄養、口腔について御議論いただいたところでございますが、今回は、全ての入院料に係る横断的事項として議題とさせていただいてございます。
 64ページは、総会等における主な意見。
 65ページ目、66ページ目が、栄養管理に関する評価の主な変遷と概要でございます。
 栄養に関する評価は、着実に増えてきているということがお示しできているかと思います。
 67ページでございますけれども、こちらは入院基本料の通則として位置づけられております、栄養管理体制の基準でございます。
 ①から⑦までございますけれども、①が、医療機関に常勤の管理栄養士1名以上を配置すること。
 ②が、多職種が共同して栄養管理を行う体制を整備するなど。
 ③が、入院時に患者の栄養状態を医師、看護師、管理栄養士が共同して確認することなどが示されているところでございます。
 スライド68、69でございます。こちらは入院時の栄養スクリーニングと個別的な栄養管理による効果が報告されている一方で、入院時の栄養スクリーニングを全患者に実施していると回答をした病院が8割であったということを示してございます。
 70ページであります。退院後の生活を見据えた栄養管理手順を作成し、栄養・食生活の課題に対します、退院支援を併せて行っている例というものをお示ししております。
 スライド71、72でございます。これは低栄養の世界的診断基準であるGLIM基準とDPCデータで把握可能な栄養関連項目について、お示ししているものでございます。
 73ページに課題と論点をまとめさせていただいてございます。
 論点といたしまして、退院後の生活を見据え、入院患者の栄養管理体制の充実を図る観点から、標準的な低栄養の基準やDPCデータ等も活用しつつ、退院時も含めた定期的な栄養状態の評価を推進することについて、どのように考えるかとさせていただいております。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 最初に、62ページの、入退院支援の論点についてコメントします。
 まず「入退院支援における関係機関との連携の強化について」です。
 介護支援専門員によるケアマネジメントに当たっては、医療の情報や医師の意見等を適切に生かしていただくことが必要です。
 また、今後、医療DXが進化し、より効率的に情報提供が行えるようにするためには、情報提供で用いられる様式や項目は、医療現場の実態も踏まえながら、現場の負担が増えないように工夫しつつ、統一化することを検討すべきと考えます。
 2つ目の○については、34ページにあるように、コロナ禍において、急性期病棟からの定員調整に苦労したことなども踏まえれば、急性期病棟において病院、診療所との連携をあらかじめ整えておく必要性は理解できるところです。
 ただ、29ページにもあるとおり、急性期病棟において、定員先の医療機関の確保が課題となったケースは1割程度であり、一律に要件を強化することは必ずしも適切ではなく、こういった実態を踏まえつつ、議論することが必要です。
 なお、33ページでは、連携医療機関との面会において、ICTの活用が低調であることが示されておりますので、今後、ICTがさらに活用されるためには、環境整備や、事例の紹介など、何らかの支援も必要ではないでしょうか。
 次に「入退院支援における生活に配慮した支援の強化について」です。
 退院支援計画に記載する内容に、生活の視点を含めることは、意義のある取組であると思います。
 その一方で、37ページにまとめられているとおり、重点的な支援が必要な患者さんに対する指導管理等は、別の加算で評価されておりますため、入退院支援加算で求める記載内容については、一律に記載内容を増やすのではなく、そうした重点的な指導内容と重複しないように、急性期の医療機関は、高度専門的な医療を提供することに、効率化、集中できるよう、整合性を図るべきと思います。
 また、この後の74ページの論点で提案されている、退院後の生活も見据えた栄養管理体制の在り方も含めて、全体としての絵姿も考えながら検討を進めるべきだと考えます。
 「入院前からの支援の強化について」です。
 50ページでは、入院時支援加算を算定する際に実施すべき項目の実施率が示されています。
 加算1は、全てを実施し、加算2では、①、②、⑧が必須とされておりますが、必須とされている項目以外であっても、85%程度実施されていることが示されています。この結果をどう見るかですが、現在は必須でない褥瘡に関する危険因子の評価や、栄養状態の評価といった項目を必須化して、既に加算を算定している医療機関に対して、さらなる取組を求めるという考え方もあります。
 しかし、48ページで、そもそも入院時退院支援、入院時支援加算を届出することができない医療機関があることが示されております。
 現状出ている効果を踏まえれば、しっかりとした底上げを行っていく段階であり、こうした医療機関も入院時支援加算を算定できるように、どのようにしていくのか、その観点から対応することのほうが、項目の必須化よりも重要ではないかと考えます。
 加えて、質の高い入退院支援をより一層促進するという意味では、加算1をより評価することも考えられるのではないかと思います。
 「退院直後の継続支援について」です。
 慢性心不全の患者さんに対して、退院後1か月間の集中的な療養支援を行うことが有効であることは、論をまたないと考えます。
 実際に、慢性心不全の患者さんの経過では、入退院を繰り返すことが多く、どのように再入院率を減少させるのかといった視点で、多くの介入がなされている実態があります。
 総論として、適切な介入が求められていることは理解しますが、実際に、かなり専門性の高い支援や、標準化された支援を実施しないと効果が見られないこともあるかと思いますので、そういった実態も踏まえつつ、必要な患者さんについて検討していくことが必要と思います。
 次に、73ページの栄養管理体制の論点についてコメントいたします。
 退院時も含めた定期的な栄養状態の評価を推進することの重要性は、理解するところです。
 ただ、それを入院基本料の施設基準としても求めるということであれば、入院料の診療報酬上の評価をさらに引き上げるべきではないかと考えます。
 また、現行の施設基準でも、例えば、67ページの⑥にあるように、栄養状態を定期的に評価し、必要に応じて栄養管理計画を見直すことが求められておりますので、こうした取組に加え、さらに、どの程度のことを求めるのかといったことを、先ほど述べました入退院支援加算等における栄養状態の評価との関係、すなわち、基本料で求められている取組と、加算で求める取組が重複しないかどうかといった点も整理しながら、検討すべきだと思います。
 加えて、退院後の生活を見据え、入院患者の栄養管理体制の充実を図るといいましても、入院料によって、患者さんの状態や在院日数などが異なるため、医療機関の状況に応じた検討が必要だと考えます。
 さらに、今回GLIM基準の活用を検討するということであれば、その前提として、現場においてGLIM基準がどの程度普及しているのかを示すデータがあれば、示していただきたいと思います。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 最後の点、GLIM基準ですけれども、事務局、何か情報はお持ちでしょうか、お願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 手元に、今、そのデータはございませんので、また用意をさせていただきまして、この範囲でお示ししたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、ほかに、御質問等ございますでしょうか。
 それでは、林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 スライド35ページからの入退院支援における生活に配慮した支援の強化につきまして、歯科の立場からコメントさせていただきます。
 スライド42ページには、歯科における口腔衛生管理の有効性が示されておりますが、介護に移行する前の入退院時に口腔のスクリーニングを行い、必要な歯科医療の提供や口腔管理をより早期からリハビリテーションや栄養管理とともに実施し、退院後の生活につなげていくことは、本改定において重要な課題と考えております。
 したがって、論点、入退院支援における生活に配慮した支援の強化につきまして、そこに記載されている入退院支援計画の内容に、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理等を含む退院に向けた生活の視点を含めることは、ぜひとも進めていただきたいと思っております。
 これまでも発言してまいりましたが、歯科がある病院が少ない中で、リハビリテーション、栄養管理、口腔管理の一体的な取組を進めていくためには、病院と地域の歯科診療所との連携が重要であると考えておりますので、ぜひとも推進していただく要望をいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 1点だけ質問をさせていただきたいと思います。
 入退院支援の点で、62ページの論点の中で、病院とケアマネジャーの連携ツールの見直しということがあるかと思います。
 これについては、もちろん反対ではないのですが、24ページに示されている新しい標準様式の案ということですが、これは、それぞれの地域あるいは病院間で、既に行われている連携方式があると思います。それについて、ただこういう項目を足してほしいという標準様式として、見直しというのは非常に有効だと思いますけれども、これを画一化して、これしか使ってはいけないとすると、現場とそごが生じるのではないかと思いますけれども、この様式の扱い方をどのように考えていらっしゃるか、事務局にお伺いしたいと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ただいま、御質問のありました24ページの様式についてですが、事務局いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 24ページ、25ページに係るお尋ねでございます。
 まず、24ページでございますが、先ほど説明を省かせていただきましたけれども、こちらは、令和5年度の、いわゆる老健局の老健事業の調査研究事業でございます。
 また、25ページの下の注にございます、こちらは様式例ということでお示しをしているものでございます。我々としては、現場の取組というものは多様であるということも承知しておりまして、あくまで例と。
 ただ、その中でも、やはり標準的なものをきちんとお示しすることが大事だということで、今、検討が進められているものと承知をしてございます。
○池端委員
 ありがとうございました。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 入退院支援加算のところに関して、1点だけ意見を述べさせていただきます。
 1つ目の連携の強化についての論点の2つ目で、病院、診療所との連携を強化していくということに関しては、異論はございません。
 ただ、病院、診療所の連携を強化する形で要件を見直す場合に、前回の改定で施設数が20から25に増えたということがございます。
 病院、診療所を加えて、さらに数を増やすという形になりますと、25になった段階でも、都市部ですと多くの事業所があり何とでも連携ができるのですが、地方の方ですと、20とか25、そもそも事業所がないという医療機関の結構悲痛な声を聞いております。
 ですので、病院、診療所との連携を強化していくことはいいのですが、その際の施設数の要件に関しましては、ぜひ慎重に御検討をいただけたらと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 58ページの慢性心不全患者の退院直後の療養支援なのですが、私もこれは非常に重要だと思っておりました。心不全患者の4分の1の方が退院後、また再入院をすると言われています。入院中は、常に医療者がいる中で医療が行われていて、退院後は、基本的に自己での管理となります。
 そうした中、退院後、在宅での療養の中で、セルフケア行動をいかにしてできるようになるかということ。
 それから、その後もそのことが継続していくことが重要で、在宅での医療を担当する方と連携した継続的な支援が必要だと思っております。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、まず、62ページの論点に沿って、入退院支援についてコメントいたします。
 まず、1つ目の関係機関との連携の強化についてでございますが、入退院時における介護との情報共有のために、様式を見直し、医療と介護で整合性のある内容にしていくことは非常に重要なことだと考えます。
 さらに、医療DXの進展や業務の効率化を推進する観点からも、できるだけ全国共通のフォーマットに統一していくことも必要です。
 急性期病棟について、資料の30ページを見てみますと、入退院支援加算1に求められる25施設以上との連携の要件を満たしていない医療機関が存在しております。
 これ自体は、今、太田委員からも御発言がありましたけれども、質の高い入退院支援を推進するという加算の趣旨を踏まえますと、急性期病棟を有する医療機関では、連携を強化すべきだと考えます。
 また、急性期の医療機関においても、介護サービス事業所との連携は必要です。連携施設数の要件を単純に緩和するということは避けるべきと考えております。
 次の項目であります、生活に配慮した支援の強化については、論点に示された方向で異論はございません。
 続きまして、入院前からの支援の強化についてでございますが、資料の49ページを見てみますと、いずれの入院料でも加算ありの施設で平均在院日数が短いことや、褥瘡に関する危険因子の評価、栄養状態の評価の実施を高める必要性を踏まえますと、入院時支援加算1と2を一本化することもあり得るのではないかと考えます。
 次に、退院直後の継続支援についてでございますが、資料の56ページのガイドライン、さらには58ページに示されているエビデンス等を踏まえますと、在宅療養指導料の対象に慢性心不全を含めることも想定されますが、真に効果がある対象者や対象期間に限定すべきと考えております。
 次に、73ページにございます、栄養管理体制の論点についてでございますが、入院基本料等の通則において、退院時の栄養状態の確認を追加すべきと考えます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 そのほか、いかがでしょうか。
 高町委員、お願いします。
○高町委員
 ありがとうございます。
 生活に配慮した支援を強化するということで、入院前の患者の生活利益を共有したり、退院に向けてリハビリを行ったり、退院後の食事栄養指導を行うなど、切れ目のない支援を行うための連携を行っていくという視点は、大変重要だと思います。
 こうした連携が、日々の取組として当たり前のようになっていくことを目指して、今回の改定では、着実な前進につながるようにしていただきたいと思います。
 また、入退院におきましては、患者自身も意識を高めていく必要があると思っておりますので、どのようなことが強化されるのか、全体像を分かりやすく示していくことも必要ではないかと考えておりますので、今後ともよろしくお願いします。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 先ほど、松本委員から入院時支援加算1への一本化ということも考えられるのではないかという御指摘がございましたが、私が先ほど申し上げたとおり、そもそも入院時支援加算を届け出ることができない医療機関があるということを踏まえて、まずは、しっかりと底上げを行っていくということのほうが、より重要だと考えておりますので、当然一本化はすべきではないと考えます。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。そのほか御質問がないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「入院(その8)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、入院(その8)につきまして、テーマといたしましては「高齢者の救急患者等に対応する入院医療について」でございます。こちらにつきまして、総-3を用いまして御説明をさせていただきます。
 スライド2に目次がございます。
 ページを進めていただきます。3ページからでございますけれども、日本の人口の推移、また、4ページに関しましては、2040年までの年齢階層別の人口の増加率の推移を示してございます。
 5ページ目、6ページ目に関しましては、10年前と現在の救急搬送人員の比較、また、疾病分類搬送人員の比較を示しているところでございます。
 こちらからは、高齢者の人口増加に伴いまして、高齢者の救急搬送人数が増加していること、中でも軽症、中等症が増加していることを示してございます。
 ページ7でございます。
 同時報酬改善に向けた意見交換会でいただきました主な意見でございます。
 赤囲みしてございますけれども、急性期疾病人に対応いたします医療機関といたしましては、医療機関の機能分化や地域包括ケア病棟等を有する中小病院が主体となるべきといった御意見をいただいてございます。
 8ページでございますけれども、こちらは、中医協総会等でいただいた主な御意見でございますけれども、一番下の○でございますが、急性期医療における機能分化の在り方については、地域包括ケア病棟など13対1の看護配置を施設基準とする病棟が、現状では、高齢者の救急搬送を十分に受入れることが難しい場合があることを踏まえつつ、どのような病棟による急性期の高齢者等の受入れを推進すべきかについて検討した上で、地域一般病棟や地域包括ケア病棟など急性期一般入院料1以外の病棟のうち、高齢者救急への対応や、高齢者のケアに必要な体制を備えた病棟を類型化して評価することが必要ではないかという指摘がございました。
 次の2つ目の項目でございます。スライド9以降でございます。
 「現状の入院医療における高齢者の救急患者への対応について」「① 高齢者の救急患者等の受入れについて」でございます。
 スライド10、急性期病床における年齢階級別の出来高実績の点数でございます。65歳以上の高齢者におきまして、年齢が高いほど1入院当たり出来高実績点数が高い一方で、1日当たり出来高点数、実績点数は低いという傾向にございました。
 11ページ、12ページは、高齢者に多い疾患におけます、入院料間の医療資源投入の比較でございます。
 75歳以上の患者に多い疾患のうち、一部誤嚥性肺炎による感染症等でございますが、これらは急性期一般入院料1を算定する場合と、地域一般入院料を算定する場合とで、医療資源投入量について、大きな差が見られなかったことを示してございます。
 13ページ、高齢者に多い疾患における、急性救急搬送により入院される患者さんの入院先の割合でございます。
 誤嚥性肺炎や尿路感染症を含め、急性期一般入院料1や治療室に入院する割合が高くなっていること。
 14ページ目は、地域包括ケア病棟へ入棟した患者の入棟経路を示してございます。
 地域包括ケア病棟に入棟としている患者さんのうち、救急搬送後、他の病棟を経ずに地域包括ケア病棟に直接入棟した患者さんの割合、右側の濃い茶色でございますけれども、5.7%というところでお示しをしてございます。
 15ページ、地域包括ケア病棟における病棟・病室ごとの救急搬送後直接入棟の患者の割合をDPCデータで示したものでございます。
 ばらつきがあるということでございますけれども、多くの病棟・病室で5%未満でございました。
 16ページに関しましては、入院する患者における夜間休日救急搬送医学管理料の算定状況でございます。
 次、17ページ以降が2の「② リハビリテーション・栄養・口腔について」でございます。
 18ページには、安静臥床の弊害について。
 19ページ、誤嚥性肺炎に対するリハビリテーション有効性を示したものでございます。
 早期リハビリテーションを実施する場合におきまして、1日2単位以上のリハビリテーションを提供することが、死亡率の改善、自宅退院の割合の向上、在院日数の短縮につながるといったことがお示しされております。
 20ページ、入院料別のリハビリテーション1日平均提供体制でございます。
 地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟は、急性期病棟に比較しまして、より多くのリハビリテーションを提供していることをお示ししております。
 21ページ目、22ページ目は、急性期一般入院料1、22ページ目が2から6でございますけれども、リハビリテーションの実施率の分布でございます。
 23ページ目、24ページ目は、退院時にADLが低下した患者さんの割合の分布を示してございます。
 スライド25は、病床当たりのリハビリ専門職の人数の分布でございます。地域包括ケア病棟を届け出ている医療機関のほうが、急性期入院料を届け出ている医療機関よりも、リハビリテーション専門職の数が多いといった傾向が示されてございます。
 スライド26、27は、リハビリ専門職の配置とADL改善の関係でございます。病床数当たりのリハビリ専門職の配置が多いほど、ADLは改善する傾向があるということでございます。
 28ページは、急性期における休日リハビリテーションについてでございます。休日リハビリテーションの有効性等のエビデンスを示してございます。
 29ページは、急性期の2から6の入院料の届出を行っている医療施設における療法士の勤務状況でございまして、ばらつきが多いということを示しております。
 30ページ目は、入院時の高齢患者の栄養状態でございます。入院時に高齢患者さんの42%に低栄養リスクが指摘されること。高齢入院患者さんの栄養状態の不良と、それから生命予後の不良には、関連が見られるということを示してございます。
 31ページ、入院時の栄養スクリーニングと個別的な栄養管理による効果でございます。栄養管理により、負の臨床アウトカムや、全死亡率が低下したというデータを示してございます。
 32ページは、GLIM基準についてでございます。
 33ページ、管理栄養士の病棟配置による効果についてでございまして、管理栄養士が病棟に配置されているほうが、入院後、管理栄養士が患者を訪問するまでの日数が短く、入院期間の体重減少量及び体重減少率が抑制されているという、そういうエビデンスを示したものでございます。
 34ページは、入院料別の管理栄養士の病棟配置の状況。
 35ページは、誤嚥性肺炎患者さんに対する多職種連携について。
 36ページは、病棟における多職種連携の取組状況でございます。
 栄養、離床・リハビリテーション、口腔に関する計画作成におきまして、各職種の関わりがあまり多くないといったところでございます。赤で囲ったハイライトのところでございます。
 そして、37ページ以降が入退院支援及び在宅復帰でございますけれども、入退支援加算に関しましては、まさに先ほどの入院のところで御議論いただきましたので、この説明に関しましては、しばらく割愛をさせていただきたいと思います。
 次に、43ページ以降に進ませていただきたいと思います。「高齢者の救急患者に係る入院医療の評価等について」でございます。
 44ページは、病床の機能分化・連携について取りまとめた文書でございまして、少し古いものでございますけれども、平成25年の社会保障制度改革国民会議報告書の抜粋となってございます。
 次に、45ページ目から47ページ目でございます。
 こちらは、病床の機能分化・連携の仕組みでございます。地域医療構想の資料を示してございます。
 48ページ、診療報酬における機能に応じた病床の分類でございます。
 49ページ、入院医療の評価体系と期待される機能につきまして、連携に着目してまとめたものでございます。
 50ページでございますけれども、こちらは診療報酬上の区分に応じまして、平成29年7月時点の各入院料届出病床数と令和4年7月時点の届出病床数を比較したものでございます。
 51ページでございますけれども、入院料別の病床数の推移でございまして、急性期一般入院料1が最も多く、平成26年以降減少傾向でございますけれども、令和3年から微増したこと。急性期一般入院料2から6、地域一般1から3は減少傾向にあることを示してございます。
 次に進みまして、52ページは、病床稼働率の推移でございます。
 令和2年から令和4年にかけまして、稼働率が全体的に減少していることを示してございます。
 53ページ、入院料別の病棟の看護職員、看護補助者の数を示しており、54ページには、地域包括ケア病棟入院料の届出病床数の推移を示してございます。増加傾向でございますけれども、その増加傾向は、近年は緩やかになっているというものでございます。
 55ページ、急性期一般病棟、地域包括ケア病棟の施設基準の概要。
 56ページ目では、高齢者の救急患者に対応する入院医療のイメージを示してございます。
 上の四角で、これまでいただいた主な指摘や入院料の現状を記載してございまして、下のイメージでございますが、ここに示しております様々な機能を包括的に提供する入院料のイメージとしてお示してございます。
 それでは、課題と論点でございます。
 論点につきまして、60ページとなりますけれども「高齢者の救急患者等に対応する入院医療について」ということで、2つ○をお示ししてございます。
 高齢者の救急患者等が増加しておりまして、今後も高齢者の増加が見込まれる中、入院医療の在り方について、どのように考えるか。
 その際、地域において、必要な人員体制等により救急患者等を受け入れる体制を整え、リハビリ、栄養管理、入退院支援、在宅復帰等の機能を包括的に担うことを評価することについて、どのように考えるか。
 以上のような論点とさせていただいてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 60ページの論点についてコメントします。
 11月7日に審議された入院(その2)の際に申し上げたとおり、今後、医療従事者の人材確保がより困難になることに加え、人口減少や高齢化率の上昇等を踏まえれば、大きなトレンドとして、高齢者の救急や、ケア、リハビリに必要な体制を整えた病棟を評価することを理解します。
 その体制をきちんと整えるために、現行の体制や診療報酬点数をうまく見直していくことが必要であり、累次の診療報酬改定において、中医協で支払側、診療側、両側の議論を尽くしながら様々な工夫をしてきたものと思います。
 医療現場は、常に患者さんへの医療を提供し続けておりますので、見直しを行う場合でも、うまい方法で各地域、各医療機関がそれぞれの状況に応じて、時間をかけて判断できるような制度設計にすることが重要であり、診療側としても知恵を出していきたいと考えております。
 私からは以上ですが、小塩会長におかれましては、看護協会の専門委員の発言の機会を御検討いただければ幸いです。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、太田委員、お願いいたします。
○太田委員
 ありがとうございます。
 私も60ページの論点について、意見いたします。
 高齢者救急患者が今後増加すること、特に都市部において、単身、独居、老々世帯の救急患者が今後ますます増加することは、今後の我が国の医療提供体制を考える上において、非常に大きな課題だと思っております。これに対応できる地域医療提供体制を整えていく必要があります。
 これは、病院、医療現場だけでなく、今後、医療DXの進展により、地域の医療情報の共有が進み、かかりつけ医機能を担う医療機関が、今後どこまでの対応が可能になるかなどにも関係するかと思います。様々な施策を組み合わせて対応していく必要があります。
 その上で、56ページに示されているような入院医療提供のイメージ図ですが、高齢者救急の受入れ、リハビリ、退院調整、在宅との連携などが、今後の地域の急性期医療にも求められていることに関しては、特に異論はありません。
 その上で、今回の論点ですが、入院医療提供体制において、高齢者の救急患者に対応できる、包括的に担うことを評価する新たな入院料を検討することに関しては、全面的に否定するものではありません。
 しかし、この包括評価を検討していくためには絶対に外せない論点がございます。過去の総会においても発言してきましたが、今までの中医協での議論では、医療資源投入量、すなわち、手術、処置など、侵襲的な医療をあまり必要としない患者の病棟ケアに関して、その病棟での人的資源投入量、すなわち、人手に関わるケアに関しての評価が非常に軽視されてきたのではないかと感じています。
 思い起こしていただきたいのですが、2022年初頭のコロナの第6波、いわゆるオミクロン株の最初の波において、多くの地域の基幹病院が中心であったコロナ重点医療機関に要介護高齢者のコロナ患者が入院され、現場の看護部が悲鳴を上げているということの報道がございました。
 その際、入院先のミスマッチが指摘されたわけですが、7対1よりもさらに加配されている病棟配置体制の看護師が悲鳴を上げたわけです。
 要介護で日々の日常生活上のケアのサポートが必要で、さらに、ある一定割合で認知症を合併する患者のケアには非常に多くのマンパワーが必要だということです。
 現在、重症度、医療・看護必要度が急性期一般入院料に直接結びついておりますが、入院料の設定において、これら介護を含む看護の手間が非常に高い患者層に、設定されている入院料がしっかり対応できる入院料体系になっていたのかに関して、中医協総会の議論に加わらせていただいた冒頭、発言をさせていただきました。
 現在の重症度、医療・看護必要度による入院料評価だけでは、患者のケアに必要なマンパワーを確保するコストが適切に評価されてこなかったのではないかという疑問です。
 今後、病棟、病院ごとの機能分化を進めていく必要がある中、どの機能の医療を担っても、そこで行われる入院医療を支えることができる入院診療報酬制度が必要だと思います。
 今回、今後必要となる高齢者救急対応のため、救急の受入れ、リハビリ、栄養、入退院支援、在宅復帰を包括的に評価する病棟を検討していくのであるなら、その病棟において、対応する患者のケアに必要となる人的配置を十分賄うことができる入院料の設定が必要だと思います。
 十分な人的配置を行うことができない入院料水準では、病院における持続的な医療提供を維持するためには、求められる患者層を受け入れながらケアの質を落として現場は対応するか、または受入れ患者として病棟が許容できるレベルの患者を選別するかしか、現場に選択肢はありません。どちらにしても、入院患者対応が不十分となります。
 今回、包括的な評価を検討するのであれば、まずは要件の設定及び点数の水準が適切であるということを確認させていただきたいと思います。
 また、救急の受入れに関してですが、これは病棟が担う機能ではなく、病院として行う機能ということが言えます。24時間対応、すなわち準夜帯及び深夜帯に救急受入れを行うためには、救急外来を担当する医師、看護師、検査技師、放射線技師など、多くの医療職種を勤務または宿直勤務させる必要があります。
 病棟入院料の評価だけでなく、それら高齢者救急を日勤のみならず、夜間も受入れる病院に関しては、それらの体制構築、維持に必要な診療報酬上の評価が必要であるということに関して、付け加えさせていただきます。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 今回テーマになっております高齢者の救急患者への対応につきましては、過去にも議論がありましたとおり、今年度の診療報酬改定において、非常に重要なテーマだと考えております。
 急性期病棟につきましては、一定数の高齢者が入院している実態がある中で、資料の21ページ、22ページ等を見ますと、高齢者へのリハビリの実施率にはばらつきがあり、また、23ページ、24ページ等を見てみますと、入院中のADL低下が一定程度見られております。
 そのため、これまで申し上げてきましたとおり、リハビリ機能を備えた地域包括ケア病棟で対応していただくことが望ましいと考えております。
 一方で、診療側から過去に御意見があったとおり、下り搬送を活用したとしても、救急の高齢者を地域包括ケア病棟だけでは受け止め切れず、急性期の病棟に入院する場面が想定されることも十分理解できます。
 さらには、30ページ以降にございます、入院中の高齢者の栄養管理が課題とされる中で、34ページを見てみますと、管理栄養士の配置が施設基準で求められている回復期リハビリ病棟入院料1以外では、管理栄養士の配置が少ないことが分かります。
 これについては、急性期病棟も地域ケア病棟も共通する課題かと思いますので、高齢者が入院した場合、早期のリハビリと栄養管理を一体的に提供できる体制の構築が必要だと考えております。
 こうした状況が、まさに56ページに整理されているとおり、現状では、急性期病棟にも地域包括ケア病棟にも課題があると指摘が出ておりますし、認識もしております。
 イメージ図で示されているとおり、高齢の救急患者には様々なアプローチが必要であり、こうした機能は、個々の加算等で評価するよりも、病棟の機能として位置づけたほうが、包括的な提供という観点ではよいのではないかと考えます。
 また、病床機能の分化と強化の観点では、10対1看護の急性期一般病棟入院料2から6の病棟が果たす役割を明確化することも重要になります。
 したがいまして、高齢者救急の受け皿として、10対1の急性期病棟を想定し、救急対応、早期リハビリ、栄養管理、退院支援、在宅復帰や介護と連携について、しっかりと機能を発揮してもらうことが必要だと考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、眞田委員、お願いいたします。
○眞田委員
 ありがとうございます。
 私も論点に関しまして、コメントをさせていただきたいと思います。
 今後の人口構造の変化、高齢者救急への対応の必要性等を踏まえれば、56ページに示されております、救急受入れ体制から、早期の在宅復帰、在宅医療や介護との連携まで、包括的に対応できる病棟を評価するという方向性については、十分理解できるものであります。
 仮に、こうした新しい類型を設ける場合には、必要な体制を整えることだけではなくて、救急患者の受入れ、あるいはリハの実施等について実績に基づいて評価する形を検討いただきたいというお願いをさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 私も56ページのイメージに示されていますように、入院医療を包括的に提供できる病棟をしっかりつくっていただきたいと思いました。
 特に、ここの枠囲みの2つ目の○のところにあるように、リハビリや栄養管理が十分できていない、ばらつきがあるというところ。また、3つ目の○にあるように、地域包括ケア病棟で緊急の受入れが、なかなか限界があるということを考えると、現状を踏まえますと、やはり急性期一般の入院料の2から6の病棟に、やはり足りない機能を付け加えていただいて、入院医療を包括的に提供できる病棟をしっかりとつくっていただきたいという感じでおりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 先ほど松本委員がおっしゃったように、しっかりと機能が発揮できるようにするということは、大変重要な視点だと私も思っております。
 ただ、一方、先ほど申しましたが、常に患者さんに医療を提供し続けている医療現場、これは医療現場としてもあれば、患者さんの視点としても、継続性ということも極めて重要なことですので、やはり適切でうまい方法を考えていくということに、診療側としても知恵を出していきたいと考えております。
 また、もし見直しを行うという場合でも、患者さんの視点から見ていただいても、継続性、安心感ということを念頭に置けば、関係者、医療機関が現実的に取り組める、そういううまい方法、すなわち、各地域、各医療機関がそれぞれの状況に応じて、例えば、人員の確保なども重要ですので、そこに必要となるような一定の時間をかけて判断できるような制度設計にすることも重要であります。
 診療側としてもしっかり考え、知恵を出しながら、支払側委員とも合意が得られるように議論を積み重ねていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も、今、長島委員等がおっしゃったこととかぶるかもしれませんが、コメントをさせていただきたいと思います。
 56ページの包括的に提供という、これまでの入院の、特に高齢者救急に対する入院における議論からすれば、私自身は、このポンチ絵を見た限り、非常に魅力的に感じることも、ただ、これが、今、太田委員もおっしゃったように、どういう点数設計になるかにもよりますので、しっかりした人員配置ができるような点数設計であれば、多分、自院の患者増見て、こういうところが我々にも必要な機能だなということがあれば、皆さん多分入っていける、そして、1号側、2号側が思い描くような高齢者救急のイメージが、さらに広がっていくのではないかと思うので、ぜひそういう魅力的な包括的提供の体制にしていただきたいと思うのです。
 1点質問なのですけれども、今、1号側の先生方からもお話がありましたように、想定されるのは、恐らく10対1の2から6ということなのだろうと思います。もし、そうであれば、ここには急性期医療全般と書いてありますけれども、そういうことであれば、一方で、急性期入院料1に関しては、これは、また前回の改定でもICUとかにリハビリテーションを超早期に入れる、あるいは管理栄養士を入れることによって、アウトカムが出たという程度のエビデンスが出ていますので、一方、急性期入院1についても、やはり栄養管理とか、早期のリハをやることは非常に重要だと思います。この辺を、2から6と1の整合性を保つ、あるいはそこに対する評価というのをどう考えるのか、もし、今、お考えがあったら、お聞かせいただければと思います。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員からの御質問ですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 今日御提案しておりますものを含めて、広い観点の御指摘と承ります。急性期は急性期、高度急性期で、それぞれ、例えば栄養に関しましても、これまで、るる資料を示し、御議論をいただいたところでございます。
 全体をどのように整合させるかという観点での御質問だったかとも思いますけれども、我々としては、そういった観点と、それから個々の入院料のつくり込みと両方大事だと思ってございまして、そこは全体像を示す中で、また、細かいところを示す中で整合的になるように、今後資料の出し方などを工夫させていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 先ほど、長島委員からの御提案もございましたので、ここで木澤専門委員から、御発言をお願いいたします。
○木澤専門委員
 ありがとうございます。
 高齢化が進む中で、病床の機能分化・連携をより一層進める観点からも、高齢者の救急患者への対応を行うために、必要な体制を整えた病棟を整理していくことは重要と考えております。
 56ページのイメージ図でお示しいただいたように、高齢者の救急患者に対応する入院医療では、昼夜を問わず、自宅等からの救急患者の受入れや、必要な医療処置の提供、そして早期退院に向けたリハビリや栄養管理、療養支援や意思決定支援の実施、介護を含めた地域との情報連携など、多職種が密に連携・協働しながら対応していくことが求められておりますので、それらの機能を包括的に評価することが必要です。
 例えば、夜間に高齢者の救急患者を受入れ、必要な医療処置を実施するとなれば、看護職員のうち、少なくとも1人は、しばし入院受入れにかかりきりとならざるを得ません。
 しかし、その間も病棟内の他の患者さんの観察や点滴管理等、必要な医療処置がございます。現状を申せば、地域包括ケア病棟など13対1の看護配置では、高齢者の救急搬送を十分に受け入れることが難しい状況にございます。
 56ページに示されているような必要な機能をしっかりと果たすためには、看護職員や看護補助者等の人員体制を夜間も含めて十分に整えていくことが重要です。
 また、53ページにも示されておりますとおり、現状においても、看護職員、看護補助者、リハビリ職など、様々な職員が各病棟で協働しながら、早期退院に向けた対応を実施しておりますので、高齢者の救急患者に対する入院医療を提供できる体制の構築につきましても、引き続き、多職種の連携が重要と考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、ほかには特に御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 それで、ここで休憩を差し挟みたいと思います。
(休  憩)
○小塩会長
 それでは、続きまして「歯科医療(その3)」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○小嶺歯科医療管理官
 歯科医療管理官でございます。
 資料総-4「歯科医療(その3)」を御覧ください。こちらに従って、御説明をさせていただきます。
 本日は、2ページの2から6の内容について、御議論いただきたいと思います。
 まず「1.歯科医療の現状」については、3ページ、4ページ目、歯科医療(その1)の議論における主な御意見をお示ししております。
 本日の議論に関連する部分を赤枠で囲っております。
 続きまして、5ページからは、かかりつけ歯科医機能に係る評価についてです。
 6ページは、2017年に日本歯科医師会から示されているかかりつけ歯科医に関する考え方をお示ししております。
 続きまして、9ページは、現在、歯科の診療報酬で評価をしている、かかりつけ歯科医機能についてお示しをしたものです。
 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所として、施設基準は、生涯を通じた口腔の管理に関する事項、それから、連携や地域活動に関する事項、医療安全・感染対策、そして職員体制と、4つの観点で評価を行っているところです。
 10ページは、歯科医師の視点でのかかりつけ歯科医の役割、
 11ページは、患者の視点でのかかりつけ歯科医に求める役割に関する調査の結果をお示ししています。
 最も多かったのは、いずれも既往歴や家族背景などの把握に関する内容であり、上位にあるものはいずれも同様の内容となっていました。
 12ページでは、現在、歯科医療機関に受診中の患者が、その歯科診療所を選んだ理由をお示ししています。
 かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所と、それ以外の診療所、いずれもその理由としては、かかりつけの歯科診療所だからというのが最も多く、ほぼ同じ割合となっていました。
 14ページに、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出医療機関数と受診患者の状況をお示ししています。
 現在、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の届出割合は、全歯科診療所の約17%となっており、右側にありますように、1年間に歯科医療機関を受診した患者全体の約28%が、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所を受診していました。
 15ページは、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の届出を行っていない理由をお示ししています。最も多いのは、過去1年間の歯科訪問診療の実績または依頼に関する項目でした。
 21ページには、各施設基準の届出状況をお示ししています。各施設基準について、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所と、それ以外の診療所の届出状況をお示ししております。いずれも、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のほうが、届出割合が高くなっております。
 なお、在宅医療の専門ではないことの施設基準である歯科訪問診療の注13に規定する基準は、届出状況、かかりつけ歯科医機能強化型診療所でも43.2%となっておりました。
 22ページは、歯科医師を対象とした調査における定期的な口腔管理の実施状況をお示ししています。
 各歯科診療所の来院患者のうち、定期的な管理を行う患者の割合が50%以上である診療所の割合が、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所では約29%、それ以外の診療所では約19%となっておりました。
 また、23ページでは、患者調査における歯科診療所への通院状況をお示ししています。
 通院期間を1年未満、1年から5年、5年以上の3群に分けておりますが、いずれもかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所のほうが、定期的に通院している患者の割合が高くなっておりました。
 27ページは、以前にもお示しをしておりますが、現在のかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準の要件の概要になっています。小児に関する要件が設定されていないということを、歯科医療(その1)のときにも挙げさせていただいたところです。
 29ページには、関係学会から示されている小児期の各ステージにおける小児歯科医療の課題や、かかりつけ歯科医師の必要性等をお示ししております。
 続きまして、31ページ、32ページは、現在、かかりつけ歯科医機能として評価を行っていない口腔機能管理に関する内容をお示ししております。
 こちらは、前回の歯科医療(その2)の議論の際に、これらの算定があまり進んでいないということをお示ししておりました。
 33ページ、こちらは、現在の施設基準に含まれているクラウン・ブリッジ維持管理料は、約98%の歯科医療機関で届出が行われております。
 34ページは、先ほどの21ページでかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所において届出割合が低かった歯科訪問診療料の注13に規定する基準に関する内容をお示ししております。
 最後、35ページに、ライフコースとかかりつけ歯科医機能の評価の見直しイメージをお示ししております。
 赤い点線の部分が、現在含まれていない内容であり、今後新たに、今回見直しを行うに当たって、追加してはどうかと考えている内容になります。
 続きまして、3番目「院内感染防止対策」について説明させていただきます。
 歯科医療機関における院内感染防止対策につきましては、40ページにございますように、基本診療料で評価をしてきたところです。
 41ページにありますように、令和4年度診療報酬改定では、新興感染症にも適切に対応できる体制を確保する観点から見直しを行ったところです。
 45ページは、歯科の外来診療の特性を踏まえまして、患者にとってより安全で安心できる環境の体制の整備として評価をしている、歯科外来診療環境体制加算についてお示しをしています。
 その届出医療機関数は、46ページにお示ししていますように、令和4年で、歯科診療所の約半数となっております。
 48ページは、この歯科外来診療環境体制加算の施設基準を、感染対策に関する事項と、医療安全に関する事項に分けてお示しをしております。
 このように、1つの施設基準の中に、感染対策と医療安全に関する内容両方が含まれているという状況になっております。
 49ページ、歯科診療所における医療安全に関する事項としまして、本年10月に、こちらにお示しをしているヒヤリハット事例収集等事業というのが開始をされました。
 続きまして、52ページからが、新型コロナウイルス感染症の患者に対する歯科治療の状況等をお示ししております。
 53ページ、54ページにありますように、一定数その治療が必要な患者さんがいたということで、実際に診療が行われていたという状況になっています。
 続きまして、55ページには、新型コロナウイルス感染症流行に伴う歯科診療に関する診療報酬上の臨時的な取扱いについてまとめております。
 現状の歯科の診療報酬においては、55ページの右側、現行の評価の、まず一番上のところですけれども、感染症の患者さんに対して歯科診療を行った場合の評価というのはなく、また、下の箱にあるような各種項目につきましても、感染症の患者さんというのは、現状では対象になっていないという状況になっております。
 続きまして、歯科疾患の重症化予防に関する内容について、御説明をさせていただきます。
 まず、59ページに、歯科疾患の重症化予防に関して、う蝕と歯周病、それぞれに分けて、現在の評価をお示ししております。
 61ページは、う蝕の重症化予防の評価であるフッ化物歯面塗布処置の診療報酬上の評価を示しています。
 フッ化物歯面塗布処置は、上の箱の①から③にあるように、対象者が3つに分かれていますが、その条件となる管理料や、歯科訪問診療の算定要件などは、それぞれ異なっているという状況です。
 また、エナメル質初期う蝕の管理については、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の場合は、フッ化物歯面塗布処置ではなくて、歯科疾患管理料の加算として、エナメル初期う蝕管理加算で評価をされています。
 63ページからは、今度は初期の根面う蝕、歯の根の部分にできる、う蝕について、その管理に関する内容をお示ししております。
 根面う蝕の管理については、65ページにありますように、昨年関係学会から、根面う蝕の診療ガイドラインが出され、そして初期の根面う蝕については、過剰に歯の切削、歯を削るのではなくて、セルフケアとプロフェッショナルケアによって管理をするということが提唱されております。
 続きまして、69ページから歯周病に関する重症化予防の管理の内容をお示ししております。
 歯周基本治療等を終了した後の歯周病の継続的な重症化予防のための管理の評価として、歯周ポケットが4mm未満の患者に対しては、69ページの真ん中の列にある歯周病重症化予防治療として管理が行われ、4mm以上の歯周ポケットがあるけれども、現状としては、一時的に症状が安定しているといった患者には、一番右側の歯周病安定期治療という形で、重症化予防の管理が行われております。
 71ページ、この歯周病というのは、その管理の状況であったり、患者の状態、セルフケアの状況等によって、その状態というのは変化しますので、歯周病安定期治療から歯周病重症化予防治療、またその逆といった形で、患者さんの状態が変わるということが一定数出てきます。そういった方たちが一定数いるということを、71ページのデータでお示しをしております。
 72ページから78ページは、それぞれの実施状況をお示ししております。
 79ページへ飛んでいただきまして、歯周病安定期治療についてですが、その算定の回数は、要件として基本的に3か月に1回算定できるといった取扱いになっておりますけれども、79ページの赤枠にあるように、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所またはそれ以外の場合は、1つの要件として全身的な疾患の状態によって、月1回の算定可能となっております。
 82ページを御覧いただきますと、一番下の箱の部分にございますように、糖尿病患者に対する歯周病安定期治療は、間隔を短くするということが推奨されております。
 続きまして、83ページからは、歯科衛生実地指導料に関する内容をお示ししております。
 84ページにありますように、現在の算定要件として必要とはしていない内容として、口腔機能の回復または維持に関する実地指導がございますが、それでも実態としては36.8%で行われているということをお示ししております。
 また、85ページにありますように、そういった内容というのは、現在、教育の中でも行われているという状況でございます。
 続きまして、86ページからは、電話や情報通信機器を用いた歯科診療についてお示しをしております。
 現在、歯科の診療報酬では、オンライン診療の評価はありませんが、87ページ、88ページにありますように、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う特例として実施可能となっております。
 90ページを御覧いただきますと、その実施状況をお示ししておりますけれども、一定数行っていた例があるということで、内容としては、90ページの右側にあるように、疾患の説明及び経過観察を除くと、痛みに対する鎮痛剤や抗菌薬等の処方が最も多くなっておりました。
 また、それだけではなくて下のほうを見ると、口腔衛生や口腔機能に関する指導管理も一定数行われておりました。
 91ページは、今後、電話や情報通信機器の活用をしたいかということを聞いた内容になっておりますけれども、左側にあるように、今後、機会があれば行いたいというニーズは一定数あり、その内容として、右側にありますように歯科専門医との連携というのが一番多くなっておりました。
 92ページから94ページは、医政局で、現在、開催をされているICTを活用した歯科診療等に関する検討会の報告書の素案を御紹介しております。
 95ページは、以下の点数表で現在評価をされている、かかりつけ医と連携した遠隔医療の評価になっておりますが、96ページにございますように、コロナ禍の特例の中で、こういった歯科領域における取組も行われております。
 最後に、6番目「歯科固有の技術等」ということで、それぞれ歯科の中の個別の技術について課題になっているところを挙げさせていただいております。
 まず、98ページからが口腔内装置に関する内容になっております。
 適用は、98ページにお示ししているとおり、一定数制限を設けているということになります。その一方で、99ページを御覧いただきますと、現在、対象となっていない歯の外傷、小児期、学齢期で多く起こります。小児の時期にそういった外傷が起こると、その後の永久歯の形成ですとか、歯列・咬合の発育に影響する場合があるということで、一定期間の経過観察が重要であるとされております。
 そういった経過観察を行う中で、スポーツ中の歯や口のけがの予防であったりとか、その軽減のために、外傷後の安全管理、重症化予防を目的として、口腔内装置、マウスガードを入れるということは有効ということが示されているところです。
 続きまして、100ページになりますが、こちらは摂食機能障害を有する患者さんに使用される舌接触補助床について、お示しをしております。こちらも口の中に入れる装置でございます。
 現在は、舌の筋力が低下した状態で発生する口腔機能低下症の患者さんは対象となっておりませんが、その舌の機能が低下するということに対して、舌接触補助床は有効な装置ということで、そういったところが対象になっていないというのが課題となっております。
 続きまして、101から102ページです。こちらは、口腔バイオフィルム感染症の診断を目的とした口腔細菌定量検査の対象と、口腔バイオフィルム感染症の治療の流れをお示ししております。
 101ページの中段の箱にありますように、口腔バイオフィルム感染症に関しては、関係学会から考え方が示されておりますけれども、口腔バイオフィルム感染症の発症により、誤嚥性範囲を引き起こすことも示されているところですが、現在、検査の対象者というのは、101ページの下の箱にありますように、在宅等において療養を行っている患者、もしくは歯科診療特別対応加算の対象患者と限定をされております。
 飛んで103ページは、今度は非経口摂取患者口腔粘膜処置ということで、口の中の処置を行うことに関する評価について、お示しをしております。
 この評価の項目名のとおり、経口摂取を全く行っていない患者を対象としており、当初、経口摂取を行っていなくても、非経口摂取へ移行するための訓練を開始し、わずかでもその経口摂取が可能となると、現在では対象外になるということが課題となっております。
 続きまして、104ページです。こちらは、歯科口腔外科領域で実施する処置について、お示しをしております。実際に行われている処置ではあるのですが、現在は、医科点数表の処置の部で評価されているものの、歯科の点数表には、その項目がないために、歯科では実施しても、その算定ができないという状況になっております。
 続きまして、105ページは、歯科医師と歯科技工士の連携に関する取組の例です。歯科技工士の多くは、歯科技工所で働いておりますので、歯科診療所にはいないことが多いということになりますけれども、ICTの活用により、歯科技工士が実際に口腔の状態を見て、補綴物、かぶせ物の色や形を確認することによって、よりよい補綴物の製作につなげるといった取組が行われております。
 続きまして、106ページからは、ハイブリッドレジンによる大臼歯CAD/CAM冠の適用範囲に関する資料です。
 108ページにお示ししますように、このハイブリッドレジンによる大臼歯のCAD/CAM冠は、適用範囲を、現在、限定しているところです。
 ですが、109ページにございますように、近年、その予後については、部位による差がないという研究結果も示されております。
 続きまして、110ページ、111ページは、クラウン・ブリッジ維持管理料についてお示しをしております。当該管理料を算定した補綴物は、2年間再製作ができないという取扱いとしているところですが、111ページにお示しをしている研究結果では、臼歯部の金属の歯冠修復の平均生存率は3,000日を超えるといったようなことが報告をされているところです。
 続きまして、112ページからは、歯科矯正に関する資料です。112ページにございますように、歯科矯正の保険給付の対象は、先天性疾患に起因する咬合異常が認められる場合、それから3歯以上の永久歯の萌出不全がある場合、それから、顎変形症で、顎離断等の手術を必要とするものに限って保険給付の対象としている。
 113ページには、学校歯科健診において、不正咬合の疑いがあると指摘されたものの割合をお示ししております。5歳から17歳で、おおむね4%から5%となっております。
 114ページには、学校歯科健診で不正咬合の疑いが指摘され、専門医による診断が必要とされた場合の歯科診療の流れのイメージをお示ししております。
 令和4年3月の事務連絡において、保険給付の対象となる疾患が疑われる場合に、歯科パノラマ断層撮影の算定が可能であるという旨を、疑義解釈でお示しをしているところですが、その撮影前に保険適用の可否の判断が難しい場合もあるということで、なかなか運用をどのようにしたらよいのかというところ、現場で、少し困ることがあるということが指摘されているところです。
 続きまして、最後に、115ページ、116ページに、歯科診療報酬における局所麻酔薬の算定に関する資料をお示ししております。
 多くの項目で歯科麻酔にかかる費用は、技術料に包括される取扱いとなっております。
 116ページにお示しするように、そういった中で令和2年度診療報酬改定では、これまで算定ができなかった手術の分において、麻酔の薬剤料を算定できるように見直しを行ったところです。
 しかし、現在でも処置ですとか、歯冠修復及び欠損補綴の多くの項目においては、まだ、薬剤料の算定はできない取扱いとなっております。
 117ページ、118ページには、現状と課題をまとめて記載しております。
 最後、119ページ、120ページに、論点をまとめさせていただきました。
 まず、119ページは、かかりつけ歯科医機能に係る評価について、それから、院内感染防止対策に係る評価について。
 そして、120ページにつきましては「歯科疾患の重症化予防に係る評価について」、それから「電話や情報通信機器を用いた歯科診療に係る評価について」、そして「歯科固有の技術等に係る評価について」、それぞれ資料に基づき、論点をこちらにお示しさせていただいているところです。
 事務局からの御説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 総-4の119、120ページの論点に沿って発言をさせていただきます。
 歯科医療の(その3)の議論ということで、少し長くなるかもしれませんが、御容赦ください。
 また、小塩会長におかれましては、後ほど、田村専門委員にも御発言の機会をいただけますよう、御配慮をよろしくお願いいたします。
 論点1つ目の「かかりつけ歯科医機能に係る評価について」です。
 歯科診療所を受診する患者さんのほとんどは、同時に複数の歯科診療所を受診することはないため、12ページのスライドにありますように、患者さん自身は、自分が、現在、通っている歯科診療所がかかりつけ歯科診療所だと考えるのは、そのとおりだと思っております。
 また、歯科医師も施設基準の有無に関係なく、自分は患者さんのかかりつけ歯科医であると思い、日々診療に当たっている方がほとんどだと思います。
 しかし、歯科診療所の診療スタイルはそれぞれございまして、患者さんが考えるかかりつけの歯科診療所と施設基準である、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所は、異なるものという認識でございます。
 施設基準は、そもそもその目的に応じて必要な医療機関の機能や設備、診療体制、安全面などを評価するものと理解しております。
 地域保健活動、在宅医療介護連携の取組を行い、地域で必要な連携体制を取りつつ、歯科疾患の重症化予防等に関する継続的・定期的な口腔健康管理をしっかりと行っている歯科診療所を評価している、現在のかかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所の施設基準は、基本的には、かかりつけ歯科医の持つべき機能と体制を評価した内容となっていると考えております。
 一方で、施設基準の名称として、患者さんに分かりにくい面があるのは事実でございます。患者さんにとって分かりやすく選んでいただけますよう、また、歯科診療所にとってもかかりつけ歯科医としての機能を、しっかりと取り組んでいるところが適切に評価されるよう、名称も含めて整理していただきたいと思っております。
 また、かかりつけ歯科医機能は、全てのライフステージを通じて歯科医療を提供できることが基本と考えており、当然、かかりつけ歯科医として小児の発育過程を踏まえた歯科診療を行うことは重要と認識しておりますが、現在、か強診の施設基準を届出しておる歯科診療所にとって、過度な負担になることのないよう、お願いしたく思っております。
 その上で、2つ目3つ目の○に関する現行の施設基準の見直しにつきましては、事務局案に賛同いたします。
 4つ目の○につきまして、口腔機能管理を推進していくことは、非常に重要であり、かかりつけ歯科医が担うべき役割であると考えております。
 現状で、まだまだ取組が少ないところですので、今後、う蝕や歯周病の継続的な管理とともに、かかりつけ歯科医による口腔機能の管理が進むよう、診療報酬上の評価を要望いたします。
 論点2つ目の院内感染対策に係る評価についてでございます。
 1つ目の○ですが、事務局提案の歯科外来診療環境体制加算につきまして、院内感染対策と医療安全に係る評価として、見直しや整理をすることについては賛同いたします。
 ただし、本施設基準は、院内感染対策や医療安全に係る体制を評価してきたものであり、現在の評価でも十分とは言えないところでございますので、患者さんへのより安全・安心な歯科医療提供体制の維持に支障を来すことがないよう、見直し整理後も継続した応分の評価をお願いいたしたく思っております。
 2つ目の○につきまして、新型コロナウイルスの感染拡大は、歯科医療機関におきましても、当初歯科診療を継続してよいのかどうかということも含めて、大きな混乱を来しました。
 しかし、歯科医療は食べる、話すといった生活の基本となる部分に直接つながる医療でございまして、緊急的な歯科治療が必要な患者さんは一定数いらっしゃるということ、受診控えによる歯科治療や口腔管理の中断は、口腔疾患の重症化をもたらすことなど、様々な経験をし、今後の新興感染症等の発生、蔓延に備えて、平時から地域の歯科医療提供体制をしっかりと構築していくことの必要性を強く感じております。
 平時から新興感染症等の患者の一定程度の受入れ体制を備えた歯科医療機関を確保することや、新興感染症等の患者の歯科治療を行った際の適切な評価が重要と考えておりますので、地域での感染症患者受入れ体制の構築が推進されますよう、検討いただきたいと思っております。
 論点3つ目の「歯科疾患の重症化予防に係る評価について」でございます。
 1つ目の○のう蝕の重症化予防につきまして、フッ化物歯面塗布は、小児から高齢者までの各ライフステージにおける、う蝕の重症化予防におきまして重要であることから、う蝕多発傾向者、エナメル質初期う蝕、初期の根面う蝕のそれぞれについて、必要な患者さんに適切な管理と処置が提供できるよう、事務局提案の内容を進めていただくことに賛同いたします。
 2つ目の○の歯周病安定期治療や歯周病重症化予防処置は、歯を失う原因として最も多い歯周病に対して有効な治療であり、事務局提案の糖尿病患者への評価につきましては、ぜひお願いしたく思っております。
 また、歯周病安定期治療から歯周病重症化予防処置への移行の評価につきましては、治療による歯周病の改善を評価するということで理解はできますが、歯周病重症化予防処置は、令和2年度の診療報酬改定で新設されたものでございまして、まだまだ普及を図る時期と考えておりますので、現場での混乱がないように御配慮をお願いしたく思っております。
 3つ目の○、歯科衛生士への評価である歯科衛生実地指導は、患者さんの重症化予防や、口腔機能の回復や維持に資する歯科臨床現場における非常に重要な指導であり、機能面の指導に対する評価も組み込んでいくことには賛同いたします。
 一方で、現状の歯科衛生実地指導料は15分以上実施することや、指導内容に関する患者さんへの文書提供、口腔衛生状況の記録など、要件も多いところでございます。
 改定結果検証調査の報告書を見ると、平均値で22.2分、最大値は60分と15分以上かかって取り組んでいるところですので、時間要件などの廃止も含めて御検討いただきたいと思っております。
 論点4つ目の電話や情報通信機器を用いた歯科診療にかかる評価について、本日の資料、89ページにも示されておりますように、新型コロナウイルスの感染拡大の特例において、多くはないものの実際に実施された例があり、今後の新興感染症等の発生、蔓延に備えて、体制を整備することは必要と考えております。
 また、特例のもと実施された中、今後、歯科領域でも活用可能と考えられる好事例、例えば、口腔機能の指導管理等に対するオンライン診療や、専門医とかかりつけ歯科医の連携の遠隔医療につきましては、適切な実施体制を確保した上で、歯科の診療報酬についても評価いただきたく要望いたします。
 論点5つ目の歯科固有の技術につきましては、資料に示されている固有の技術につきまして、示されている内容の評価を進めていただくことに、おおむね賛同いたします。
 クラウン・ブリッジ維持管理料につきましては、かなり以前に設けられた管理料でございまして、様々な議論が過去からありましたが、一定程度その役割は果たしてきたものと考えております。
 近年の医療技術の向上、また、接着材料の改良等により、金属冠については、脱離等も非常に少なくなっているところでございまして、現状に見合った仕組みの検討については理解しております。
 今回示されている技術等は、歯科診療報酬における課題として、過去から検討されているものや、近年のニーズを踏まえたものなど様々ございますが、いずれも非常に重要な内容でございますので、ぜひとも前向きに検討いただきますよう、よろしくお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、よろしいですか。
 松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、119ページ、120ページの論点に沿ってコメントいたします。
 まず、かかりつけ歯科医機能に係る評価についてでございますが、まず、総論として8ページに示されていますように、医科、歯科、介護との連携も含め、かかりつけ歯科医機能強化型診療所、俗にか強診と呼んでおりますけれども、どのような役割を担う診療所なのか、患者にとっては、か強診以外の歯科診療所との違いが非常に分かりにくいと、まず言わざるを得ないと思います。
 そうした観点で12ページの調査結果を見ますと、現在、受診している歯科診療所を選んだ理由として、かかりつけの歯科診療所だからが、か強診とそれ以外で同程度の割合で最も高く、か強診を患者が認識していない状況が分かると思われます。
 一方で、21ページ、22ページを見てみますと、在宅医療や連携に係る加算の届出は、か強診のほうが、届出割合が高いことや、定期的な口腔管理の実施状況が、50%以上である施設の割合は、か強診のほうが高くなっております。
 こうした体制や機能を持っている歯科診療所であることを、患者により分かりやすく伝える観点から、名称を見直すこともあり得るかなと思います。
 また、資料の27ページを見てみますと、小児に関する要件が設定されていないということですが、28ページに示されている小児期にかかりつけ歯科医師を持つことの必要性も踏まえ、施設基準に、小児の心身の特性等に関する研修受講を追加するべきだと考えます。
 また、小児を含む口腔機能管理についても、継続的かつ適切な歯科医療の提供が求められる歯科診療所として施設基準に位置づけることも考えられます。
 また、かかりつけ歯科医機能として、ライフステージを通じた口腔管理への取組の評価については、在宅医療専門の歯科医療機関ではないこと、歯科疾患管理料の長期管理加算の実績要件を追加する一方で、クラウン・ブリッジの維持管理料の要件を廃止することには、異論はございません。
 続きまして、2つ目の感染対策防止に関わる評価についてでございますが、歯科外来診療環境体制加算については、院内感染対策と医療安全の評価を分けることは、検討の余地はありますが、現行と同じ体制であるにもかかわらず、単純に評価が高くなることには、考えにくいと指摘せざるを得ません。
 また、新興感染症等の患者に対する歯科治療については、新興感染症が発生した場合に特例的に対応するのか、事前に想定した評価の枠組みを設けるのか、これは、医科、調剤との関係も踏まえて検討すべきだと考えます。
 続きまして、重症化予防に係る評価についてでございますが、65ページにございます、根面う蝕の進行により、患者のQOLが低下することを踏まえ、適切な管理が必要なことは理解ができます。
 また、歯周病重症化予防措置及び歯周病安定期治療については、82ページにございますとおり、糖尿病の患者の場合に、医師との連携が重要であることは理解ができます。
 歯科衛生実地指導については、資料の83ページを見てみますと、単なるプラーク除去方法のみではない教育が行われていることを踏まえ、実地指導の内容や時間に応じて評価にめり張りをつけることが考えられると思います。
 次に、情報通信機器を用いた歯科診療に関わる評価でございますが、91ページの右側を見てみますと、歯科専門医との連携に活用したいとの要望があり、91ページ以降にあります検討会の報告書や手術後の経過観察における実績を踏まえ、歯科におけるICTの活用も想定できると考えられます。
 続いて、歯科固有の技術等に係る評価については、全般的に効果のエビデンスがあるものについては、一定の評価が考えられますが、算定対象を明確にするなど、適切な運用が必要だと考えております。
 また、ハイブリッドレジンによるCAD/CAM冠については、貴金属価格の乱高下に左右されないようにする観点からも、適用範囲を拡大することには賛成したいと思います。
 一方、ICTを活用した歯科技工士との連携については、現場の取組としては推進していただきたいと思いますけれども、診療報酬で対応する性格のものではないと考えます。
 また、論点にございますクラウン・ブリッジ維持管理料につきましては、先ほどのかかりつけ歯科医機能の評価のところにもありましたけれども、廃止が妥当だと考えております。
 また、最後にございます、歯科麻酔の技術料と薬剤の関係でございますけれども、これについては、従来どおり包括でよいのではないかと考えます。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 ICTを活用した歯科診療の評価や歯科技工士と歯科医師の連携については、ぜひ進めていただきたいと考えております。
 一方で、学校歯科健診で不正咬合の疑いがあると判断されて受診した患者の評価をめぐっては、保護者の方が受診を躊躇することがないようにしたいという思いはありますが、診療報酬の適用範囲を拡大することが、適切な対応かという点は疑問が残ると考えております。
 実際にどの程度保険適用が可能なケースが存在するかなどの実績を踏まえた上で、慎重な検討が必要ではないかと思います。
 以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 飯塚委員、お手が挙がっています。お願いします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。
 本日かかりつけ歯科の議論が出ておりましたので、少し広い観点から発言をさせていただきます。
 かかりつけ歯科に定期的にかかることで、う蝕ですとか歯周病の重症化が妨げられるのではないかと想像しますけれども、口腔の健康の改善とともに、医療資源の配分に関しても、そういったことは大きく寄与するのではないかと考えます。
 実際に、そう改善がなされているかということを端的に知るためには、やはりアウトカムのデータが必要となると思いますけれども、長期的にですけれども、例えば年1回患者別のデータを収集して、NDBと結合して、そういった効果を見るといったことを、今後お考えいただければと思います。
 医科においては、健康診断の情報のようなものがありますけれども、そういったものに対応した情報を、歯科に関しても収集していっていただけないかと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 林委員、お願いいたします。
○林委員
 ありがとうございます。
 かかりつけ歯科医機能の評価に関しましては、1号側委員からも御指摘をいただきましたけれども、分かりやすく取り組んでいくということ、これは我々も、今、考えておるところでございますので、しっかりと国民に資するような形で進めていきたいと思っております。
 それから、感染対策防止に係るところでございますけれども、現行の体制が十分とは言われていない状況がございまして、そういったものを適切に評価していくということが、今回の議論の中にもございます。感染対策と医療安全につきましては、さらに強化していくということ、これは国民に資する歯科医療提供を整えていくということで、しっかりと評価していっていただきたいと、よろしくお願いしたいと思っております。
 それから、ICTの利活用に関しましてですが、歯科医療は、コ・デンタルスタッフとともに、診療現場で直接協働することによりまして、より質の高い医療に結びつくということは多うございます。
 歯科技工士も院内技工士の存在というものは、シェード・テイキングとか、それから義歯の修理の観点からも重要でございまして、院外の技工所における歯科技工士、それから在宅に行ったときの院内、院外の技工士との連携、そういった着眼点で連携を強化していくということ。これはICTを使用するという好事例がございましたら、積極的に推進し、評価につなげていくということでお願いしたく思っております。
 そして、クラウン・ブリッジ維持管理料でございますが、廃止が妥当ということでございましたが、クラウン・ブリッジ維持管理料につきましては、先ほども申しましたけれども、様々な過去の議論がございまして、その役割は、今まで重要な位置づけで推移してきたということは間違いございません。
 一部、一定程度でその役割は果たしてきたものであるとは考えておりますが、全て廃止の議論の前に、現状に見合った仕組みの検討というものが必要と考えております。
 それから、学校歯科の健診による歯列不正の部分でございますが、学校健診で歯列不正が指摘された学童たちが歯科診療所を訪れたときに、その診断も含めて、診療報酬の中で評価できないというものは、現実、非常に混乱しているところでございますので、そういったところも含めた適切な制度の設計という形でお願いしたく思っております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 先ほど、林委員から御要望がございましたが、ここで田村専門委員からもコメントをよろしくお願いいたします。
○田村専門委員
 ありがとうございます。
 初めに、61ページからのフッ化物歯面塗布による、う蝕の重症化予防に係る診療報酬上の評価についてです。
 小児の外来診療では、これまでもフッ化物歯面塗布の処置が行われており、この効果が、昨今の小児のう蝕罹患率の激減につながっていると考えられます。
 一方で、歯科訪問診療を行う患者に対するフッ化物歯面塗布処置は、基本的に初期の根面う蝕のみが対象となっています。
 小児のう蝕に罹患しやすい部位は高齢者と異なり、咬合面や隣接面であるため、現在、歯科訪問診療が必要な医療的ケア児等は、算定要件に当てはまらず、実際に行っていても算定することができません。歯科訪問診療が必要な小児についても対象となるよう、御検討いただければ幸いです。
 次に、87ページからの情報通信機器を用いた歯科診療についてです。
 安全上十分に対象者を考慮した上で行うことが前提ですが、小児の口腔機能発達不全症や高齢者の口腔機能低下症の指導管理において、指導や訓練の経過を見る等での活用も、口腔の健康の維持向上において有効であると考えられ、特例の中で複数の医療機関で実際に行われ、一定の効果を上げています。
 次に、101ページからの口腔バイオフィルム感染症についてです。
 現在、検査は在宅等で療養する患者さん、または歯科診療特別対応加算を算定する患者さんのみであり、また、処置についても歯周基本治療での算定であるため、歯のある患者さんしか算定ができません。
 しかし、歯がない患者さんであっても、要介護状態の患者さんでは、口腔内細菌数が多いことが報告されており、歯に付着するのとは別の細菌の存在が、誤嚥性肺炎のリスク因子となっています。
 口腔バイオフィルムの除去が必要な患者さんに、検査や処置が適切に実施できるよう御検討をお願いいたします。
 最後に、103ページの非経口摂取患者、口腔粘膜処置についてです。
 対象は非経口摂取者に限定されていますが、実際には、当初、非経口摂取であっても、そこからの回復過程で、わずかなものの嚥下から練習を開始することもあります。
 剥離上皮膜は口腔乾燥も大きな要因ですので、経口摂取の練習を開始する患者さんに、剥離上皮膜が付着していることはよくあり、嚥下の練習開始前には、剥離上皮膜を除去する必要があります。
 しかし、この時点で、わずかな経口摂取をしているという要件で算定が不可能になるのは現実的ではありません。要件の再検討をお願いしたく思います。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。それでは、ほかに御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 それでは、次に「外来(その4)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、外来(その4)、テーマといたしましては「情報通信機器を用いた診療」につきまして、資料総-5を用いまして、御説明をさせていただきたいと思います。
 スライドナンバー2が、今日の目次でございます。
 それでは、1つ目「情報通信機器を用いた診療の現状について」ということでございます。
 スライドナンバー3から5でございますけれども、これまでの中医協総会等での御指摘でございます。
 4ページ目には、11月8日、12月1日の中医協での御指摘を掲載しております。
 次に進みまして、6ページ目でございます。
 こちらは、過去にもお示ししましたけれども、オンライン診療に係る評価の経緯でございます。
 平成30年度の診療報酬改定で導入されまして、その後、令和2年、令和4年ということで、特例的な取扱いですとか、指針の一部改訂が行われまして、診療報酬では令和4年度から指針の改訂を踏まえオンライン診療の評価を新設したということでございます。
 次、7ページ目から11ページ目まででございますけれども、こちらは、オンライン診療の適切な実施に関する指針の概要及び令和4年度の診療報酬改定の概要を示しているものでございます。
 それでは、ページを進ませていただきます。
 14ページ目でございますけれども、こちらは情報通信機器を用いました初診料等の届出医療機関数でございます。
 御覧いただければ分かりますとおり、経時的に増加をしてございます。前回提示いたしましたタイミング、11月8日でございましたけれども、そこの時点では、14ページのグラフで申し上げますと、7月1日時点のものまででしたけれども、本日は新しい数値を入れてございます。
 令和5年11月1日におきまして、約1万を超える医療機関となっているところを示してございます。
 15ページ目でございます。こちらは情報通信機器を用いた初診料等の算定回数でございます。これも前回から新しい数値をお示ししてございまして、これは5年4月から6月の算定回数を新たにお示ししてございます。
 17ページにお進みいただきまして、前回の中医協でも御議論いただいた内容でございます。オンライン診療の適切な実施に関する指針におきましては、初診の場合には、麻薬及び向精神薬の処方は行わないとされているところでございます。
 一方で、18ページ目に、これも前回お示ししましたけれども、情報通信機器を用いた診療日におきまして、初診から向精神薬が処方されている実態もあったところでございます。
 次に、20ページからでございますけれども、こちらは情報通信機器を用いた診療件数のうち、患者の所在が医療機関と異なる市町村または特別区である場合の診療件数の割合が97.5%を超える医療機関は、情報通信機器を用いた診療件数が10件以上の医療機関では43施設といったところでございました。
 21ページ目には、提供体制に係る規定でございまして、オンライン診療の適切な実施に係る指針におきましては、オンライン診療の提供体制に関する事項といたしまして、患者の急病急変時に適切に対応するため、患者が速やかにアクセスできる医療機関において、直接の対面診療を行える体制を整えておくことが、最低限遵守する事項として定められているところでございます。
 22ページ、患者と医療機関の所在が一定以上異なる、先ほど御紹介いたしました43のうち、東京都に所在する18の施設につきまして、この情報通信機器を用いた診療の実態を分析しましたところ、8.9%の患者さんが関東圏以外であったということでございます。
 また、関東圏以外に所在する患者さんを対象とした、最多の主傷病名は不眠症であったというところでございます。
 23ページは、同じく大阪府に所在する5施設について、診療の実態を分析したものでございます。75.5%の患者さんが近畿圏以外であり、そして、主傷病名は胃炎であったということを示してございます。
 それでは、2つ目のテーマでございます。「情報通信機器を用いた診療による疾病管理について」でございます。
 25ページから27ページは、情報通信機器を用いた診療で算定可能な医学管理料等の概要となります。
 28ページ、通院・在宅精神療法の概要となります。
 次、29ページでございます。令和4年度、こちらは検証調査の結果でございますけれども、精神疾患患者さんに対する情報通信機器を用いた診療を行っている場合の実施者でございますけれども、これは、精神保健指定医が多かったという結果でございます。
 30ページ、情報通信機器を用いた精神科診療の有効性を示す報告でございます。
 31ページ、情報通信機器を用いた精神療法に係る指針についてでございまして、臨床現場において精神科診療を行う精神科医、学識者、オンライン診療の経験、知見のある医師、当事者の方々をメンバーといたしまして、令和4年度の事業でございますけれども、情報通信機器を用いた精神療法につきまして検討が行われたところでございます。
 この事業でございますけれども、有効性に関する国内外の知見や、現在の活用実態等を踏まえつつ、情報通信機器を用いた精神療法を安全かつ有効に実施する場合の留意事項等につきまして、指針として取りまとめたものでございます。
 具体的に留意すべき事項といたしまして、例えば、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに資するよう、地域における精神科医療の提供体制への貢献が求められること。
 対面診療と組み合わせつつ、必要に応じて活用すること。
 初診では行わないこと。
 向精神薬の不適切な処方について、厳に慎むことなどが挙げられているところでございます。
 32、33のスライドは精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの概要でございまして、34ページ目、35ページ目、36ページ目は、12月1日の中医協総会におきましてお示ししました、小児周産期で取り上げました内容となりますが、20歳未満の精神疾患総患者数の推移でございます。
 37ページに進ませていただきます。5歳児健診のフォローアップ体制を示してございまして、医療のキャパシティー強化ということが課題として挙げられてございます。
 38ページ、医療機関における発達障害の初診待機の状況でございます。
 39から42ページとなりますが、こちらは小児特定疾患カウンセリング料と、こういった診療報酬項目の概要と、その算定状況などを示したものでございます。
 43ページは、精神疾患患者に対する情報通信機器を用いた診療を行っている医療機関における対応している疾患につきまして、統合失調症、気分(感情)障害、神経症性・ストレス関連・身体表現性障害の割合が高かったこと。また、心理的発達の障害、小児期・精神期に通常発生する行動・情緒の障害については、病院・診療所とも約2、3割の医療機関が情報通信機器を用いた診療として対応していたことを示してございます。
 44ページは、小児の発達障害に対するオンライン診療の有効性が示されているものでございます。
 以下の課題、論点でございます。47ページに進んでください。
 こちらに、先ほどの2つのテーマに関する論点を示してございます。
 まず「情報通信機器を用いた診療の現状について」でございます。
 こちらに関しましては、先ほど申し上げましたように、初診から向精神薬が処方されていた実態が見られたことということでございます。また圏域を越えた情報通信機器を用いた診療が見られたということで、主傷病名は、不眠症が最多であったこと、こういったことを踏まえまして、「初診では向精神薬を処方しないこと」をホームページ等に掲示すること等を、診療の要件として追加することについてどのように考えるか。
 2つ目の○では、厚生局へ届け出る、この報告書におきまして、情報通信機器を用いた診療のうち、医療機関が所在する地域以外に所在する患者の割合を一定以上超える医療機関につきましては、対面診療の提供体制を把握するための方策についてどのように考えるかというのを論点とさせていただいてございます。
 2つ目のテーマ「情報通信機器を用いた診療による疾病管理について」でございます。
 こちらは、先ほど御説明申し上げました、精神療法に係る指針でございます。これが取りまとめられたことでございますけれども、こういったことや、精神科における診療の一定の経験や資質を有する医師が診療を実施することが規定されていること等を踏まえて、この精神療法の評価についてどのように考えるか。
 最期の○でございます。発達障害の初診待機が課題となっていること及び発達障害に対する診療が情報通信機器を用いた診療で提供されている実態、そして、発達障害に対します、この機器を用いた診療の有効性のエビデンス等を踏まえまして、小児特定疾患カウンセリング料の評価についてどのように考えるかとさせていただいてございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、お願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 まず、適切なオンライン診療は推進すべきです。
 ただし、その際、有効性、安全性、必要性の観点が重要であり、特に一度健康被害等が生ずれば、取り返しがつかないという医療の特性を踏まえれば、安全性の担保は、最大限必要であること。
 したがって、利便性や効率性のみを重視した安易な拡大はすべきではなく、着実かつ適切に推進すべきであること。これは、共通認識であると思っております。
 この点を踏まえて、47ページの論点についてコメントいたします。
 まず、情報通信機器を用いた診療の現状についてです。
 資料の22ページを見ますと、東京都に所在する医療機関が、北海道等含め関東圏以外のかなり遠く離れた地域においても、不眠症の治療等をオンラインで行っている実態が明らかになっています。
 これは、21ページで示されているオンライン診療の指針における最低限遵守すべき事項、直接の対面診療を行える体制を整えていくことを満たしていない医療機関であると思われます。
 こうした事態の発生を抑止するためには、論点に記載されているような対応、すなわち、初診では向精神薬を処方しないことをホームページ等に掲示すること等を、情報通信機器を用いた診療の要件として追加することに加え、指針を遵守している医療機関であることの掲示を求めるなどが考えられます。
 また、各厚生局へ届出する情報通信機器を用いた診療に係る報告書についても、記載内容をより明確化することに加え、今回明らかになったような医療機関の所在地地域以外の患者さんを診療している場合は、対面診療をどのように確保しているか具体的に報告していただくなど、実態をより正確に把握できるようにすべきです。
 さらに、11月8日の外来(その2)で主張したとおり、入院・外来分科会で行う調査、あるいはマイナ保険証に記載されている住所情報などで補うことも、今後の分析方法として検討すべきと考えます。
 次に、情報通信機器を用いた診療による疾病管理についてです。
 まず、精神疾患の診療については、向精神薬が用いられることもあります。
 したがって、オンライン診療で精神療法を実施することについては、濫用や依存症、あるいは向精神薬の転売など、様々な弊害が起こり得ることから、安易に拡大すべきではないというのが基本的な考え方であると思います。
 一方、精神的な要因で自宅から出ることができない患者さんなど、医療へのアクセスが困難な状態に対しては、オンライン診療が有効な場合もあり、そのエビデンスも一定程度示されているところです。
 ただ、そのような場合であっても、先ほど述べたような弊害に対処することは重要であり、論点にもあるとおり、31ページに示されている情報通信機器を用いた精神療法に係る指針を遵守していることを診療報酬上の算定要件とすべきです。
 もっともこの指針に示されている基準は、総論的な内容になっております。したがって、安全に診療を実施するための基準については、より明確にしておく必要がありますので、例えば、実施する医師について、地域における精神科医療の提供体制の貢献や、一定の経験や資質等が求められている点については、精神保健指定医であることを要件化すべきと考えます。
 また、オンラインによる小児特定疾患カウンセリング料についてもニーズがあり、エビデンスも示されているところですが、オンライン診療の原則である対面診療を適切に組み合わせて行うことが重要ですので、対面診療の体制についても十分に留意しながら検討を進めるべきであると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いいたします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 情報通信機器を用いた診療につきましては、安全性と有効性を前提として、患者の利便性にも配慮しつつ、健全な形で普及することが必要です。
 この点につきましては、先ほど長島委員からも御説明がありましたけれども、認識については、十分共有できるものと感じております。
 それでは、論点の1つ目あります現状についてでございますが、長島委員からもありましたけれども、初診から向精神薬を処方することは、9ページにもありますとおり、安全性の観点から、まず指針で禁止されております。診療報酬の要件では、指針に沿って診療を行った場合に算定すると明記されており、向精神薬の初診時処方は診療報酬の不適切な請求ですので、厚生局において厳正に対処までしていただきたいと希望いたします。
 一方で、患者の所在地が医療機関と離れていることは、即座に指針を打ち出し、逸脱していることは意味いたしません。異なる市区町村の患者を集中的に診療する医療機関の分布結果が、22、23ページに示されているとおり、東京の医療機関については、かなり遠方の患者に不眠症が多いことが分かります。
 これも即座に指針に違反しているとは言えませんが、向精神薬の初診処方との関係が非常に気になる点でございます。
 したがいまして、まずは医療機関に初診で向精神薬を処方しないことを徹底するとともに、遠方の患者をオンラインで多く診療する医療機関については、対面診療が必要な時に連携する医療機関を厚生局に報告させることが考えられます。
 また、東京と大阪で傾向がかなり異なることも踏まえ、医療機関からの距離と疾患や処方内容の状況について、引き続き注視することが必要だと考えます。
 次に、論点の2つ目にございます、疾病管理についてですが、画面からは確認できない患者の振る舞いやアルコールのにおいを確認できないことや、睡眠薬の初診時処方という重大な問題を踏まえますと、極めて慎重に判断すべきと考えております。
 一方で、発達障害児の医療アクセスに課題がある中で、43ページに示されております実態や、44ページのエビデンスが示しているとおり、情報通信機器を用いた精神療法に係る指針が策定されたことから、現時点では、小児科領域に限り、指針の遵守を条件に診療報酬上の取扱いを明確化することは、検討の余地があると考えております。
 また、精神科療法のオンライン診療を全般的にどのように評価するかについては、30ページに対面診療と同様の有効性を示す報告があると紹介されておりますが、精神疾患の種類によらず、対面診療とオンライン診療を組み合わせることで、適切な医療の質が担保できるのか、もう少しエビデンスをお示しいただけたらと思います。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 私は、論点については、いずれも、今、お二人の先生がおっしゃったように、おおむね了解したいと思います。
 その上で、1点質問をさせていただきたいのですけれども、情報通信機器を用いた現状の中で、初診での向精神薬を処方しないこと、これは当然なのですが、私が考えるに、レセプト審査で、初診で向精神薬を出していることが分かるので、そこで必ずそれをはねるということで、適正な対応ができるのではないかと、それについては、いかがでしょうか。
○小塩会長
 ただいまの御質問について、いかがでしょうか。
○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 この場は、評価について御議論をいただく場でございまして、審査に関しましては、それぞれの保険者から委ねられている審査機関で行うことということでございまして、具体がどのようにということは、私どもここでつまびらかに御説明できることではございませんが、一般的に考えますと、今、池端委員がおっしゃったとおり、審査において、そういったことを確認することは可能であるとは思います。
○小塩会長
 よろしくお願いします。
○池端委員
 これまで地方によって随分差があったのですが、これを標準化しようという流れが審査の中でもありますので、そこで明らかな療担規則違反ということになるかと思うので、それは何らかの形で情報提供をして、平準化の中で、ここをきちんと査定するということは、ぜひ取り組んでいただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 それでは、ほかには御質問等ないようですので、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「長期収載品(その3)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○荻原保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。資料総-6を御覧いただきたいと思います。「長期収載品(その3)」です。
 2ページ目、具体的な論点がございまして、そちらに並べてございますが、まず、1つ目の論点です。1の「① 保険給付と選定療養の適用場面」に関してでございます。
 資料をおめくりいただきまして、3ページ目を御覧いただきたいと思います。
 12月8日、先週の社会保障審議会医療保険部会に提出した資料でございますが、保険給付と選定療養の適用場面に係る論点ということで、中医協におきましても、従来から御議論いただいたとおり、医療上の必要性があると認められる場合、例えば、医療上の必要性により医師が銘柄名処方(後発品への変更不可をした場合)については、選定療養とはせずに、引き続き、保険給付の対象としてはどうかとしてございます。
 他方、銘柄名処方の場合であっても、患者希望により長期収載品を処方・調剤した場合ですとか、一般名処方の場合について、長期収載品に使用する際は、選定療養としてはどうかとしてございます。
 また、医療上の必要性があると認められる場合につきまして、処方等の段階で明確になるような仕組みの整理が必要ではないかとしてございます。
 もう一点、薬局に後発医薬品の在庫が無い場合とか、後発医薬品を提供することが困難な場合については、患者が後発医薬品を選択できないことから保険給付の対象としてはどうかとしてございます。
 続きまして、1の「② 選定療養の対象品目」についてでございます。5ページ目を御覧いただきたいと思います。
 選定療養の対象品目のイメージでございますが、基本的には選定医療対象となる長期収載品の品目の範囲につきましては、後発医薬品の上市後、徐々に後発品への置換えが進んでいくという実態を踏まえまして、1点目、長期収載品の薬価ルールにおいては後発品上市後5年から段階的に薬価を引き下げることとしておりまして、この点を参考に、後発品上市後5年を経過した長期収載品については対象とするとしてはどうかとしています。
 また、後発品上市後5年を経過していなくても、置換率が50%に達している場合につきましては、後発品の選択が一般的に可能な状態となっていると考えられますので、こちらについても併せて選定療養の対象としてはどうかとしてございます。
 続きまして「2.保険給付と選定療養の負担に係る範囲」についてでございます。
 8ページ目を御覧いただきたいと思いますが、論点は2つございまして、1つ目の論点が、選定療養の場合におきます保険給付の範囲の水準についてでございます。
 論点の2つ目が、選定療養に係る負担について、どの程度標準とすべきかという点についてでございます。
 9ページ目に飛んでいただきますと、まず1つ目の論点、長期収載品の薬価と選定療養の場合における保険給付範囲の水準の差についてですが、①から④まである、こういった観点を踏まえまして、長期収載品と後発品の価格差の2分の1以下とするという形で検討してはどうかとしてございます。
 例えばでございますが、長期収載品と後発品の価格差の2分の1、3分の1、4分の1といった定め方を検討することも考えられるのではないかとしてございます。
 論点2についてですが、基本的には選定療養に係る負担については、医療上の必要性がある場合などですとか、在庫がない場合といったケースについては、長期収載品の薬価で保険給付されるということですとか、市場実勢価格などを踏まえて、長期収載品の薬価が定められていることなどを踏まえますと、一定割合の相当分という形で設定してはどうかとしてございます。
 要は、これより高い額ですとか、低い額を徴収するということは、今回の施策の趣旨を踏まえて考える必要があるのではないかとしてございます。
 この点につきましては、具体的に中医協において検討すべきではないかという形で示してございます。
 11ページ目「3.イノベーション推進と安定供給確保に向けた長期収載品の保険給付の在り方の見直し案」でございまして、12ページ目を御覧いただきますと、まず、趣旨がございます。
 中ほどに太字になっていますが、医療保険財政の中で、創薬力強化など、イノベーションを推進するために、後発医薬品の安定供給を図りつつ、長期収載品の保険給付の在り方の見直しを行うとしていまして、その次に、長期収載品につきましては、医療上の必要性があると認められる場合などは、保険給付をするという前提に立ちつつ、後発医薬品が存在する中においても、患者の選好により使用されることがあるなど、長期収載品の使用実態も踏まえて、具体的な手法として選定療養を活用することとするとしてございます。
 続きまして、13ページ目ですが、先ほど御説明しました、それぞれの論点について記載をしてございます。
 最後、16ページ目でございますけれども「長期収載品の保険給付の在り方についての課題と論点」というところでございまして、まず、選定療養の活用というところは、もう既に医療保険部会のほうで結論を得ております。
 適用場面につきまして、医療上の必要性などの明確化について、引き続き御議論をいただきたいと思っています。
 2点目の対象品目につきましても、これは制度設計そのものに関わる論点ということで、医療保険部会のほうで基本的には方向性を出されてございます。
 3つ目「保険給付と選定療養の負担に係る範囲について」でございますが、先ほど2分の1以下とするという方向で検討してはどうかとした上で、2分の1、3分の1、4分の1といった定め方を検討することも考えられるのではないかとしてございます。
 一番下の論点でございますけれども、先ほど御紹介しました、12月8日の社会保障審議会医療保険部会において、「イノベーション推進と安定供給確保に向けた長期収載品の保険給付の在り方の見直し案」が示されたことを踏まえまして、特に、保険給付と選定療養の負担に係る範囲をはじめとした具体的な論点について、どのように考えるかとしてございます。
 また、この範囲につきましては、最終的には予算編成過程を経まして、その上で最終的に取りまとめてまいりたいと考えてございます。
 事務局の説明は以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 最初に、長島委員、お願いいたします。
○長島委員
 ありがとうございます。
 16ページの論点についてコメントします。
 まず、基本的な考え方として、今回は、患者さんの自己負担の在り方や、医薬品の安定供給体制等、多方面に大きな影響を与える制度変更となりますので、最初は慎重にスタートしたほうがよいと考えます。この点を踏まえて、論点について検討したいと思います。
 まず、対象品目については、5ページのイメージ図を見ますと、右下の上市後5年以上、置換率50%未満のカテゴリーについては、後発品が上市されてから5年が経過し、Z2ルールが適用されたとしても、まだ過半数は置き換えられていないという状況からすると、長期収載品を使用した場合の自己負担引上げについては、慎重に対応することも考えられます。
 また、9ページの論点①、保険給付範囲の水準については、10ページの表を見ると、1割負担の患者さんのほうが3割負担の場合と比べて、患者負担の変化額が大きくなっておりますし、また、ケース2のような先発品と後発品との薬価差が大きい場合も、患者負担額の変化が大きくなってしまうことが分かりました。
 こうした変化額の大きさを踏まえますと、保険給付範囲の水準については、最初は4分の1程度の額として、できるだけ患者さんへの影響が少なくなるようにした上で、様子を見るべきと考えます。
 同じく9ページの論点②、選定療養として徴収する額についても、制度を最初から複雑にすると現場に与える影響が大きくなります。
 したがって、長期収載品の薬価を超えた額を設定することや、逆に、選定療養費として徴収する額をあえて低く抑えるようなことも避けるべきと考えます。
 また、安定供給の確保という意味では、現在の状況において、後発品の供給体制に過剰な負担をかけるべきではないと考えられます。
 そこで、例えば、準先発品、すなわち、昭和42年以前に承認、薬価収載された医薬品であって、後発品があるものを長期収載品と同列に扱うことによる影響もよく見ておく必要があると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。
○森委員
 ありがとうございます。
 長島委員からありましたけれども、今回、新たな考え方を導入するということ、それから現状の医薬品供給問題等から、まずは慎重にスタートすべきだと思っております。
 その上で、総論として今回の選定療養を導入する意義というものが、我が国の創薬力の強化と、さらなる後発医薬品の使用促進、そのために従来とは異なるアプローチで後発品への置換えを進めていくということをしっかりと理解をした上で進め、また、いまだ続く医薬品の供給問題には十分配慮していかなければならないと考えております。
 医薬品の供給問題で、薬局、医療機関の現場において、相当な負担や混乱が続いています。このような状況が改善されないまま、今回の選定療養が導入されることになると、現場での混乱が増し、患者さんへの説明や御理解いただくために、別途さらなる時間や労力などを要することになります。
 また、以前、薬剤一部負担金が導入されたときにも、現場はかなり混乱いたしましたが、今回は同一の薬剤でも人によって選定療養となるケース、ならないケース、そもそも選定療養の対象となる薬剤にならない薬剤が混在しており、それらの説明に現場での負担は、薬剤一部負担金が導入されたとき以上に大きなものとなるということが予想されます。現場の負担については、十分にご理解いただき、必要な配慮をいただければと思います。
 また、施行するに当たっては、国が責任を持って国民への十分な周知をお願いいたします。
 また、導入時期についてですが、来年の6月の改定施行時になると、診療報酬、介護報酬の同時改定でもあり、レセコンのシステム対応の時間や、国民への十分な周知・広報なども必要で、これらについては、時間的猶予を持ってしっかりと対応すべきものと考えております。
 それから、課題に示されている適用場面についてですが、おおむね異論はありませんが、医療上の必要性があると医師の判断で認めた場合、その確認が処方箋で行えるなど、容易に確認ができるような仕組みや運用とすることをお願いできればと思います。
 また、出荷調整等の影響により、薬局に在庫がない場合など、後発医薬品を提供することが困難な場合については、給付対象とすべきと考えますし、その判断は薬剤師が行うべきと考えます。
 次に、対象品目については、課題に示されている考え方に異論はございません。
 最後に、保険給付と選定療養の負担に係る範囲についてですが、一定の割合を求めることで、処方日数などによっては過度な患者負担を発生させる可能性があります。長島委員からもありましたけれども、患者の負担増を最小限にとどめる割合にするとともに、当該負担額を徴収することとしておく必要があると考えます。
 私からは以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 池端委員、お願いいたします。
○池端委員
 ありがとうございます。
 私も16ページ論点に沿って、何点かコメントをしたいと思います。
 まず、全体には、今回の選定療養を使うやり方というのは、あくまでも選定療養を使って、その内容を患者さんに受けてほしいということではなくて、あくまでも後発医薬品を促進するという目的ですので、選定療養の負担を徴収することが目的ではないということを考えると、やはり混乱を起こさないことも含めて、この選定療養の負担の範囲というのは、できるだけ少ないほうがいい。そうなると、お示しされた中で、私も4分の1が適当ではないかと感じています。
 その上で、やはり、大前提は後発品の安定供給が大前提だと思いますけれども、今、16ページのところにありますように、その適用場面ということで、最後の薬局に後発品の在庫がない場合、当然これは選定療養の対象ではなく、保険給付の対象になるべきだと思いますけれども、前回も少しここでお話ししたように、想像すると、同じ処方されたお薬が、A薬局、B薬局、C薬局でそれぞれ選定療養になったり、ならなかったりすること、あるいは時期によって、今月はなったけれども、来月はならなかったということ等が混在する可能性が高いのではないか、不安供給が続いているということが前提となると、これは国民にとっては、なかなか理解しにくいことだと思うので、その辺をどう落としていくか、なかなか事務局も、今すぐ答えが出ないかもしれませんけれども、その辺は薬局の皆さん方とよく御相談いただいて、できるだけ国民が混乱しないような対応をしっかり取って、周知の期間も一定程度取った上でやっていかなければ、大きな混乱を起こすのではないかということを危惧します。それが医療機関にとっても保険者にとっても、薬局にとっても、患者さんにとっても非常に大変なことになるかと思います。その辺を慎重に御検討いただければと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。
 それでは、松本委員、お願いします。
○松本委員
 ありがとうございます。
 それでは、まず、保険給付と選定療養の適用場面についてでございますけれども、ここに記載のとおり、医療上の必要性を十分に担保することが必要だと考えております。
 例え患者が希望した場合であっても、最終的には処方権を有する医師の判断が重要です。具体的な理由をレセプトに明記等、保険給付の妥当性を保険者や審査支払機関が確認できることが必要となります。一時的に薬局の在庫がない場合には、処方医に確認して効能・効果が同じ別の後発品に切り替えることも検討していただきたいと思います。
 保険給付と選定医療の負担にかかる範囲についてですが、患者の負担増に配慮しつつ、長期収載品と後発品の価格差の2分の1以下の範囲内で患者が後発品を使用するインセンティブが働く水準とすべきと考えております。
 また、長期収載品の選定療養によって、むしろ後発品のない新薬の使用が増加する可能性もございます。
 医療保険制度の持続可能性の観点からは、適切に薬剤が選択されますよう、丁寧に実態を把握することが必要でございます。
 最後に、どのような仕組みになったにしろ、医療現場や患者にかなりの混乱が生じることは、ほかの委員からも御指摘があったとおりです。
 保険者としても、加入者に制度の周知を行う必要があると考えておりますので、厚労省におかれましては、患者の理解を得るための広報ツールの準備をよろしくお願いしたいと考えております。
 私からは以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、鳥潟委員、お願いいたします。
○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 まず、最初に医療上の必要性があると認められる場合については、処方等の段階で明確になるような仕組みの整理を行うことについて、客観的かつ公平な制度の運用が可能となるよう、ぜひ実施していただきたいと考えております。
 その際は、医療従事者と患者の間に情報の非対称性があることに留意し、患者が制度の趣旨や選択し得る医薬品を理解した上で、先発医薬品か、後発医薬品かを選ぶことができるよう、医療現場での適切な表示などをお願いしたいと思います。
 保険給付と選定療養の負担に係る範囲に関してですが、協会としても後発医薬品の使用促進に取り組んでおりました。各保険者の努力のみでは、もう既に後発医薬品の使用の率に関しては限界が見えてきている状況であると考えております。
 後発医薬品の供給不安をめぐる構造的課題の解決に向けて、関連制度を大胆に見直すことを前提に、長期収載品の薬価と、選定療養の場合における保険給付範囲の水準の差については、できる限り2分の1とする方向で検討を進めていただきたいと考えております。
 また、選定療養に係る負担を徴収しないことや、標準とする水準より低い額で徴収することについては、そもそも選定療養は本人の自己負担を前提とし得るものであること、また、後発医薬品の使用促進を図る観点から、認めない方向で検討していただきたいと考えております。
 以上になります。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはいかがでしょうか。
 飯塚委員、お願いします。
○飯塚委員
 ありがとうございます。
 まず、選定療養としないと判断された場合の扱いですけれども、その理由がレセプトデータ上でしっかり識別できるように、診療報酬の項目等での工夫等をお願いしたいと思います。
 特に医療上の必要性であるのか、あるいは後発薬の在庫がないためか等について、院内処方についても含めて、データの収集をする方法策を考えていただきたいと思います。
 それから、選定療養の負担の範囲についてですが、選定療養の導入は、医療資源を特許切れの医薬品から革新的な新薬に配分するための重要な施策となります。
 今回医療上の必要性ですとか、後発薬の在庫状況も踏まえて施策を導入するということなのであれば、資源の再配分が十分達成できる範囲で、水準で実施をしていただきたいと思います。
 以上です。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 茂松委員、お願いします。
○茂松委員
 この施策は、本当に国民の方々に負担を与えるということと、現場に本当に混乱を来すということであって、決していいことではないのですが、進めていくには、本当に丁寧に、慎重に、厚労省におかれましては、それをお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかは、いかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。この件は非常に重要な件です。それで、委員の方々から非常に重要なコメントをいただいたのですけれども、現時点で、事務局でコメントをしていただくことが、もしございましたら、お願いいたします。
○荻原保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 各委員の先生方からいただいた御意見を踏まえまして、さらなる検討を進めてまいりたいと考えてございます。
 選定療養の保険給付と患者負担の範囲につきましては、先日の医療保険部会でも御意見を頂戴しましたし、本日もまた、支払側、診療側、それぞれの委員の先生方から御意見を頂戴しました。そういった点を踏まえながら、予算編成過程のほうで改めて政府としての検討を進めていきたいと考えてございます。
 また、これも共通した御意見として、やはり制度の周知徹底の御指摘を頂戴しております。こちらについては、これも同様に医療保険部会のほうでも、その必要性、重要性について御指摘をいただいております。
 やはり制度導入に当たりまして、医療現場もしくは患者、国民の皆さんに混乱が生じないように、事前に制度の周知徹底をしていくということは非常に重要であると、私どもも考えておりますので、そちらも、また徹底してまいりたいと思っております。
 また、医療上の必要性に係る論点につきましては、本日いただいた御意見も踏まえながら、具体的な運用について、さらなる検討を深めてまいりたいと考えてございます。
 現時点でお答えできる範囲としては、以上でございます。
○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに御質問等よろしいでしょうか。
 それでは、本件に係る質疑はこのあたりといたします。
 本件は非常に重要な案件でございますので、事務局におかれましては、今後、本日いただいた御意見も踏まえて、対応していただくようにお願いいたします。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。長時間どうもありがとうございました。

 

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